溶接の基礎知識
溶接の基本作業
溶接とは「鉄と鉄を溶かしてくっつけること」です。鉄を溶かすのに電気の力(アーク)を使います。屋外作業での溶接をはじめ、設備費用があまりかからないため、様々な業種で使われています。
溶接ものづくり科
- 訓練の概要(訓練により習得できる技能)
- 受講要件
- 受講料
- 受講生の入所前の職種と修了後に就職した職種の例
- 訓練に関する職種と仕事内容
- 就職率
- 修了生の主な就職先
- 賃金情報
- 訓練で習得した職業能力の就職先での活用状況
- 訓練受講中に取得できる資格
- 任意受験により取得可能な資格
- 職業訓練指導員から
- 修了生の声・修了生の活躍事例
- 修了生の就職事例
- 就職後のスキルアップ
- 溶接ものづくり科 潜入レポート!(愛媛こまち2014年12月号) (8.94 MB)
- 溶接女子会(一般社団法人 日本溶接協会)
訓練の概要(訓練により習得できる技能)
訓練では、構造物の製作に不可欠な溶接・接合技術の技能と関連知識を身につけ、求人企業から求められている最低限の専門知識及び技能・技術が習得できます。一般的に広く使用されている各種溶接法および施工法を実学一体形式の訓練により熟練度の高い技能・技術を学ぶことができるカリキュラムになっています。また、訓練修了時の目標人材像を2つ設定し、関連職種に幅広く対応できるようにしています。
【導入講習付コース(7ヵ月コース)】
導入講習付コースは、「導入講習」(15日間)を組み合わせた約7ヵ月間の訓練コースです。
導入講習は、「自己理解を深め、将来の働き方を考えたい」「就職活動や面接、基本的なパソコン
スキルに不安がある」といった方にオススメで、キャリアを振り返り、就職活動の進め方を再確認
するとともに、ビジネススキルやパソコンスキルの向上を目指します。
〔導入講習のカリキュラム内容〕
①就職のための職業能力開発の導入(これまでの振り返り、訓練内容の把握、仕事理解)
②チームで働く力(コミュニケーションの基本、ビジネスマナー、チームビルディング)
③考え行動する力
(自分の強み弱みの表現、自己表現、自己アピール、会社内のコミュニケーション)
④仕事を見つける力(職業適性、興味のある仕事の検索、仕事に必要な能力、会社が求める人材)
⑤IT基礎(コンピュータの基礎知識、パソコン活用演習<文書作成・表計算>)
訓練全体(6ヵ月間)の目標人材像(訓練目標)
- TIG溶接法による溶接施工及び被覆アーク溶接作業ができる。
- 鉄鋼材の加工及び炭酸ガスアーク溶接作業ができる。
総訓練時間
751時間(導入講習付7ヵ月コース)、661時間(6ヵ月コース)
訓練到達目標
1.「被覆アーク溶接作業」 (幅広い業界で使われている溶接)
2.「TIG溶接作業」 (火花の出ない高品質な溶接)
鋼、ステンレスの溶接
アルミニウムの溶接
TIG溶接は、金属であれば、ほぼなんでも溶接できる優れものです。作業中に火花が発生しないので、高品質(外観が綺麗)な溶接を行えます。一般的にはステンレスやアルミの溶接に使われます。
3.「非破壊検査・鉄鋼材加工」 (金属内外のキズを探す方法)
超音波探傷試験
製品が完成した後、「合格品」か「不合格品」か検査をします。溶接を行った後はどのように検査を進めていくのかを学びます。
構造物課題の製作
図面を読んで、必要な材料を切断し、穴をあけたり、組み立てをして、最後に溶接で構造物(製品)の製作を行います。
クレーン運転の業務に係る特別教育
人力では大変な運搬作業も、クレーンを使えば楽にできます。鉄工所などでは重量物を取り扱うことが多いのでクレーンが大活躍しています。
玉掛け技能講習
クレーンに荷物を「掛けたり」「外したり」することを「玉掛け作業」と呼びます。バランスよく玉掛けをしないと、運搬している時などに荷物が地面に落ちてしまい事故になりかねないので、資格を持っている人しか玉掛け作業はできません。
4.「情報処理技術・CAD製図作業」 (パソコン上で図面を作成する方法)
ワード、エクセルでのデータ処理
CADを用いた図面作成
ワード、エクセルでのデータ処理の基本を学びます。
CADというソフトを使ってパソコン上で図面を作成してみましょう。
5.「薄板金属加工作業」 (金属の切断、曲げ、穴あけなどの加工)
手曲げ、機械曲げ作業
ガス溶断作業
薄板金属加工作業
薄い金属に「穴をあけたり」「曲げたり」して製品を作ることを「板金作業」といいます。金属製のロッカーやパソコン本体の外箱等が代表的な板金製品です。
