ものづくりに必要な図面を読む知識や鋼材の切断、穴開け、削るなどの各種工作法を習得します。また、自由研削といしの取替・試運転作業、ガス溶接・切断等に関する安全作業を習得します。
金属加工技術科デュアル(テクニカルメタルワーク科)(企業実習付コース)のご案内
- 訓練の概要(訓練により習得できる技能)
- 受講要件
- 受講料
- 受講生の入所前の職種と修了後に就職した職種の例
- 訓練に関する職種と仕事内容
- 就職率
- 訓練で習得した職業能力の就職先での活用状況
- 訓練修了時に取得できる資格
- 任意に取得できる資格
- 就職後のスキルアップ
訓練の概要(訓練により習得できる技能)
訓練期間の前期~中盤にかけ、金属工作に伴うケガキや穴あけ、切断、手仕上げ等の作業、資材運搬用車両(フォークリフト)の操作、一般的に広く使用されている各種溶接方法(溶接施工)について、実学一体形式の訓練により、企業から求められている最低限の専門知識と技能を習得することができます。
訓練後期では、企業実習とフォローアップ訓練(施設内訓練)を実施します。企業において金属加工関連の実務を体験することで、自身の強みや弱み等を再発見でき、その後のフォローアップ訓練で受講者それぞれの課題を設定することで、より実践的な技能や技術を習得することができます。
訓練全体の目標人材像(訓練目標)
鉄鋼材の加工及び各種溶接作業ができる。
訓練で身につけた技能や技術を、企業での1か月間の実習を通じて実務上の技能・技術として活用できる。
総訓練時間
- 796時間(6月開講、12月開講)
- 703時間(7月開講、1月開講)
訓練到達目標
0.「ビジネススキル講習」(6月開講、12月開講のみ)
個人・グループワークを通して企業が求める能力を理解し、コミュニケーション能力・ビジネスマナー・自分を表現する技法・パソコンの基礎(文書作成)等について学習し、仕事と自分のマッチングを高めることを目指す講習で、6ヶ月の訓練の前に1ヶ月行います。
1.「金属加工基本」
2.「被覆アーク溶接作業」/「運搬車両操作」
被覆アーク溶接は、被覆アーク溶接棒を使って行う溶接です。手溶接ともいわれ、炭素鋼や各種合金鋼などの溶接に利用でき、装置が簡易で現場でもよく利用されている溶接法です。また、法令に基づくフォークリフト運転技能講習も実施します。
3.「半自動溶接作業」
被覆アーク溶接に比べ能率が良く、主に工場内で用いられている溶接法です。現在もっとも多く使用され、薄板から厚板まで幅広く適用されている溶接法で、機器の取り扱いから溶接施工の知識と技能を習得します。
4.「TIG溶接作業」
アルゴン溶接とも呼ばれ、他の溶接法とは異なり、火花が飛び散らないので高品質できれいな溶接ができます。ステンレス鋼やアルミニウムなど適応材種は多く、いろいろな製品に利用されています。本訓練では、TIG溶接に必要な知識と技能を習得します。
5.「企業実習」
企業において、溶接作業など本訓練で習得した作業や関連作業を体験し、実務上必要とされる技能・技術及び関連知識を習得します。
6.「フォローアップ訓練」
企業実習を体験した中で、実務的に不足した能力を補うため、より実践的な技能・技術及び関連知識を習得します。
<事例>
・炭酸ガスアーク溶接法による中板の各種姿勢溶接
・被覆アーク溶接法による中板の各種姿勢溶接
・TIG溶接法によるステンレス鋼の各種姿勢溶接
・溶接部の補修に必要なガウジング作業 など
受講要件
過去の金属加工の経験
- 特に不要
事前に習得していることが望ましいスキル
- 特に不要
各訓練科共通要件
- 訓練に関連する職種への就職を希望している方
- 訓練を受講することに熱意を有している方
- 訓練の内容を理解するために必要な基礎学力を有している方
- 訓練受講・修了に支障がないこと(健康状態・受講態度等)
- 上記を踏まえ、希望職種に就職するために職業訓練の受講が必要であると認められ、公共職業安定所長の指示又は、推薦を受けられること。
※企業実習付コースは、概ね55歳未満の方が対象です。
