工作法(ヤスリ、けがき作業等)の概要と簡単な図面の読み方、測定法(スケール、ノギス等の使用法)、孔あけ、研削などについて学びます。また、安全に関する特別教育を受講し、安全作業の関連知識と安全に関する基本作業を習得します。
また、溶接する材料の準備やガス溶接・切断作業を実施し、関連知識を習得します。
※溶接以外にも金属加工には工作機械・工具等を使用し、それらの取扱いを習得します。
金属加工科のご案内
訓練の概要(訓練により習得できる技能)
「溶接作業」では、構造物の製作に不可欠な溶接・接合技術の技能と関連知識を身につけ、求人企業から求められている最低限の専門知識及び技能・技術が習得できます。一般的に広く使用されている各種溶接法および施工法を実学一体形式の訓練により熟練度の高い技能・技術を学ぶことができるカリキュラムになっています。
「板金作業」では、プレス機械を使って一枚の薄い金属板から箱などを組み立てて作り、機械板金加工・プレス機械作業に必要な、基本的要素技能及び関連知識を習得できます。
初心者の方でも十分にできるような訓練内容になっています。
訓練全体(6ヶ月間)の目標人材像(訓練目標)
溶接と機械板金に関する企業への就職を目指す訓練コースです。訓練内容は「金属加工の基本と被覆アーク溶接および機械板金」が3カ月間、「TIG(ティグ)溶接と炭酸ガスアーク溶接」が3か月間となっています。金属の平らな板を立体にするための基本的な知識と技能を学びます。
(下記写真の訓練課題例参照)
訓練課題例
総訓練時間
- 670時間
訓練到達目標
1.「金属加工基本」
2.「被覆アーク溶接」
作業者が手で行う溶接で、下向きの姿勢による「すみ肉溶接」・「突合せ溶接」を習得します。また、関連知識を習得します。
※被覆アーク溶接は、昔から行われている溶接です。必要な設備等が他の溶接に比べ簡易です。
3.「機械板金」
板金展開図法による作図法と機械板金作業による加工方法を習得します。板金とは、金属の薄い板を切断したり、折り曲げたりして、製品にする加工法で、実習ではプレス機械を使用して、箱などを製作して板金作業を習得します。
4.「鉄鋼材加工」
鉄鋼構造物の鋼材加工や、組立・溶接作業に関する基礎的な技能及び関連知識を習得します。
5.「TIG(ティグ)溶接」
主にステンレス鋼の薄い板の材料で、下向きの姿勢による溶接を習得します。また、関連知識を習得します。
※TIG溶接は、アルゴンなどの不活性ガス中でタングステン電極と母材(溶接を行おうとしている材料)との間にアークを発生させ、溶融・接合する溶接方法で「アルゴン溶接」とも呼ばれます。車のマフラーや台所の流しなど、汚れてはいけない所や細かい物を溶接する際に用います。その他の非鉄金属(アルミ合金など)の溶接にも対応している溶接法です。
6.「炭酸ガスアーク溶接」
いろいろな厚さの鉄鋼の板を材料として、主に下向きの姿勢による溶接を習得します。また、関連知識を習得します。
※炭酸ガスアーク溶接は一部自動化されており、「半自動溶接」の代表的な溶接方法です。安全性が高く、能率・効率が良いことから、現在主流になっています。
受講要件
過去の溶接経験
- 特に不要
各訓練科共通要件
- 訓練に関連する職種への就職を希望している方
- 訓練を受講することに熱意を有している方
- 訓練の内容を理解するために必要な基礎学力を有している方
- 訓練受講・修了に支障がないこと(健康状態・受講態度等)
※受講希望者が多数の場合、上記の条件を満たしていても受講できないことがあります。
受講料
無料です。ただし、教科書代については、実費負担となります。
他に作業服、作業帽、安全靴が必要となります。ただし、お手持ちのものがあり、作業服の生地が綿100%であるなど訓練内容に合致するものであれば購入の必要はありません。
受講者の入所前の職種と修了後に就職した職種の例
溶接が未経験の方でも、下記のような溶接と関連する職種に就職されています。
前職 | 終了後の職種 |
---|---|
タイヤ販売 | 建築土木業の溶接工 |
製造業の塗装 | 建築鉄工業の溶接工 |
旋盤で荒引き加工 | 溶接曲げ |
営業事務 | 製缶工 |
訓練に関する職種と仕事内容
主な職種
溶接工、板金工
溶接工の仕事
造船所などで組立作業をはじめ、ビルや橋などの鉄骨建設現場や各種機器の製造などで、製品や構造物を溶接するのが、溶接工です。
溶接とは、金属材料の接合する部分のすき間に、溶接棒やワイヤを接触させ、そこに熱を加えて、金属材料と溶接棒を同時に溶かしながら、必要な長さや厚さで接合することです。
溶接には、溶接工が溶接棒やワイヤを1本1本操作する手溶接と、ワイヤが自動的に供給される半自動溶接があります。
溶接工は、まず、溶接する材料によって、適切な電流や電圧に調整して、適切な溶接棒やワイヤを選んで、作業をします。作業時に発生するガスや飛び散る高温の金属から身体を守るため、溶接工は、耐熱の作業服やマスク、強い光から目を守るために遮光マスクを着用します。
溶接工は、接合部分に空洞やムラが出来ないように注意しながら、溶接棒やワイヤを操作して、作業をします。
また、ビルや橋などの建設現場での溶接作業の場合、高所や足場の上などで行われるため、常に安全に気を配ります。
溶接職種との相性(こんな方に向いています)
「ものづくり」に興味があり、じっくり忍耐強く仕上がりを重視した作業ができる方。性別は全く問いません。
訓練により就職可能な主な仕事
