機械加工技術科(企業実習付)のご案内
訓練の概要(訓練により習得できる技能)
熟練技術者の退職による技能伝承不足や製造力の低下などにより、生産現場では今後の日本のものづくりを担う若年人材が求められています。
本科は、6か月間の施設内訓練を通して、加工図面を読み取るための知識を学び、汎用工作機械による「ものづくり」に必要な加工法、工具の活用法、NC機械による加工に関する基礎的技能を習得します。
さらに1か月間の企業実習で現場に即した訓練を行い、機械加工で「ものづくり」ができる実践的な技能技術者を養成します。
※最初の1か月間は導入訓練としてビジネスマナー、グループワーク、コミュニケーションの基本、パソコンの基礎、機械を扱ううえでの基礎数学等を習得します。
訓練全体(7か月間)の目標人材像(訓練目標)
- 汎用工作機械(普通旋盤・フライス盤)による加工ができる。
- NC工作機械(NC旋盤・マシニングセンタ)による加工ができる。
総訓練時間
- 785時間
1か月ごとの訓練目標
1.「機械工作基本」
ものを正確に作るためには、平面上に書かれた機械図面から正確な形を想像する能力と、作った形が図面通りのものなのかを調べる能力が必要です。このため、はじめに機械製図基礎によって図面の読み方を学びます。次に、長さや大きさを測る測定器の取り扱い方法について学びます。さらに、”削る”、”切る”、”穴をあける”といった基本的な加工法を、ヤスリやボール盤といった比較的身近な機械や道具を用いて学びます。
1か月を通じて、図面を読む、ものを測りながら加工するといった、機械工作における一連の流れを習得します。さらに、工作機械を扱う上での安全に関する基礎知識を習得します。
※規定時間の受講により「機械研削といし特別教育修了証」が取得できます。
2.「普通旋盤作業」
旋盤は材料を回転させて、固定したバイトと呼ばれる工具を動かしながら切削加工して、目的の形を作る工作機械です。普通旋盤は、回転を電力によって動かしますが、工具を動かす操作は、手でコントロールするため、機械操作の習熟が必要です。旋盤で作られる形は、円筒形状や円錐形状のものが多く、”シャフト”や”ピン”と呼ばれるものは旋盤で作られています。また、電車や自動車などの車輪も旋盤で作られます。
訓練では、普通旋盤の正しい操作と各切削加工(内外径・テーパ・ねじ切り等含む、はめ合わせ)作業ができる専門的な技能及び関連知識を習得します。また、0.01mmの世界の加工ができるような職人になるために、機械加工に対する感性も鍛えます。
3.「フライス盤作業」
フライス盤は、「ミル」という回転工具を用いて、機械の可動式テーブルに固定した材料を動かしながら切削加工を行う工作機械です。フライス盤は、角型形状や多角形形状のものを主として加工し、きれいな平面を正確に仕上げたりする加工を得意としています。家電製品など身近な機械製品以外にも、工場で使われる機械も作ることができます。
訓練では、汎用フライス盤の正しい操作と各切削加工(六面体加工・段付き・勾配削り、はめ合わせ)作業ができる専門的な技能及び関連知識を習得します。
4.「NC旋盤加工」
NC旋盤は、普通旋盤にコンピュータがついた工作機械です。材料の回転だけでなく工具の移動や工具の交換もコンピュータ制御で動かすことができるため、常時加工者がいなくても加工が可能な工作機械として広く使われています。しかし、図面通りの形に加工するためには、加工するためのプログラムの入力・修正と、誤差を修正するための機械操作等が必要であり、加工者の手助けが必要となります。
訓練では、NC旋盤の基礎知識、プログラミング手法及び、NC旋盤作業に関する技能と知識を習得します。
5.「マシニングセンタ加工作業」
マシニングセンタは、フライス盤にコンピュータがついた工作機械です。NC旋盤と同様にマシニングセンタは、無人加工が可能な工作機械として広く使われています。また、NC旋盤と同様に、常時加工者がいなくても加工が可能な工作機械として広く使われています。しかし、図面通りの形に加工するためには、加工するためのプログラムの入力・修正と、誤差を修正するための機械操縦等が必要であり、加工者の手助けが必要となります。
