生産技術科
新時代に対応できる「実践力」を身に付けます。
機械加工における設計・生産の分野では、マイクロエレクトロニクスの急激な進歩によって、各段階をコンピュータで制御・管理することが今や常識になりつつあります。その結果、加工の高速化、加工技術の高度化、高精密化が実現していますが、絶えることない技術革新によって、さらに高度で合理化された生産システムが必要とされています。そのため、汎用工作機械の基礎はもちろんNC工作機械や、コンピュータによる設計製造(CAD/CAM)技術や高精度測定技術など様々な技術が必要とされています。
生産技術科では、自ら「ものづくり」のできるエンジニアを目標に、設計・加工・測定・制御の4本柱を中心として実践技能者の育成を行っています。
1年次では、機械製図、2次元CADなどの製図の基礎から、加工では旋盤・フライス盤をとおして加工の理論を実践的に学びます。2年次には3次元CADなどによる設計技術や、NC工作機械などの操作・加工技術、シーケンス制御やPC制御などの制御分野を学びます。
そして、最後に今まで学んできたことを応用し、学生自ら課題を設定し、設計・加工・組立・評価の一連の流れを総合制作実習として行います。
本学では基礎的な技術から先端技術などを学ぶことにより、ものづくりの「基礎」と、新時代に対応できる「実践力」を身に付けることができます。
生産技術科で学ぶ内容
1年次
- 加工技術加工の基礎を学び、切削の基礎技術となる汎用工作機械を安全に取り扱う技能を学びます。
- 制御技術シーケンス制御などの基本的な制御について学びます。(シーケンス制御・制御工学など)
- 製図技術図面作成作業を通して、製図の知識、技能を学びます。(基礎製図・機械製図など)
- 測定技術製品の仕上がりを確認する測定技術を基礎から学びます。(測定実習など)
2年次
- 加工技術NC工作機を用いて、NCプログラム技術、加工技術を学びます。(数値制御・数値制御加工実習など)
- 製図技術CAD/CAM を用いて、2次元・3次元図面を作成する技術および製品製造までの技術を学びます。(CAD/CAM実習など)
- 測定技術表面粗さ測定機、3次元測定機など高度な測定技術を学びます。(精密測定・各種実験など)
- 制御技術シーケンス・マイコンなどのプログラムを通して、制御技術の応用を学びます。(シーケンス制御実習・コンピュータ制御実習など)
- 総合制作実習5人程度のグループに分かれてテーマを決め、問題・解決を繰り返しながら制作物を作っていく実習です。
充実した実験・実習設備
実験・実習機材は、基本的に1人1台の体制を整えています。整備台数の少ない機材は、1クラスをいくつかのグループに分割して、数種の実習をローテーションすることで1人1台体制を実現しています。更に、最新機器の更新と新規機器の導入を継続しています。加えて、実際のものづくりの現場を想定した実践的な実習環境を構築しています。
学科
- 学科
- 工業材料
- 力学(材料・工業・機械)
- メカニズム
- 設計・生産
- 機械設計製図
- 精密測定
- 機械加工
- 機械工作
- 機械要素設計
- 制御・情報
- 電気工学概論
- 油圧・空圧制御
- シーケンス制御
- 機械制御
- その他学科科目
- 安全衛生工学
実技
- 機械基礎
- 基礎工学実験
- 機械工学実験
- 機械加工実験
- 設計・生産
- 測定実習
- 機械工作実習
- 機械加工実習
- 数値制御加工実習
- CAD/CAM実習
- 制御・情報
- 情報処理実習
- 電気・電子工学実験
- 油圧・空圧制御実習
- シーケンス制御実習
- コンピュータ制御実習
- その他学科科目
- 総合制作
実験実習装置
- 機械基礎
- 材料試験機
- 水力学実験装置
- 切削実験装置
- 表面粗さ測定機
- 設計・生産
- 2次元CAD
- 3次元CAD/CAMシステム
- 3次元プリンタ
- 普通旋盤
- 汎用フライス盤
- マシニングセンタ
- ターニングセンタ
- NCワイヤ放電加工機
- NCレーザ加工機
- 3次元測定機
