『AR=拡張現実』を活用して、安全に溶接の作業を学びます。
ARの技術を使って溶接の作業を疑似体験し、その後、本物の器具や材料を使って技術力を高めることで、円滑な技術の習得を支援しています。
「溶接クラフト科」ってどんな訓練?
溶接クラフト科は、製造業で働くために必要となる製図(建築や機械の図面が読める・描ける)技術、機械加工(工作機械で金属を削る)技術、溶接(金属を溶かして接合する)技術を習得します。
特に溶接の仕事は、人材不足のため求人が多くあります。安全面や技能・技術の必要性から正社員雇用がほとんどです。また、工場内などの現場で必要となるクレーン・玉掛けなどの技能講習・特別教育も実施しており、正社員として就職を目指すことができます。
訓練の概要(受講することにより習得できる技能)
活かせる業界は多岐にわたり、建築構造物、造船、建設機械といった大きなものの製造から、漁船機器、食品加工用機械など比較的小さなものの製造まで様々な金属製品の製造に活用できます。
異業種からの転職でも就職できます。受講者の9割以上は全くの未経験者です。
訓練では、就職後にすぐ溶接作業が行えるよう、実技の時間を多くとっています。座学と実技を同時に行うので、理解しながら効率的に技能を習得することができます。
訓練全体(6ヵ月間)の目標人材像(訓練目標)
- 鉄鋼材の加工及び構造物運搬作業ができる。
- 炭酸ガスアーク溶接作業及び鉄鋼製作作業ができる。
主な訓練内容
『AR=拡張現実』溶接訓練
構造物溶接基本
溶接とは、鉄と鉄を溶かして一体化させる技術のことです。
屋外でも作業できる被服アーク溶接、溶接作業の主流である炭酸ガスアーク溶接、高品質のTIG溶接の技能及び関連知識を習得します。
鉄鋼製作作業
鉄鋼構造物図面の通りに鉄鋼材を切断し、穴あけ作業を行った後に、製作した複数の部品を組み立てて製品(課題)を作ります。
「ものづくり」の一連の工程で必要となる技能及び関連知識を習得します。
構造物鉄工基本
建築構造物や機械構造物の概要と製図をCADを通して習得します。
あわせて鉄鋼材の加工に必要となる切断作業や穴あけ作業、研削作業等に関する技能と知識を習得します。
工作機械作業
丸いものを削る普通旋盤、四角い物を削る汎用フライス盤といった汎用機による加工方法や作業の工程について学びます。
汎用機による加工を行った後に数値制御によるNC工作機械を使い、より複雑かつ実践的な加工についても習得していきます。
構造物運搬作業
鉄骨や造船ブロックなど、溶接して大きくなった製品は人の手では運べません。
クレーン等を用いて各種の荷役作業をするための運転、ならびに玉掛け作業に関する技能及び関連知識を習得します。
使用する機器
- NC旋盤:株式会社TAKISAWA TCN2000(FANUC製 制御装置)
- 炭酸ガスアーク溶接機(株式会社ダイヘン DM‐350‐Ⅲ)
- 交流アーク溶接機(株式会社ダイヘン BP‐300-5)
- AR溶接訓練シミュレーター(旭エレクトロニクス株式会社 Soldamatic)
使用するアプリケーション
- 2次元CADソフト(AutoCAD 2023)
受講要件
過去の経験等
特に必要ありませんが、溶接や機械加工などに関心があり、金属加工業に従事しようと考えられている方。
事前に習得していることが望ましいスキル
特にありません。
各訓練科共通要件
- ハローワークで求職申込みをしており、かつハローワークで訓練の受講が必要と認められた方
- 受講を希望する訓練コースに関連する職種への就職を希望しており、就職意欲を高くお持ちの方
- 訓練の習得を通してスキルアップを目指し早期就職を目指す方
- 訓練の受講意欲が高く、他の受講者と協調性をもって受講できる方
- 訓練を受講することに支障のない方(健康状態・訓練の安全面が確保できる方)
※受講希望者が多数の場合、上記の条件を満たしていても受講できないことがあります。
受講料
無料です。
受講に関する経費
- テキスト代 12,000円程度
※テキスト代は価格が変動する場合があります。 - 作業着等(作業服・作業帽・安全靴)は各自でご用意いただきます。
訓練に関する職種と仕事内容
一般的な職務名
溶接工、機械技術者
- 溶接工の仕事
溶接とは、金属材料の一部分を高温の溶融状態にして接合する作業のことを言います。
造船所などでの組立作業をはじめ、ビルや橋などの鉄骨建設現場や各種機器の製造などで、製品や構造物を溶接するのが溶接工です。
普段生活をしていくなかで気付きにくいかもしれませんが、私たちの生活には欠かせない仕事です。