※受講希望者が定員を超える場合は、受講要件を満たしていても受講できないことがあります。
受講料
無料です。ただし教科書代等(約20,000円程度)、作業服、作業帽、安全靴等については、実費負担となります。
受講者の入所前の職種と修了後に就職した職種の例
溶接の知識が無い方でも、下記のような溶接と関連する職種に就職されています。
(前職) (修了後の職種)
フリーター(10代、20代男性) → 建築鉄骨加工(溶接工)
派遣・製品検査(30代男性) → 建設鉄骨加工(切断工)
アパレル接客(30代男性) → 給水設備製造(プレス工、溶接工)
派遣・CADオペレータ(30代女性) → 厨房設備製造(溶接工)
飲食業(20代男性) → 建築鉄鋼加工(溶接工)
訓練に関する職種と仕事内容
一般的な職種名
溶接工(アーク溶接、半自動アーク溶接、TIG溶接)、製缶工
溶接工の仕事
鉄工所・造船所などでの組立作業をはじめ、ビルや橋などの鉄骨建設現場や各種機器の製造などで、製品や構造物を溶接するのが溶接工の仕事です。
溶接とは、金属材料の接合する部分のすき間に溶接棒やワイヤを接触させ、そこに熱を加えて、金属材料と溶接棒を同時に溶かしながら、必要な長さや厚さで接合することです。溶接には、被覆アーク溶接、TIG溶接、炭酸ガスアーク溶接などの種類があり、溶接する材料によって適切な電流や電圧に調整して、接合部に欠陥ができないように注意しながら作業をします。
作業時に発生するガスや飛び散る高温の金属から身体を守るため、保護具や防じんマスク、強い光から目を守るために遮光面を着用します。また、ビルや橋などの建設現場では、溶接作業を高所や足場の上などで行うため、常に安全に気を配らなければなりません。
製缶工の仕事
鉄工所などで、圧力容器やタンク(圧力容器は種類も多く形状も多種多様にわたり、タンクの形状は角形又は縦形および横円筒形のものが多い)の本体(胴、鏡板など)を加工、切断、溶接するのが製缶工の仕事です。製缶工の仕事には、読図(組立図から部品図にする)、展開、板取り、曲げ加工、溶接・組立て、ひずみ取りなどがあります。
職種との相性(こんな方に向いている。)
「ものづくり」に興味があり、じっくり忍耐強く仕上がりを重視した作業ができる方。性別は全く問いません。
訓練により就職可能な主な仕事
- 溶接作業による各種の製品や構造物等を製作する業務
- 切断・溶断による溶接の前工程を担当する業務、または解体を行う業務
- 溶接施工関連の見積もり、工程管理に係る業務
- 板金・製缶作業に関わる業務
求人票に記載されている職種名
ガス溶接工(ガス切断工)、アーク溶接工、半自動溶接工、TIG溶接工(アルゴン溶接工) スポット溶接工、電気溶接工、製缶工、板金・組立工など
就職後の仕事例(求人票より)
- 建築鉄骨の製作(切断作業、溶接作業)
- 給排水設備の製造(プレス作業、溶接作業)
- 温水タンクの製造(プレス作業、溶接作業)
- 厨房設備の製造(溶接作業)
- スチール製、ステンレス製ドアの製造(溶接作業)
- 建設機械の部品製造(溶接作業)
- 環境機器の部品製造(プレス作業、切断作業、溶接作業)
- 医療機器の部品製造(プレス作業、切断作業、溶接作業)
就職率
95.5%(平成30年度から令和4年度(過去5年間)実績)
訓練で習得した職業能力の就職先での活用状況
訓練を修了した段階で、各種アーク溶接(半自動アーク溶接、TIG溶接および被覆アーク溶接)に関する基本的な技能と技術を習得しています。就職先企業においては、これらの技能と技術を活用して、各種の部品、製品の溶接組み立てができるようになります。
就職後は、就職先の業界や仕事内容によっても異なりますが、一般的には、訓練で習得した技能と技術に加え、就職先での先輩技術者や技能者のOJTにより、数ヶ月程度で就職先が期待する仕事ができるようになります。
修了者の中には、半年から1年以内にJIS溶接技能者資格の専門級に合格する者もおり、着実に溶接技能のレベル向上が認められるケースがあります。
訓練終了時に取得できる資格
ガス溶接等作業に係る技能講習修了証(奈良労働局長登録教習機関第26号登録有効期間満了日2024年3月更新予定)