- 制御・情報
- 油圧・空圧実験実習装置
- シーケンス制御実習装置
- コンピュータ制御実習装置
シラバス
区分 | 教科の科目 | 授業科目 | コード | 合計 | 一 年 | 二 年 | 標準 | 備考 | ||||||
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前期 | 後期 | 前期 | 後期 | |||||||||||
単位 | 第1 | 第2 | 第3 | 第4 | 第5 | 第6 | 第7 | 第8 | ||||||
一般教育科目 | 人文科学 | キャリア形成概論 | MR0301 | 4 | 2 | 2 | ○ | |||||||
社会科学 | 職業社会論 | MR0302 | 2 | 1 | 1 | ○ | ||||||||
自然科学 | 数学 | MR0303 | 2 | 1 | 1 | ○ | ||||||||
数学演習 | MR0304 | 2 | 1 | 1 | ○ | 選択必須科目 | ||||||||
物理 | MR0305 | 2 | 1 | 1 | ○ | |||||||||
外国語 | 英語Ⅰ | MR0306 | 2 | 1 | 1 | ○ | ||||||||
英語Ⅱ | MR0307 | 2 | 1 | 1 | ||||||||||
保健体育 | 保健体育 | MR0308 | 4 | 1 | 1 | 1 | 1 | 受講推奨科目 | ||||||
一般教育科目計 | 20 | 4 | 4 | 6 | 6 | 0 | 0 | 0 | 0 | |||||
系基礎学科科目 | 制御工学概論 | 機械制御 | MR0309 | 2 | 2 | ○ | ||||||||
電気工学概論 | 電気工学概論 | MR0310 | 2 | 1 | 1 | ○ | ||||||||
情報工学概論 | コンピュータ基礎 | MR0311 | 2 | 1 | 1 | ○ | ||||||||
材料工学 | 工業材料Ⅰ | MR0312 | 2 | 1 | 1 | ○ | ||||||||
工業材料Ⅱ | MR0313 | 2 | 1 | 1 | 受講推奨科目 | |||||||||
力学 | 機械数学 | MR0314 | 2 | 1 | 1 | 受講推奨科目 | ||||||||
工業力学Ⅰ | MR0315 | 2 | 1 | 1 | ○ | |||||||||
工業力学Ⅱ | MR0316 | 2 | 1 | 1 | 受講推奨科目 | |||||||||
材料力学Ⅰ | MR0317 | 2 | 1 | 1 | ○ | |||||||||
材料力学Ⅱ | MR0318 | 2 | 1 | 1 | 受講推奨科目 | |||||||||
基礎製図 | 基礎製図 | MR0319 | 2 | 1 | 1 | ○ | ||||||||
機械製図Ⅰ | MR0320 | 2 | 2 | 〇 | ||||||||||
機械製図Ⅱ | MR0321 | 2 | 2 | |||||||||||
生産工学 | 品質管理 | MR0322 | 2 | 2 | ○ | |||||||||
安全衛生工学 | 安全衛生工学 | MR0323 | 2 | 1 | 1 | ○ | ||||||||
工業数学 | 工業数学 | MR0324 | 2 | 1 | 1 | |||||||||
系基礎学科目計 | 32 | 6 | 6 | 5 | 5 | 5 | 3 | 0 | 2 | |||||
系基礎実技科目 | 基礎工学実験 | 基礎工学実験 | MR0325 | 2 | 2 | ○ | ||||||||
機械工学実験 | MR0326 | 4 | 2 | 2 | ○ | |||||||||
電気工学基礎実験 | 電気・電子工学実験 | MR0327 | 2 | 2 | ○ | |||||||||
情報処理実習 | 情報処理実習 | MR0328 | 4 | 2 | 2 | ○ | ||||||||
系基礎実技計 | 12 | 2 | 2 | 2 | 0 | 2 | 0 | 0 | 4 | |||||