ガス溶断は、ハサミや機械では難しい厚さの鉄板を切断したり、構造物を解体する際に使用します。
6.「炭酸アーク溶接作業」 (国内で多く普及している溶接)
各種姿勢溶接
自由製作
炭酸ガスアーク溶接は、被覆アーク溶接に比べて、作業スピードが圧倒的に早く効率が良いので、屋内の溶接作業では多く普及しています。
受講要件
過去の溶接の経験
特に不要
事前に習得していることが望ましいスキル
特に不要
各訓練科共通要件
- 再就職を強く望んでおり、職業訓練を受講することに強い意欲を有している方
- 離職者訓練コースの内容を理解し、就職を希望する職務と入所希望訓練科との整合性がある方
- 職業訓練の安全確保及び訓練に支障を来たさないような健康状態である方
- 職業訓練を受講するうえで必要な、集合訓練における協調性のある方
受講料
受講料は無料です。ただし、教科書代については、実費負担となります。
※テキスト代:7ヵ月コース/約18,000円 6ヵ月コース/約15,000円(令和6年度)
また、以下について各自でご用意ください。
作業服、作業ズボン、作業帽子、安全靴、保護メガネ、作業手袋、耳栓
※作業服・作業ズボン(綿100%の長袖・長ズボン)
(ツナギや前職で使用していたものでも可。夏冬の選択は各自で判断。汚れが目立ちにくい色を推奨)
※作業帽子(汚れが目立ちにくい色で無地のもの。メッシュ地は不可)
※安全靴(先端に金属または樹脂のプレート入り。外皮は合皮または皮製。長靴タイプのもの)
※保護メガネ(ポリカーボネート製でゴーグルタイプのもの)
※作業手袋(手袋全体が合皮または皮製のもの)
受講生の入所前の職種と修了後に就職した職種の例
溶接が未経験の方でも、下記のような溶接と関連する職種に就職されています。
(前職) (修了後の職種)
食品製造 → → → 製造(溶接工)
サービス → → → 製造(小型部品設計、製造)
運輸 → → → 製造(機械組立)
建築土木 → → → 製造(造船)
訓練に関する職種と仕事内容
一般的な職種名
溶接工、板金工、設計技術者、非破壊検査技能者、製缶工、機械組立工、配管工
具体的な仕事内容
【溶接工】
2つの金属部材を一体化(接合)することにより、各種の構造物(自動車、船舶、建築鉄骨、産業機械等)・機械部品等を造ることに携わります。金属の接合法は各種ありますが、能率が高く、信頼性の高い接合法が溶接です。対象とする材質や板厚等により溶接法も各種ありますが、被覆アーク溶接法、炭酸ガスアーク溶接法、TIG溶接法の三種類が一般に多く用いられます。
被覆アーク溶接法は、古くからある溶接法で、主に鉄鋼材料、ステンレス鋼の接合に適しています。
炭酸ガスアーク溶接法は、鉄鋼構造物の高能率溶接法で、厚板構造物等の加工に適しています。
TIG溶接法は、薄板の鉄板材料をはじめ、ステンレス鋼、アルミニウムなどの非鉄金属材料の溶接に適しています。
溶接工はこれらを駆使し、欠陥のない美しい溶接を行います。
【板金工】
軟鋼板、ステンレス・アルミニウム等の薄板に接合や曲げ加工を行い、各種形状(箱物や曲面部品等)の製品を造ります。
切断機やプレスブレーキ(折り曲げ機)、ボール盤穴あけ機を用いて寸法通りに金属材料を切断したり、用途に応じた寸法に薄板を曲げたり、規定の大きさの穴を空けたり、薄板を叩いて伸び縮みさせ、歪が発生したらそれをハンマーなどで叩き、修正を施し、調理器具やロッカー、配電盤等の薄板製品の製造に携わります。
職種との相性(こんな方に向いている。)
ものづくりが好きで好奇心、向上心がある人や製品を作る過程での作業にやりがいを感じる方には向いていると思います。
訓練により就職可能な主な仕事
- タンク製造会社・遊具製作会社(TIG・CO2溶接工)
- 鉄道部品会社・キッチン器具製造会社(TIG溶接工)
- 鉄骨製造会社・造船所(CO2溶接工)
求人票に記載されている職種名
ガス溶接工、ガス切断工、スポット溶接工、電気溶接工、溶接士、製缶工、溶接(半自動)作業
溶接・板金・組立工
就職後の仕事例(求人票より)
- 金属パイプの切断、曲げ、溶接
- 鋼板の切断・穴あけ・曲げ加工
- 自動機械の部品の溶接
- 半自動溶接機による部品溶接
- ステンレス・アルミ材のTIG溶接
- 建設工事・耐震工事
- 各種プラントの溶接・組立
- TIG溶接での、ステンレス配管の製作
