機械工作法の概要と簡単な図面の読み方、ボール盤や切断機等の工作・産業機械の取扱い操作、自由研削といしの取り替え試運転、また、ガス炎による溶接や溶断、プラズマアークによる切断(プラズマ切断)の技能、技術を習得します。
※自由研削といし取替え試運転、クレーン運転に関する特別教育やガス溶接技能講習の修了証が発行されます。
金属加工科(訓練期間6ヶ月)のご案内
訓練の概要(訓練により習得できる技能)
金属でものを作るには、金属を切る、折り曲げる、金属を接合するなどの技能・技術が欠かせません。訓練では、これら機械板金および各種溶接法など、求人企業から求められている基本的な技能・技術を習得できます。そして、時代の変化にも通用する生涯にわたる技術の基礎づくりを目指します。
訓練修了時には、幅広い金属関連産業への就職に対応できるようにしています。 溶接や金属加工の技術・技能は、非常に幅広い分野で使われており、産業界になくてはならない大変重要な技能・技術であり、溶接や金属加工の「ものづくり」はとてもやりがいを持って仕事ができる業種です。
溶接と聞くと特殊な仕事のように思われるかも知れませんが、身近な生活の中ではイスや机などから、インテリア、家電家具、自動車等非常に幅広く使用されています。言い換えると、溶接技術を習得すれば非常に幅広い就職先を考えることができるということです。
訓練全体(6ヶ月間)の目標人材像(訓練目標)
- 鉄鋼材の加工および炭酸ガスアーク溶接作業の習得ができます。
- 機械板金作業および薄板のTIG溶接ができます。
(下記写真の訓練課題例参照)
【訓練課題例】

半自動アーク溶接用課題
(JIS溶接技能者評価試験の課題に準拠)

ティグ溶接用総合課題
(ステンレス鋼の圧力容器製作)
総訓練時間
- 684時間
1ヶ月ごとの訓練目標
1.「金属加工基本」

2.「被覆アーク溶接作業」
溶接棒を使用した溶接法で、鉄鋼材料に適用されます。被覆アーク溶接は、昔から行われている溶接です。必要な設備(機器)が他の溶接に比べ簡易で、野外等での現場溶接に用いられていることが多いです。
就職活動に有利なJIS溶接技能者資格の基本級(A-2F)を目標に溶接技量の向上を目指します。
※アーク溶接作業の特別教育の修了証が発行されます。

3.「ロボット溶接・レーザー加工・機械板金作業」
産業用ロボットのティーチング操作技術を習得します。溶接ロボットに半自動アーク溶接作業で習得した技能・技術を教示します。
※「産業用ロボットの教示」と「動力プレスの金型等の取付け、取り外し、又は調整」の業務に関する特別教育の修了証が発行されます。

4.「炭酸ガスアーク溶接作業」
一部自動化された溶接法で、鉄鋼材料に適用されます。半自動アーク溶接は、被覆アーク溶接に比べ高能率、高品質でかつ、ロボット等の自動化に適することから現在、鉄鋼材料の溶接の主流になっています。
就職活動に有利なJIS溶接技能者資格の基本級(SA-2F)取得を目標に訓練していきます。

5.「TIG(ティグ)溶接作業」
TIG溶接は、工業的に使用される様々な金属を高精度、高品質に溶接することが可能で、県内ではステンレス業界を中心にその適用が拡大しています。
ここでは、ステンレス鋼の他、アルミニウム合金のTIG溶接に関する技能、技術を習得します。任意で、JIS溶接技能者評価試験を受験することが可能です。

6.「非破壊検査・鉄鋼材加工」
ここでの非破壊検査作業は、主として溶接構造物を対象に実施します。浸透深傷試験や超音波深傷試験等、各種非破壊試験の基本操作や技能、関連知識を習得します。
また、曲げ加工と溶接加工を複合した作業を実際の疑似製品を題材 に訓練し、トータルな加工技術を習得します。