専攻学科科目 | 機構学 | メカニズム | MR0329 | 2 | 1 | 1 | ○ | |||||||
機械加工学 | 機械加工 | MR0330 | 2 | 1 | 1 | ○ | ||||||||
機械工作 | MR0331 | 2 | 2 | ○ | ||||||||||
数値制御 | 数値制御 | MR0332 | 2 | 2 | ○ | 集中実習V | ||||||||
数値制御加工Ⅰ | MR0333 | 2 | 2 | ○ | ||||||||||
数値制御加工Ⅱ | MR0334 | 2 | 1 | 1 | ○ | |||||||||
油圧・空圧制御 | 油圧・空圧制御 | MR0335 | 2 | 1 | 1 | ○ | ||||||||
シーケンス制御 | シーケンス制御 | MR0336 | 2 | 2 | ○ | |||||||||
測定法 | 精密測定 | MR0337 | 2 | 1 | 1 | ○ | ||||||||
機械設計及び製図 | 機械要素設計 | MR0338 | 2 | 2 | ○ | |||||||||
機械設計製図 | MR0339 | 2 | 1 | 1 | ○ | |||||||||
専攻学科目計 | 22 | 1 | 3 | 3 | 3 | 6 | 3 | 3 | 0 | |||||
専攻実技科目 | 機械加工実習 | 機械加工実験 | MR0340 | 4 | 2 | 2 | ○ | |||||||
機械工作実習 | MR0341 | 4 | 2 | 2 | ○ | 集中実習 | ||||||||
機械加工実習Ⅰ | MR0342 | 8 | 2 | 2 | 2 | 2 | ○ | |||||||
機械加工実習Ⅱ | MR0343 | 4 | 2 | 2 | 集中実習 | |||||||||
数値制御加工実習Ⅰ | MR0344 | 2 | 2 | ○ | ||||||||||
数値制御加工実習Ⅱ | MR0345 | 2 | 2 | ○ | ||||||||||
制御工学実習 | シーケンス制御実習Ⅰ | MR0346 | 2 | 2 | ○ | |||||||||
シーケンス制御実習Ⅱ | MR0347 | 4 | 2 | 2 | ○ | |||||||||
コンピュータ制御実習 | MR0348 | 2 | 2 | |||||||||||
油圧・空圧制御実習 | MR0349 | 2 | 2 | |||||||||||
測定実習 | 測定実習 | MR0350 | 2 | 2 | ○ | 集中実習 | ||||||||
設計及び製図実習 | CAD実習Ⅰ | MR0351 | 2 | 1 | 1 | ○ | ||||||||
CAD実習Ⅱ | MR0352 | 4 | 2 | 2 | ○ | |||||||||
CAD/CAM実習Ⅰ | MR0353 | 4 | 2 | 2 | ○ | |||||||||
CAD/CAM実習Ⅱ | MR0354 | 2 | 2 | |||||||||||
機械設計製図実習 | MR0355 | 2 | 1 | 1 | 〇 | |||||||||
総合制作実習 | 総合制作実習Ⅰ | MR0356 | 12 | 2 | 3 | 3 | 4 | ○ | ||||||
総合制作実習Ⅱ | MR0357 | 4 | 2 | 2 | ||||||||||
企業委託実習 | 企業委託実習 | MR0358 | 4 | 2 | 2 | 集中実習 | ||||||||
専攻実技計 | 70 | 7 | 5 | 4 | 4 | 7 | 14 | 17 | 12 | |||||
一般教育科目計 | 20 | 4 | 4 | 6 | 6 | 0 | 0 | 0 | 0 | |||||
系基礎学科目計 | 32 | 6 | 6 | 5 | 5 | 5 | 3 | 0 | 2 | |||||
系基礎実技計 | 12 | 2 | 2 | 2 | 0 | 2 | 0 | 0 | 4 | |||||