例えば、階段の手すりや窓のサッシ、水道管など身近なものまで幅広く使用されています。
鉄鋼材を溶接する際は主に「炭酸ガスアーク溶接」や「被覆アーク溶接」を用います。
また、鉄工所などで、圧力容器やタンクの本体を加工、切断、溶接する製缶工の仕事などもあります。
これら溶接は多くの現場で需要があるため、訓練修了後は幅広い現場での活躍が期待されます。
- 機械技術者の仕事
金属工作機械を使い、さまざまな金属に・切る・削る・穴を開ける・溝を切る・磨き上げるなどの加工をするのが、金属工作機械工です。違う形状のものを少量だけ加工する場合は、人の手で加工する汎用工作機械(旋盤・フライス盤等)を使います。まず製品の図面に基づいて、材質・加工精度に応じた刃物を選び、角度や削る強さ、回転数、送りの速度などを決めます。そして。工作機械の設定が終わったら、知識や技術・経験を駆使して、材料を要求された形に加工します。
同じ形状のものを大量に加工する場合は、加工条件を数値化し、連続自動加工するNC工作機械を使います。NC工作機械では、要求される精度を出すため、最適な加工条件を正確にプログラミングします。次に、設定が終わったら、精度を確認するための試削りを行います。試作品を正確に計測し、必要に応じて何度でもプログラムを修正します。そして、精度が安定したら、連続的に自動加工します。金属工作機械工には、期限内に、決められた数の製品を、高い精度で正確に加工することが求められています。
訓練職種との相性 「こんな方に向いています!」
- 毎日コツコツ続けられる人
- 手に職をつけたい人
- ものづくりが好きな人
- 資格を取って就職活動に活かしたい人
訓練により就職を目指せる主な仕事
- 溶接作業による構造物等を製作する業務
- 切断・溶断による構造物等の解体業務
- 加工機械による製品製造業務
求人票に記載されている職種名
- 溶接工
- 鉄骨加工
- 組立工
- 製缶工
- 機械工
- NC機械オペレーター
就職後の仕事例(求人票から)
- 鉄骨建築における金属の加工
- 溶接作業による造船・船舶の修理業務
- 機械装置の組み立て・修理
- 機械部品を汎用工作機械やNC工作機械を用いた機械加工作業
就職率
令和4年度…85.7%(旧ものづくり機械科)
令和5年度…95.5%(旧ものづくり機械科)
訓練で習得した職業能力の就職先での活用状況
訓練を修了すると全員が被覆アーク溶接、半自動アーク溶接の下向き姿勢の溶接技能の基本は習得できますので、就職後は、訓練で習得した技能・技術及びベテラン技能者のOJTによって製品の一部が製作できるなど、就職先が期待する仕事ができるようになります。
およそ、2~3年で熟練度は向上し、細かく指示されなくとも自らの判断で仕事ができるようになります。
また工場内でのベテラン技能者のOJTによって技能が向上し、溶接技能者評価試験((社)日本溶接協会)の専門級にもチャレンジが可能と思われます。
さらに機械製図並びにCADの知識を活かし、機械図面の修正作業者、設計者のアシスタント的業務や、機械加工の知識・技能を活かし、一般機械部品の加工作業者としても活躍が期待できます。製造現場の作業者として就職先が期待していた仕事ができるようになります。
訓練終了時に取得できる資格
アーク溶接等の業務に係る特別教育修了証
ガス溶接技能講習修了証 (北海道労働局長登録教習機関北労安教第48号 登録期間満了日:2029年3月30日)
自由研削といしの取替え等の業務に係る特別教育修了証
粉じん作業に係る特別教育修了証
玉掛け技能講習修了証 (北海道労働局長登録教習機関北労安第499号 登録期間満了日:2027年2月14日)
クレーンの運転の業務に係る特別教育修了証 (つり上げ荷重5トン未満)
任意に習得する資格
訓練期間中に受講生の皆さんが習得した技能を活かして任意に受験して取得できる資格の一例です。
受験手続きの説明や合格できる技能レベルへの到達は訓練中に十分可能です。
(※但し、合格を保証するものではありません。詳細につきましては、各実施機関へお問い合わせください。)
JIS溶接技能者評価試験
2次元CAD利用技術者試験
就職後のスキルアップ
- 当センターの能力開発セミナー(有料)の受講
- 就職先の実務経験を活力に各種資格の受験
- 当センターによる、更なる向上に係わる相談支援
お問い合わせ
ポリテクセンター函館(北海道職業能力開発促進センター函館訓練センター)訓練課
TEL
0138-52-0323
FAX
0138-52-0324