被覆アーク溶接棒を用いて行うアーク溶接です。装置の使用法・保守点検、各種溶接棒の取扱い、各種溶接(すみ肉溶接、突合せ溶接等)の技能・技術及び知識を習得します。
※昔から行われている溶接法です。溶接に必要な設備等が他の溶接に比べ簡易です。
ものづくり溶接科のご案内
- 訓練の概要(訓練により習得できる技能)
- 受講要件
- 受講料
- 受講生の入所前の職種と修了後に就職した職種の例
- 訓練に関する職種と仕事内容
- 就職率
- 修了生の主な就職先
- 賃金情報
- 訓練で習得した職業能力の就職先での活用状況
- 訓練修了時に取得できる資格
- 任意に取得できる資格
- 就職後のスキルアップ
訓練の概要(訓練により習得できる技能)
被覆アーク溶接、半自動アーク溶接による鉄鋼材の各種溶接施工・段取り及びステンレス鋼・アルミニウム合金材のTIG溶接、機械板金等に関する技能・技術及び知識の習得をします。
訓練全体の目標人材像(訓練目標)
- 鉄鋼材の加工および炭酸ガスアーク溶接作業ができる。
- 被覆アーク溶接、TIG溶接法による溶接施工ができる。
(下記写真の訓練課題例参照)
総訓練時間
- 777時間(8月開講、2月開講)
- 666時間(6月開講、9月開講、12月開講、3月開講)
訓練到達目標
0.「導入講習」(8月開講、2月開講のみ)
個人・グループワークを通して企業が求める能力を理解し、コミュニケーション能力・ビジネスマナー・自分を表現する技法・パソコンの基礎(文書作成)等について学習し、仕事と自分のマッチングを高めることを目指す講習で、6か月の訓練の前に1か月行います。
1.「被覆アーク溶接作業」
2.「半自動アーク溶接作業」
炭酸ガスをシールドガスに用い溶接ワイヤが自動送給されるアーク溶接です。装置の使用法・保守点検、各種ワイヤの取扱い、各種溶接の技能・技術及び知識を習得します。
※作業効率が良いため、現在では主流の溶接法です。
3.「TIG溶接作業」
電極にタングステンを使用しアルゴンガスをシールドガスに用いて行うアーク溶接です。装置の使用法・保守点検、鋼・ステンレス・アルミニウム等の材料の取扱い、各種溶接の技能・技術及び知識を習得します。
※高品質で仕上がりの美しい溶接結果を得られる溶接法です。
4.「工作基本作業」
図面の読み方、工作基本作業(ヤスリがけ、けがき、ボール盤作業、グラインダによる研削等)、ガス溶接、切断作業に関する技能・技術及び知識を習得します。
5.「機械板金・動力プレス作業」
プレス、プレスブレーキ、シャーリングを用いて行う機械板金作業(金型の取付取外し、段取り、曲げによる伸び計算、展開図作成、曲げ加工)に関わる技能・技術及び知識を習得します。
6.「溶接施工・段取り作業」
溶接施工に関する知識(段取り、溶接条件検討等)及び鉄鋼構造物の鉄鋼構造物の鋼材加工法の技能・技術及び知識を習得します。また被覆アーク溶接及び半自動アーク溶接による水圧容器及び構造物課題(材料棚、椅子等)の製作を通して、ものづくりの一連の工程を習得します。
受講要件
過去の当該訓練分野の経験
- 特に必要ありません。
事前に習得していることが望ましいスキル
- 特に必要ありません。
各訓練科共通要件
- 訓練に関連する職種への就職を希望している方
- 訓練を受講することに熱意を有している方
- 訓練の内容を理解するために必要な基礎学力を有している方
- 訓練受講・修了に支障がないこと(健康状態・受講態度等)
受講料
無料です。ただし、テキスト代(約7,000円)、訓練生総合保険料(任意)(入所月により変動4,900~5,550円)、作業服等が必要です。
受講生の入所前の職種と修了後に就職した職種の例
当該訓練分野の経験が無い方でも、下記のような関連職種に就職されています。
(前職) (修了後の職種)
切断工 → 圧力容器の溶接工
飲食店店員 → 鉄骨構造物の溶接工
労務管理者 → 工作機械の板金・溶接加工
高圧ガス販売員 → 鉄骨構造物の溶接工
警備業 → 建築金物の溶接工
訓練に関する職種と仕事内容
主な職種名
溶接工、プレス工、製缶工
溶接工の仕事
造船所などで組立作業をはじめ、ビルや橋などの鉄骨建設現場や各種機器の製造などで、製品や構造物を溶接するのが、溶接工です。
溶接とは、金属材料の接合する部分のすき間に、溶接棒やワイヤを接触させ、そこに熱を加えて、金属材料と溶接棒を同時に溶かしながら、必要な長さや厚さで接合することです。
溶接工は、まず、溶接する材料によって、適切な電流や電圧に調整して、適切な溶接棒やワイヤを選んで、作業をします。作業時に発生するガスや飛び散る高温の金属から身体を守るため、溶接工は、耐熱の作業服やマスク、強い光から目を守るために遮光マスクを着用します。
溶接工は、接合部分に空洞やムラが出来ないように注意しながら、溶接棒やワイヤを操作して、作業をします。また、ビルや橋などの建設現場での溶接作業の場合、高所や足場の上などで行われるため、常に安全に気を配ります。
溶接職種との相性(こんな方に向いている!)