専攻学科目計 | 22 | 1 | 3 | 3 | 3 | 6 | 3 | 3 | 0 | |||||
専攻実技計 | 70 | 7 | 5 | 4 | 4 | 7 | 14 | 17 | 12 | |||||
合 計 | 156 | 20 | 20 | 20 | 18 | 20 | 20 | 20 | 18 | 156 |
積極的な技能検定・資格取得にチャレンジ!(主な検定・資格)
- 自由研削といし取替え試運転者特別教育
- 技能五輪全国大会
- 若年者ものづくり競技大会
- 機械・プラント製図(CAD)2・3級
- 機械検査2・3級
- 普通旋盤作業2・3級
- フライス盤作業2・3級
- 数値制御旋盤作業3級
- マシニングセンタ作業3級
- QC検定2・3級
企業見学
1年次に企業研究の一環として取り組んでいます。
■2020年度の企業見学先
- 岩本工業株式会社
- 澁谷工業株式会社
- シブヤパッケージングシステム株式会社
- 発紘電機株式会社
目指せ!公式大会優勝
生産技術科では自らのものづくりの実力を試すため、積極的に公式大会に出場しています。
公式大会に出場することで、高い品質、納期厳守など厳しい環境での実習活動となります。
また、明確な順位が出るので、やりがいや達成感はより一層大きなものになります。
令和2年度は様々な大会が中止となる中、入念な準備と対策をしてエコマラソン長野2020に出場し成果を上げました。
令和3年度はエコマイレッジチャレンジ、スターリングテクノラリー、のとロボット大会、若年者ものづくり競技大会といった大会への出場を目指します。
総合制作2021年度総合制作実習・製作物の紹介
2年間の学習の集大成!
総合制作実習とは、2年間で学んだ内容を活かして、数人のグループワークによるものづくり製作実習のことをいいます。学生数名を一つのチームとして、「企画」から「スケジュール」、「設計」、「製作」、「まとめ」という流れで担当の先生とコミュニケーションをとりながら、製作物を作っていきます。最後に、2月に開催される「ポリテックビジョン in 穴水」で成果の発表を行います。
薪割り機の製作生産技術科優秀賞学生数4人
穴水町の方から薪ストーブに使用する薪を効率よく割りたいとの要望をうけ、共同研究という形で総合制作に取り組みました。大きさ、形、硬さが多種多様な丸太を効率よく割ること。さらに安全に割ることは、たいへん難しい課題でした。
スターリングエンジンを用いたRCカーの製作学生数4人
昨年に続き、大会での好成績をおさめるため、これまでに習得してきた技術・技能を活かし、スターリングエンジンを用いたRCカーの製作に取り組んできました。今年はさらに性能向上に取り組み大会に出場しましたが、目標タイムを達成できなかったため、大会以降も改善を繰り返し、充実した総合制作ができました。
立ち乗りモビリティの製作学生数3人
昨年度製作した機体は性能不十分であったため、本年度も継続して本制作に取り組みました。総合制作開始当初は、なかなかチームでのコミュニケーションもうまく取れず、進捗しませんでした。しかし後半になり、ようやく情報共有、連携もスムーズになり、挽回することができました。本制作を通じ、計画立案と納期遵守の重要性を理解できたことは大きな財産となりました。
草刈り機の製作学生数3人
当校の広いグラウンドをみて、常に草がない状態で運動したいと考え、草刈り機の製作に取り組みました。初めて取り組むテーマであったため、構想立案・仕様決定まで多くの時間を費やし、十分検討した上で製作を開始しました。製作開始後も、様々な難しい加工に苦労しながら製作を進めてきました。
低燃費自動車の製作校長賞学生数5人
製作した車両を駆り、全国大会優勝を目標として取り組みました。高い目標をもち、達成にむけ戦略立案から設計・製作・評価・改善を行ってきました。本製作でのチーム活動を通し、技術・技能はもちろん、社会に出ても通用する人間性を培うことができました。今年は新型コロナ感染拡大により大会中止となりましたが、後輩には次年度、全国優勝を目指してほしいです。