- 溶接作業による構造物等を製作する業務
- 切断・溶断による構造物等の解体業務
- プレスブレーキ等による曲げ加工
- TIG溶接機・半自動溶接機・スポット溶接機による板金・製缶・溶接作業
- 配電盤・制御盤等のキャビネット製作
- 薄物・箱物の製缶作業
- 半自動溶接機による鉄骨構造物や機械部品の溶接加工
求人票に記載されている職種名
- ガス溶接工
- ガス切断工
- スポット溶接工
- 電気溶接工
- 溶接士
- 製缶工
- 溶接(半自動)作業
- 溶接・板金・組立工
就職後の仕事例(求人票より)
- 自動車部品厚さ3~5ミリの鋼板への半自動溶接作業
- 自動車部品、パレットなどの小物溶接作業
- 農業機械部品、ユニットバス取付部品、建設機械部品の溶接作業
- 砂利採石機械に取り付ける鋼製網の鋼の打ち抜き及び溶接作業
- 大型空調機の溶接(半自動溶接)
- 運搬機械フレームの溶接作業
- 看板の鉄骨加工及び、溶接作業等
- 冷凍車の荷台部分のTIG溶接(アルゴン溶接)作業
- タンクローリー車、のボディ組み付け及び溶接業務
- ミキサー車の半自動溶接作業
- 鉄道車両及び輸送機部品の溶接作業
- バス製造工程の溶接作業
- 設備設計およびメンテナンス、メカ組立・溶接、工程票作成・管理
就職率
92.9%(金属加工科 令和5年度修了分 実績値)
修了者の主な就職先
- (株)IHI回転機械製造
- オリロー(株)
- 後藤金属工業(株)
- ナウエス精工(株)
- 今泉テント(株)
- (株)田村製作所
- (株)星野製作所
- (株)大島鐵工所
- (株)本宏製作所
- (株)北川堂製作所
(順不同 敬称略)
訓練で習得した職業能力の就職先での活用状況
訓練を修了すると全員が被覆アーク溶接、半自動アーク溶接、TIG溶接の下向き姿勢の溶接技能の基本は習得できていますので、この基本技能を活用して、就職先企業で製作する部品、製品の溶接ができるようになります。
就職後は、就職先の仕事内容によっても異なりますが、訓練で習得した技能・技術によって3ヶ月程度で概ね就職先でのベテラン技能者のOJTにより、製作物の一部であれ、就職先が期待する仕事(標準的な作業時間と品質・仕上がり)ができるようになります。およそ、2~3年で熟練度は向上し、細かく指示されなくとも自らの判断で仕事ができるようになります。
工場内でのベテラン技能者のOJTによって技能が向上し、手溶接技能者((一社)日本溶接協会)の専門級にも約1年以内に合格する者もいます。
修了時に取得できる資格
ガス溶接技能講習修了証(新潟労働局登録教習機関第27号有効期間満了日令和11年3月30日)
- ガス溶接等の業務は、労働安全衛生法第61条によって下記の者でなければ就業してはならないこととされております。当センターは、2)の都道府県労働局長の登録を受けた教習機関となっており、訓練修了者に対してガス溶接技能講習修了証が当センター所長名で交付されます。
1)ガス溶接作業主任者免許の所持者(都道府県労働局長が交付)
2)ガス溶接技能講習修了証の所持者(都道府県労働局長の登録を受けた教習機関が交付)
3)上記に該当し満18歳以上の者
アーク溶接等の業務に係る特別教育修了証
- 労働安全衛生法59条第3項及び労働安全衛生規則第36条で、アーク溶接等の業務に労働者を就かせるときは、事業者が「安全衛生特別教育規程」に基づく安全または衛生のための特別の教育が義務づけられています。
- 本特別教育は、訓練中に実施し、修了時に特別教育修了証が当センター所長名で交付されます。
自由研削といしの取替え業務に係る特別教育修了証
- 労働安全衛生法第59条第3項及び労働安全衛生規則第36条で研削といしの取替え、取替え時の試運転業務等を行う業務に労働者を就かせるときは、事業者が「安全衛生特別教育規程」に基づく安全または衛生のための特別の教育が義務づけられています。
- 本特別教育は、訓練中に実施し、修了時に特別教育修了証が当センター所長名で交付されます。
任意に取得できる資格
訓練期間中に受講者の皆さんが習得した技能を活かして任意に受験して取得できる資格の一例です。
受験手続の説明や合格できる技能レベルへの到達は訓練中十分可能です。
(※ただし、合格を保証するものではありません。詳細につきましては、各実施機関へお問い合わせ下さい。)
各種溶接技能者
溶接作業を行う作業者“溶接技能者”の資格で、基本級(下向姿勢の溶接)と 専門級(立向、横向及び上向姿勢の溶接並びに管の溶接等)があり、さらに試験材料の種類と厚さ、溶接方法などとの組合せにより45種類ほどに資格が分かれます。試験は学科試験及び実技試験(資格の種別に応じた試験材料に溶接作業を行う。)によって評価されます。
専門級は、基本級が合格していないと受験できません。
就職後のスキルアップ
就職後は、当センターで実施しています短期間の 在職者向け職業訓練(能力開発セミナー(有料)) を受講したり、就職先の実務経験を活かして、国家資格である技能検定に挑戦したり、(一社)日本溶接協会の手溶接技能者のその他の種目を受験したりするなど、さらにスキルを向上させることができます。当センターでは、就職後においても新たな職業能力の習得やこれまでの職業能力の更なる向上に係る相談・支援を行っています。お気軽にご相談下さい。
お問い合わせ先
ポリテクセンター新潟 【訓練課受講者係】
TEL
0258-33-2733
FAX
0258-33-2422