マシニングセンタの基礎知識、プログラミング手法及び、加工作業に関する技能と知識を習得します。
7.「企業実習」
実際の製造現場にて、“製品をつくる”工程を体験していただきます。ものをつくり上げていく時の工程や、自分のつくったものがどこで活用されているかを知る事ができるなど当センターの訓練では体験できないようなことができます。“練習”ではなく製品をつくる現場ですので、普段の訓練より緊張感を持たなければなりませんが、終了後は皆達成感や様々な経験ができ好評です。
また、事業主様と実習生がお互い気に入れば相談の上そのまま就職するケースもあります。
8.「フォローアップ訓練」
フォローアップ訓練とは、企業実習先にて実践的な技能・技術を学んだあと、ポリテクセンターに戻り、再度復習を行ったり、更なる応用課題に取り組みことを指します。指導員と各訓練生とのマンツーマンの訓練となります。
企業実習付コースとは
(導入講習付)企業実習付コースは、7か月の訓練となります。訓練内容は、最初の1か月は導入講習としてビジネスマナー、コミュニケーションの基本、職務経歴書の作成などの習得を行います。2か月目からは機械加工技術科に関する訓練をおこなったのち、6か月目に企業実習(約1か月)をおこないます。さらに、企業実習終了後に企業実習の経験をもとにしたフォローアップ訓練を1か月行い、即戦力としての能力を高めます。このコースは、概ね55歳未満の方が対象となります。
動画でみる 『日本版デュアルシステム【短期課程活用型】とは』 (1分14秒)動画でみる 『日本版デュアルシステム【短期課程活用型】の制度について』 (5分10秒)
※詳しく知りたい方は 日本版デュアルシステム【短期課程活用型】
をご参照下さい
受講要件
年齢制限
- 概ね55歳未満の方
過去の機械加工の経験
- 特に不要。
事前に習得していることが望ましいスキル
- 特に不要。
各訓練科共通要件
- 訓練に関連する職種への就職を希望していること
- 訓練を受講することに熱意を有すること
- 訓練の内容を理解するために必要な基礎学力を有していること
- 訓練受講・修了に支障がないこと(健康状態や受講態度等)
※受講希望者が多数の場合、上記の条件を満たしていても受講できないことがあります。
受講料
無料です。ただし、教科書(約6,000円)、作業服・作業帽・安全靴費用については自己負担です(作業服等は、お持ちであれば購入する必要はありません。)。 また、職業訓練生総合保険加入代として、5,550円が必要となります。
受講者の入所前の職種と修了後に就職した職種
(ただし、必ずしも下記のとおり就職できるとは限りませんので、ご了承願います。)
(前職) (修了後の職種)
電気施工管理者 → フライス工
営業 → 汎用・NC機械工
映像技術者 → NC旋盤工
メッキ工 → NC工作機械工
舞台照明技師 → 製造工程管理
訓練を受講し、就職した修了生の“生”の声がご覧になれます。
訓練に関する職種と仕事内容
主な職種
機械加工技能者
機械工の仕事
- 金属工作機械を使い、さまざまな金属に、切る・削る・穴を開ける・溝を切る・磨き仕上げるなどの加工をするのが、金属工作機械工です。違う形状のものを少量だけ加工する場合は、人の手で加工する汎用旋盤を使います。まず製品の図面に基づいて、材質・加工精度に応じた刃物を選び、角度や削る強さ、回転数、送りの速度などを決めます。そして、旋盤の設定が終わったら、知識や技術・経験を駆使して、材料を要求された形に加工します。
- 同じ形状のものを大量に加工する場合は、加工条件を数値化し、連続自動加工するNC旋盤を使います。NC旋盤では、要求される精度を出すため、最適な加工条件を正確にプログラミングします。 次に、設定が終わったら、精度を確認するための試削りを行います。試作品を正確に計測し、必要に応じて何度でもプログラムを修正します。そして、精度が安定したら、連続的に自動加工します。