フォークリフト運転業務に係る技能講習修了証 (奈良労働局長登録教習機関 第26号登録有効期間満了日2024年3月更新予定)
ガス溶接技能講習修了証
ガス溶接等の業務は、労働安全衛生法第61条によって下記の者でなければ就業してはならないこととされております。当センターは、都道府県労働局長の登録を受けた教習機関となっており、講習修了者に対してガス溶接技能講習修了証が当センター所長名で交付されます。
1) ガス溶接作業主任者免許の所持者(都道府県労働局長が交付)
2) ガス溶接技能講習修了証の所持者(都道府県労働局長の登録を受けた教習機関が交付)
3) 上記に該当し満18歳以上の者
フォークリフト運転技能講習終了証
フォークリフトの運転業務は、労働安全衛生法第61条によってフォークリフト運転技能講習修了証の所持者でなければ就業してはならないこととされております。
当センターは、都道府県労働局長の登録を受けた教習機関となっており、講習修了者に対してフォークリフト運転技能講習修了証が当センター所長名で交付されます。
アーク溶接等の業務に係る特別教育修了証
労働安全衛生法59条第3項及び労働安全衛生規則第36条で、アーク溶接等の業務に労働者を就かせるときは、事業者が「安全衛生特別教育規程」に基づく安全または衛生のための 特別の教育が義務づけられています。
本特別教育は、訓練中に実施し、講習修了時に特別教育修了証が当センター所長名で交付されます。
自由研削といしの取替え業務に係る特別教育修了証
労働安全衛生法第59条第3項及び労働安全衛生規則第36条で研削といしの取替え、取替え時の試運転業務等を行う業務に労働者を就かせるときは、事業者が 「安全衛生特別教育規程」に基づく安全または衛生のための特別の教育が義務づけられています。
本特別教育は、訓練中に実施し、講習修了時に特別教育修了証が当センター所長名で交付されます。
任意に取得できる資格
訓練期間中に受講生の皆さんが習得した技能を活かして任意に受験して取得できる資格の一例です。受験手続きや合格できる技能レベルへの到達は訓練中十分可能です。(※但し、合格を保証するものではありません。詳細につきましては、各実施機関へお問い合わせ下さい。)
JIS被覆アーク溶接技能者(一般社団法人 日本溶接協会)
JIS半自動アーク溶接技能者(一般社団法人 日本溶接協会)
JISステンレス鋼溶技能者(一般社団法人 日本溶接協会)
JIS溶接技能者資格とは
溶接作業を行う技能者の技量を一定の基準に基づいて評価試験を行い、資格の格付けと認証を行います。本資格は、発注者からの溶接施工に関する仕様書等で要求される溶接品質を確保するために、製作者が信頼性を証明する一手段として、例えば、建築鉄骨の製作工場認定の要件となったり、JIS Z 3400「溶接の品質要求事項」に基づいて溶接施工を行う場合の溶接技能者になる等、溶接構造物の信頼性や安全性の確保に対する社会的要請に応える資格として活用され、公的にも国際的にも広く認知されています。
本資格には、基本級(下向姿勢の溶接)と専門級(立向、横向姿勢等の溶接)があり、さらに試験材(被溶接材)の種類と厚さ、溶接方法の種類などにより多くの種類があります。
当センター金属加工技術科では、地域のニーズに合わせて、鉄鋼の被覆アーク溶接、半自動アーク溶接、ステンレス鋼のTIG溶接の受検種目に対応できるよう訓練カリキュラムが組まれています。
就職後のスキルアップ
就職後は、当センターで実施しています短期間の在職者向け職業訓練(能力開発セミナー(有料))を受講したり、就職先の実務経験を活かして、国家資格である技能検定に挑戦したり、(一社)日本溶接協会の半自動アーク溶接技能者のその他の種目を受験したりするなど、さらにスキルを向上させることができます。当センターでは、就職後においても新たな職業能力の習得やこれまでの職業能力の更なる向上に係る相談・支援を行っています。お気軽にご相談下さい。
お問い合わせ
訓練課 受講者係
TEL
0744-22-5226
FAX
0744-22-6744