- 農業機械・建設機械の部品の半自動溶接
- 家庭用のキッチン家具を製作するステンレス加工
- 自動倉庫、コンベア等の機器の据付工事及びメンテナンス
- 幼稚園、保育園の遊具製造に伴う溶接及び塗装業務
- ステンの穴あけ、タップ切り、バリ取り等の作業
- 組立図を見て産業機械の組立、調整、据付
- 工場内でのモノレール用部品の溶接、現場での設置
- 消防自動車の部品取付け及び簡単な溶接加工
- 船中の各種配管、サポート等の溶接
- 船舶用ボイラ、各種圧力容器等の各生産工程における加工、組立、溶接
就職率
- 令和元年度:90.3%
- 令和2年度:90.3%
- 令和3年度:100%
- 令和4年度:91.3%
修了生の主な就職先(職種)
- 鉄骨製造会社(CO2溶接工)
- 船舶製品製造会社(配管・溶接工)
- 自動化機械製造会社・キッチン器具メーカー(TIG溶接工)
- 遊具製作会社(TIG・CO2溶接工)
- 建設機械メーカー(サービス技術)
- 農業機械部品製造(グラインダー工)
- 金属加工会社(機械オペレータ)
賃金情報
修了生の採用時の賃金(給与総支給額)実績
全年代 16.9万円~25万円
訓練で習得した職業能力の就職先での活用状況
【職業能力】 【活用状況】
[被覆アーク溶接] : 工場内、工事・建設現場、修理など、幅広い分野で活用します。
[TIG溶接] : ステンレス製品を始め、高品質な製品の製造を中心に活用します。
[非破壊検査] : 溶接製品の点検・検査といった業務で使用します。
[CAD製図] : 製品図面を読む際、ならびにAutoCADを使った図面作成で活用します。
[金属加工基本] : 材料の切断、曲げ、穴あけ、研削等の作業で活用します。
[炭酸ガスアーク溶接] : 機械、車両、設備、船舶等、多くの金属製品製造に活用します。
訓練受講中に取得できる資格
- アーク溶接等の業務に係る特別教育
- 自由研削用といしの取替え等の業務に係る特別教育
- ガス溶接技能講習
(愛媛労働局長登録教習機関第2号 登録有効期間満了日:令和11年3月30日) - 玉掛け技能講習
(愛媛労働局長登録教習機関第2号 登録有効期間満了日:令和6年5月21日、令和6年4月更新予定) - クレーン運転の業務に係る特別教育
任意受験により取得可能な資格
訓練期間中に受講生の皆さんが習得した技能を活かして任意に受験して取得できる資格の一例です。受験手続きの説明や合格できる技能レベルへの到達は訓練中十分可能です。(※但し、合格を保証するものではありません。詳細につきましては、各実施機関へお問い合わせ下さい。)
JIS溶接技能者資格(被覆アーク溶接・TIG溶接・半自動溶接)
溶接作業を行う作業者“溶接技能者”の資格で、基本級(下向姿勢の溶接)と 専門級(立向、横向及び上向姿勢の溶接並びに管の溶接等)があり、さらに試験材料の種類と厚さ、溶接方法などとの組合せにより45種類ほどに資格が分かれます。試験は学科試験及び実技試験(資格の種別に応じた試験材料に溶接作業を行う。)によって評価されます。専門級は、基本級が合格していないと受験できません。
被覆アーク溶接・TIG溶接・半自動溶接
(試験月:5月、7月、8月、10月、12月、翌年1月、3月)
職業訓練指導員から
中予地域では、農機や選果機械、造船、船舶機器、ボイラー製造などをはじめとした、多くの金属製品製造企業において、溶接の需要があります。未経験でも、「挑戦したい」という方、お待ちしています。また、女性で溶接工になる方もいます。共に就職を目指していきましょう。
修了生の声
今まで、コンビニでのアルバイトの経験しかありませんでしたが、一から溶接技術を身に付けたことで、溶接工として再就職することができました。
修了生の活躍事例
修了生の就職事例
就職後のスキルアップ
就職後は、当センターで実施しています短期間の 在職者向け職業訓練(能力開発セミナー(有料)) を受講したり、就職先の実務経験を活かして、国家資格である技能検定に挑戦したり、(社)日本溶接協会の手溶接技能者のその他の種目を受験したりするなど、さらにスキルを向上させることができます。当センターでは、就職後においても新たな職業能力の習得やこれまでの職業能力の更なる向上に係る相談・支援を行っています。お気軽にご相談下さいお問合せ先
ポリテクセンター愛媛 【訓練課 受講者係】
TEL
089-972-0329
FAX
089-972-0959