- 金属工作機械工には、期限内に、決められた数の製品を、高い精度で正確に加工することが求められます。
職種との相性(こんな方に向いている。)
“ものづくり”に興味があり、何かを作ったり組み立てたりすることが好きな方。
訓練により就職可能な主な仕事
- 汎用工作機械(旋盤・フライス盤)を用いた金属加工
- NC加工機を使用した加工及びオペレーション
求人票に記載されている職種名
機械加工技能者、 NC工作機械オペレータ、金型製作、金属加工、生産技術、機械技術者、機械メンテナンス、メカエンジニア、生産技能職、製造職、生産技術職、生産管理職等
就職後の仕事例(求人票より)
- 旋盤、フライス盤を使用し、金属の切削加工を行う。
- パソコンにより NCプログラムを作成し、金型をNC加工で製作する。
- 自動車部品生産技術、図面を見て製造工程を理解する。
- マシニングセンタをはじめとした最新の NC加工機を導入した機械加工専用の工場などでの業務。
- 精密機器・自動車の生産技術。
就職率
100.0% (令和4年度)
修了者の主な就職先例
外部のサイトへリンクします。
修了生の活躍事例
修了生と修了生を採用された企業からお話を伺いました。
賃金情報
修了者の採用時の賃金(給与総支給額)実績
- 17万円~25万円
訓練で習得した職業能力の就職先での活用状況
機械加工技術科(企業実習付)の訓練を修了することにより “ものづくり”の面白さと大切さがわかります。加工技能の基本は習得できていますので、この基本技能を活用して、就職先企業で製作する部品、製品を汎用機械やNC加工機を使った製造ができるようになります。汎用機を使った機械加工では技能検定の2級程度の技能を習得しておりますので、企業に溶け込みやすいのも特徴です。 就職後は、就職先の仕事内容によっても異なりますが、訓練で習得した技能・技術によって概ね3か月から6か月程度でベテラン技能者のOJTにより、就職先が期待する仕事(標準的な作業時間と品質・仕上がり)ができるようになります。およそ、2~3年で熟練度は向上し、細かく指示されなくとも自らの判断で仕事ができるようになります。
訓練終了時に取得できる資格
機械研削といしの取替え業務に係る特別教育修了証
労働安全衛生法第59条第3項及び労働安全衛生規則第36条で研削といしの取替え、取替え時の試運転業務等を行う業務に労働者を就かせるときは、事業者が「安全衛生特別教育規程」に基づく安全または衛生のための特別の教育が義務づけられています。 本特別教育は、訓練中に実施し、特別教育修了証が当センター所長名で交付されます。
任意に取得できる資格
訓練コースに関連する分野の資格の一例です。 (ただし、合格を保証するものではありません。また、受検には、学歴等により実務経験が必要となる場合がありますので、受験資格等詳細につきましては、各実施機関へお問い合わせ下さい。)
- 技能検定 機械加工(普通旋盤作業2級) ( 中央職業能力開発協会 )
- 技能検定 機械加工(フライス盤作業2級) ( 中央職業能力開発協会 )
就職活動支援
専門スタッフのサポートを受けていただきながら、当センターやハローワークに寄せられた求人をご紹介いたします。
就職後のスキルアップ
就職後は、当センターで実施しています短期間の在職者向け職業訓練(能力開発セミナー(有料))を受講するなどし、就職先で必要なスキルを向上させることができます。当センターでは、就職後においても新たな職業能力の習得やこれまでの職業能力の更なる向上に係る相談・支援を行っています。お気軽にご相談下さい。
お問い合わせ先
訓練第一課 訓練支援係
TEL
075-951-7397
FAX
075-951-7393
kyoto-poly03@jeed.go.jp