受講要件
過去の溶接経験
- 特に必要ありません
事前に習得していることが望ましいスキル
- 特に必要ありません
各訓練科共通要件
- 再就職を強く望んでおり、職業訓練を受講することに強い意欲を有している方
- 離職者訓練コースの内容を理解し、就職を希望する職務と入所希望訓練科との整合性がある方
- 職業訓練の安全確保及び訓練に支障を来さないような健康状態である方
- 職業訓練を受講する上で必要な、集合訓練における協調性のある方
※受講希望者が多数の場合、上記の条件を満たしていても受講できないことがあります。
受講料
無料です。
ただし、教科書代、作業服などの費用として(約20,000円)については、実費負担となります。
受講生の入所前の職種と修了後に就職した職種
溶接が未経験の方でも、下記のような溶接と関連する職種に就職されています。
(前職) (修了後の職種)
・電気工事士→ 溶接工
・仕上げ工 → 製缶工
・調理師 → 溶接工
・セールス → 非破壊検査作業
訓練に関する職種と仕事内容
主な職種
- 溶接工
溶接工の仕事
ものづくりにはかかせない基幹技術である『溶接技術』は、その適用分野が自動車、船舶、建築、鉄道車両、産業機械、食品機械、化学工業、家電など多岐にわたっています。
また、対象となる製品によって、材質や板厚、接合する継手形状が大きく異なり、要求される品質事項からも溶接法の種類や施工法(ロボットなどの自動化技術含む)が数多くあります。
このような状況から、溶接工の仕事内容は多様化しており、その難易度も様々です。実際に、"容易な加工方法で、ただ単に接合できていれば良いものから溶接継手の強度等、極めて要求品質が厳しいもの"まであります。
溶接職種との相性(こんな方に向いている)
"ものづくり"に興味があり、じっくり忍耐強く仕上がりを重視した作業ができる方。性別は全く問いません。
ただし、上述したように、溶接工の仕事の内容、密度は、様々であり、逆に言えば、自分の性格や技量、技術に向いている業界を選択できます。よく、『溶接の仕事は、つぶしが利く』と言われるのは、このためです。
訓練により就職可能な主な仕事
- 溶接作業による各種の構造物等を製作する業務
- 溶接ロボットによる各種製品の自動溶接
- 溶接前の工程や解体、補修も可能な構造物等の切断、溶断業務
- プレス加工、構造物等の非破壊検査、レーザー切断加工、機械板金作業による精密板金加工作業
求人票に記載されている職種名
電気溶接工、半自動溶接作業、ティグ(アルゴン)溶接工、製缶工、ロボット溶接オペレ−タ、板金・組立工、スポット溶接工、ガス切断工、非破壊検査作業員
就職後の仕事例(求人票より)
- 自動車部品の半自動溶接作業
- 自動車部品(ステンレス鋼)のティグ溶接作業
- 自動車部品のロボット溶接(炭酸ガス、マグ溶接法)
- トラックコンテナの製作、半自動溶接作業
- 特装車のコンテナ、部品の半自動溶接、荷台部分のティグ溶接作業
- 自動車ドアのパレット製作(プラズマ切断、半自動溶接)
- 建設機械部品の半自動溶接作業
- ティグ溶接、半自動溶接によるアルミニウム製水門の製作
- 専用焼却炉の設置、修繕(被覆アーク溶接)
- サインの取付け現地工事(被覆アーク溶接)
- 建築金物の製作(半自動溶接、ティグ溶接)
- 建築構造物、屋外現地作業(被覆アーク溶接)
- 建築構造物、工場内鉄骨コラムの製作(半自動溶接)
- 輸送船の補修、修繕作業(被覆アーク溶接、半自動溶接)
- 新造船建造(プラズマ切断、ガス切断、半自動溶接)
- 鉄道車両の補修、修繕作業(半自動溶接)
- 各種の溶接材料、ガス、溶接機器の販売、技術アドバイザー
- 配電盤用ケースの製作(ティグ溶接)
- 産業用機械の部品製作(半自動溶接、ティグ溶接)
- 食品機械の部品製作(プラズマ切断、ティグ溶接)
- 業務用ボイラの製作(被覆アーク溶接、ティグ溶接)
就職率
95・5%(平成28年度実績)
97.2%(平成27年度実績)
89.7%(平成26年度実績)
修了者の主な就職先
(株)ウィズソル 景山産業(株) 三建テック(株)
(株)村上ウェルディング (株)メタルフェニックス (五十音順)
賃金情報
修了者の採用時の賃金(給与総支給額)実績
- 30歳未満 平均14万円から18万円
- 30歳台平均14万円から18万円
- 40歳以上 平均14万円から20万円
訓練で習得した職業能力の就職先での活用状況
訓練を修了すると全員が被覆アーク溶接、半自動アーク溶接、ティグ溶接およびその関連技術に関する基礎的な技能・技術を習得できています。就職先では、これらを活用して即戦力で活かせる場合と、OJTが必要な場合があります(上述した理由から溶接作業の難易度が業種等により大きく異なるため)。
右記写真は、修了生(女性)が就職して半年以内に手がけた製品例(天吊式の行先標示塔)です。県内にある中四国最大級のショッピングセンター『ダイヤモンドシティソレイユ』館内に設置されています。ベテラン技能者から短期間のOJTを受け、テクニカルメタルワーク科で学んだ技術と合わせて完成させたそうです。
また、別のケースでは、熟練技能者からOJTによって技能が向上し、JIS溶接技能者試験およびアルミニウム溶接技術検定試験の専門級に、修了後、約1年以内に合格する方が数多くいます。修了生に聞くと「OJTとはいっても、金属加工科で学んだ基礎があるからこそ効率よく技能レベルが向上した。」とのこと。
このように、ある程度OJTが必要な場合でも技能において、修了生は着実に実力を発揮しており、就職先の企業からの評判も上々で、求人においてリピータ企業がここ数年、多くなってきています。