“ものづくり”に興味があり、じっくり忍耐強く仕上がりを重視した作業ができる方
訓練により就職可能な主な仕事
- 溶接作業による構造物等を製作する業務
- 切断・溶断による構造物等の解体業務
- 溶接施工関連の業務
求人票に記載されている職種名
ガス溶接工、ガス切断工、スポット溶接工、電気溶接工、溶接士、製缶工、溶接(半自動)作業、溶接・板金・組立工
就職後の仕事例(求人票より)
- 鋼板の溶接作業
- 自動車部品などの小物溶接作業
- 空調機器・冷凍機タンク溶接作業
- 介護福祉機器のTIG溶接(アルゴン溶接)作業
- 金属部品の溶接
※この分野は未経験者でも優遇する求人が多い傾向にあります。
就職率(訓練修了後3か月までの実績)
86.7%(令和4年度)
修了生の主な就職先例
- 川口精機(株)(溶接工)
- (株)ケーイーコーポレーション(溶接工)
- (有)岩倉溶接工業所(溶接工)
- (有)狩野鈑金製作所(板金、溶接工)
賃金情報
修了者の採用時の賃金(給与総支給額)実績
約16万円から25万円
訓練で習得した職業能力の就職先での活用状況
訓練を修了すると全員が被覆アーク溶接、半自動アーク溶接、TIG溶接の下向き姿勢の溶接技能の基本は習得できていますので、この基本技能を活用して、就職先企業で製作する部品、製品の溶接ができるようになります。
就職後は、就職先の仕事内容によっても異なりますが、訓練で習得した技能・技術によって3か月程度で概ね就職先社員のOJT(注)により、製作物の一部であれ、就職先が期待する仕事(標準的な作業時間と品質・仕上がり)ができるようになります。およそ、2~3年で熟練度は向上し、細かく指示されなくとも自らの判断で仕事ができるようになります。(注)OJTとは、On the Job Trainingという和製英語の略語で、職場の上司、先輩などが新人などに対して職場で実地訓練を行うことです。
訓練修了時に取得できる資格
ガス溶接技能講習
ガス溶接等の業務は、労働安全衛生法第61条によって下記の者でなければ就業してはならないこととされております。当センターは、都道府県労働局長の登録を受けた教習機関(静岡労働局長登録教習機関第14号 有効期間満了日 令和11年3月30日)となっており、訓練修了者に対してガス溶接技能講習修了証が当センター所長名で交付されます。
- 1)ガス溶接技能講習修了証の所持者(都道府県労働局長の登録を受けた教習機関が交付)
- 2)上記に該当し満18歳以上の者
アーク溶接等の業務に係る特別教育
- 労働安全衛生法第59条第3項及び労働安全衛生規則第36条で、アーク溶接等の業務に労働者を就かせるときは、事業者が「安全衛生特別教育規程」に基づく安全又は衛生のための特別の教育が義務づけられています。
- 本特別教育は、訓練中に実施し、修了時に特別教育修了証が当センター所長名で交付されます。
自由研削といしの取替え等の業務に係る特別教育
- 労働安全衛生法第59条第3項及び労働安全衛生規則第36条で研削といしの取替え、取替え時の試運転業務等を行う業務に労働者を就かせるときは、事業者が「安全衛生特別教育規程」に基づく安全又は衛生のための特別の教育が義務づけられています。
- 本特別教育は、訓練中に実施し、修了時に特別教育修了証が当センター所長名で交付されます。
動力プレスの金型等の取り付け、取り外し又は調整の業務に係る特別教育
- 労働安全衛生法第59条第3項及び労働安全衛生規則第36条で動力プレスの金型等の取り付け、取外し又は調整の業務に労働者を就かせるときは、事業者が「安全衛生特別教育規程」に基づく安全又は衛生のための特別の教育が義務づけられています。
- 本特別教育は、訓練中に実施し、修了時に特別教育修了証が当センター所長名で交付されます。
任意受験により取得できる資格
訓練期間中に習得した技能等を活かして任意に受験し取得できる資格の一例です。
(※ただし、合格を保証するものではありません。詳細は、各資格の実施機関へお問い合わせください)
各種溶接技能者評価試験
溶接作業を行う作業者である“溶接技能者”の資格で、基本級(下向姿勢の溶接)と 専門級(立向、横向及び上向姿勢の溶接並びに管の溶接等)があり、さらに試験材料の種類と厚さ、溶接方法などとの組合せにより45種類ほどに資格が分かれます。試験は学科試験及び実技試験(資格の種別に応じた試験材料に溶接作業を行う。)によって評価されます。
※専門級は、基本級が合格していないと受験できません。
実際の訓練では、専門級の技能についても行います。専門級は、就職してからの仕事内容によっても異なりますが、就職して1年以内に取得されている方が多い傾向にあります。
※別ウィンドウで(社)日本溶接協会のホームページが開きます。
就職後のスキルアップ
就職後も、当センターで実施しています短期間の 在職者向け職業訓練(能力開発セミナー(有料)) を受講することで、さらにスキルを向上させることができます。当センターでは、就職後においても新たな職業能力の習得やこれまでの職業能力の更なる向上に係る相談・支援を行っています。お気軽にご相談下さい。