訓練修了時に取得できる資格
ガス溶接技能講習修了証 (広島労働局登録教習機関第23号、登録有効期間満了日平成31年3月30日)
ガス溶接等の業務は、労働安全衛生法第61条によって下記の者でなければ就業してはならないこととされております。当センターは、2)の都道府県労働局長の登録を受けた教習機関(広島労働局長登録教習機関23号)となっており、訓練修了者に対してガス溶接技能講習修了証が交付されます。
- ガス溶接作業主任者免許の所持者(都道府県労働局長が交付)
- ガス溶接技能講習修了証の所持者(都道府県労働局長の登録を受けた教習機関が交付)
- 上記に該当し満18歳以上の者
アーク溶接等の業務に係る特別教育修了証
労働安全衛生法59条第3項及び労働安全衛生規則第36条で、アーク溶接等の業務に労働者を就かせるときは、事業者が「安全衛生特別教育規程」に基づく安全または衛生のための特別の教育が義務づけられています。
本特別教育は、訓練中に実施し、修了時に特別教育修了証が当センター所長名で交付されます。
自由研削といしの取替え業務に係る特別教育修了証
労働安全衛生法第59条第3項及び労働安全衛生規則第36条で自由研削といしの取替え、取替え時の試運転業務等を行う業務に労働者を就かせるときは、事業者が「安全衛生特別教育規程」に基づく安全または衛生のための特別の教育が義務づけられています。
本特別教育は、訓練中に実施し、修了時に特別教育修了証が当センター所長名で交付されます。
クレーン運転業務に係る特別教育修了証
労働安全衛生法59条第3項及び労働安全衛生規則第36条で、5トン未満のクレーン運転の業務に労働者を就かせるときは、事業者が「安全衛生特別教育規程」に基づく安全または衛生のための特別の教育が義務づけられています。
本特別教育は、訓練中に実施し、修了時に特別教育修了証が当センター所長名で交付されます。
産業用ロボット教示等業務に係る特別教育修了証
労働安全衛生法第59条第3項及び労働安全衛生規則第36条で産業用ロボットの操作・教示等を行う業務に労働者を就かせるときは、事業者が「安全衛生特別教育規程」に基づく安全または衛生のための特別の教育が義務づけられています。
本特別教育は、訓練中に実施し、修了時に特別教育修了証が当センター所長名で交付されます。
動力プレスの金型等の取付け、取り外し、又は調整の業務に係る特別教育修了証
労働安全衛生法59条第3項及び労働安全衛生規則第36条で、動力により駆動されるプレス機械の金型の交換や調整の業務に労働者を就かせるときは、事業者が「安全衛生特別教育規程」に基づく安全または衛生のための特別の教育が義務づけられています。
本特別教育は、訓練中に実施し、修了時に特別教育修了証が当センター所長名で交付されます。
任意に取得する資格
訓練期間中に受講者の皆さんが習得した技能を活かして任意に受験して取得できる資格の一例です。受験手続きの説明や合格できる技能レベルへの到達は訓練中十分可能です。(※但し、合格を保証するものではありません。詳細につきましては、各実施機関へお問い合わせ下さい。)
手アーク溶接および半自動アーク溶接技能者資格(訓練開始3~4か月目に実施) ((社)日本溶接協会)
業界内で最も受験者が多く、広く認知されている公的資格です。
本資格には、基本級(下向姿勢の溶接)と専門級(立向、横向、上向姿勢および管の溶接)があり、さらに試験材料の種類と厚さ、溶接方法などとの組合せにより45種類ほどに資格が分かれます。金属加工科では、基本級の受験程度を溶接訓練をする上での目標とし、就職活動に少しでも有利になるようにしています。評価試験は学科試験と実技試験によって実施されます。
ステンレス溶接技能者資格 ((社)日本溶接協会)
上述した、(社)日本溶接協会が実施する溶接技能者資格の一種で、金属加工科の訓練内容から、ステンレス鋼のティグ溶接での受験(基本級)となります。この種目は板厚が1種類しかなく、3mm厚の薄板を使用します。近年、県内でのステンレス鋼ティグ溶接のニーズが高くなっていることから、受験する受講生が増えている資格です。
アルミニウム溶接技術検定資格((社)軽金属溶接構造協会)
アルミニウム溶接業界唯一の公的資格です。受験形態などは溶接技能者評価試験((社)日本溶接協会)と類似しています。金属加工科の訓練内容から、薄板(板厚3mm)のティグ溶接での受験(基本級)となります。県内ではアルミニウム鋼の仕事は多くありませんが、特殊性が高いため資格保有者が優遇されます。
広島県での受験が年2回(現在は6月と12月)となっておりますので、入所時期によっては他府県で受験していただくことになります。
玉掛け技能講習修了証((社)広島県労働基準協会)
1トン以上の荷物を玉掛け作業する作業の場合、玉掛け技能講習修了証が必要となります。「クレーンの運転」と「クレーンに荷物を掛ける作業」では必要な資格が異なるので、実際の作業では「クレーンの運転の資格」とこの資格を取得している必要があります。
各種非破壊試験技術者資格((社)日本非破壊検査協会)
非破壊検査は、材料、機器、構造物(溶接部)等の安全を確保するために必要な作業です。実務において、検査結果の精度は非破壊試験技術者の技量に大きく左右されるため、誰が行っても、何度行っても同じ結果、同じ評価が得られなければなりません。そのため非破壊試験技術者の技術レベルを一定にしておく必要があり、業界でも認知されている公的資格です。
関連:浸透探傷試験レベル2技術者資格
就職後のスキルアップ
就職後は、当センターで実施しています短期間の在職者向け職業訓練(能力開発セミナー(有料))を受講、就職先の実務経験を活かして、国家資格である技能検定に挑戦、(社)日本溶接協会のその他の種目を受験するなど、さらにスキルを向上させることができます。
当センターでは、就職後においても新たな職業能力の習得やこれまでの職業能力の更なる向上に係る相談・支援を行っています。お気軽にご相談下さい。
お問い合わせ先
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