ポリテクセンター山梨2022離職者訓練コースガイド
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代表取締役佐々木 啓二さんCompany Profile 創業27年、社員数222名。主にワイヤーハーネスの製造・加工など電気機械器具製造を行う。令和3年度高齢者活躍企業コンテンスト 厚生労働大臣表彰 最優秀賞受賞。創業71年。社員数74名のうち、ポリテクセンター修了者7名が在籍。半導体や液晶を作る製造装置用の部品、産業用の生産設備を設計し、製作からメンテナンスまで行う。 Company Profile 株式会社土橋製作所 代表取締役社長土橋 悦子さん【佐々木】一人ひとりの「個性」が大切になる時代。AI時代と騒がれていますが、RPA(ロボットによる業務自動化)やAI(人工知能)を使い、活かすのは人間です。新しい発想を生み出すために、その人の性格や生き方といった「内面から出てくる個人の本質」が求められていくと感じています。【土橋】今後、社会にとって個性は非常に大切な要素となります。専門性を高めることも重要となるでしょう。しかし、忘れてはいけないことは「自分が組織の1人である」ということです。個を強くしすぎてしまい、協調性や共感などを忘れてしまっては、組織で力を十分に発揮できません。【佐々木】トップが全てに目を配るのは難しい。人に任せることは会社の組織作りにおいて非常に重要なことであり、そのためにも人材育成は必要です。人材を育てていくには、「自分の能力を上げていきたい」という個人の意識も大事。ものづくりへの想いや技術向上に向けた熱意等の気持ちがある人に対して弊社はその気持ちを尊重し、できるかぎりのサポートをしています。【土橋】個性溢れる人材をどうまとめていくのか、この点は私たちの課題でもあり、視野の広いリーダーやマネージャーを育成していく必要があります。専門分野ももちろんですが、他の分野も学ぶ機会を設けたり、勉強することで視野が広がりバランスの良い人材へと成長していくことができると思います。【佐々木】日本は戦後、日本型雇用によって同じ時期に人材を多く確保し、社会を大きく成長させてきました。会社の歴史や文化を伝えるために年功序列という形で採用することも大切です。しかし現在は終身雇用も崩れつつあります。企業によっては一度退職して他社で経験を積んできた人材を再雇用することも歓迎しています。55歳以上の方を中途採用することも多いですが、経験や知識が豊富であることは新卒採用では得られないメリットのひとつです。25【土橋】新卒者を雇用することも少なくありませんが、山梨県で設計や工学系を学んだ新卒者の多くは大企業志向が強く、地元よりも県外に働きに出てしまうという現状はあります。弊社で最近採用した方は50代ですが、「社会に貢献していきたい」「まだまだ働いていたい」という熱意が伝わってきます。その人たちの存在が若い人たちのモチベーション向上になるほか、年配者を敬うという教育にも繋がっています。【佐々木】自分でさまざまな角度から気づき、指摘される前に動けるようになることが大事。人によって気づける感覚は異なりますが、自分自身を向上していきたいという想いがあれば、その感覚も養っていけます。最終的に企業に残る人は、「同じ感覚同志、プラス新しい発想の人材がいる企業」になっていくと思います。また、ものづくりの世界に飛び込んだならぜひ、自分の技術をとことん突き詰めていってほしいです。国家検定にチャレンジするのも良いと思います。その技術向上へのこだわりが、後に自信となり、結果を出していきます。【土橋】「働く上でどうしていきたいのか」を自分に問いかけることが大切です。企業側は考えるきっかけ、挑戦するきっかけを与えてくれますが、最終的に行動して変えていくのは自分です。何よりも、「ものづくりが好き」という気持ちが原動力となり自分を大きく成長させてくれます。【佐々木】企業を発展させていくためには、企業側がインスパイアされるような取り組みを行うなど価値を高め、より多くの人に選ばれ続ける存在である必要があると感じています。時代は常に変化しますが、いつの時代でも最終的には人の力が関わってきました。今後もAI、RPAの現場に占める割合は増えていくと思いますが、最新の技術をいち早く取り入れつつも、アナログとデジタルの関係をバランス良く構築していくことも企業側にとって必要なことではないでしょうか。【土橋】ある派遣会社からこんな話を聞いたことがあります。A社で力を発揮した人が、B社ではその力を発揮できずにいたのですが、その原因はB社側が仕事の目的や意味、意図をきちんと伝えておらず、モチベーションが低下したことだったそうです。環境次第で人のモチベーションは変わります。「社会に貢献していきたい」という気持ちにさせることができなかったのは企業側の責任です。『人は人によって磨かれる』、『互いに切磋琢磨できる関係が企業の文化を作る』。企業はこの2点を踏まえて、愛情をもって人材を育成していく必要があると感じています。Q1 市場・産業構造の大きな変化は、企業が必要とする人材像に影響を与えていますかQ2 変化に対応するため、企業の全体力だけではなく、個人の力量が問われる時代に入ったと思われますが、今後の考え方について教えてくださいQ3 新卒就職に失敗すると、その後の職業人生に影響するなど閉塞的な要素もある今の日本型雇用慣習。人材が減少していく産業界の人材確保は益々厳しくなる一方で、中途採用者がもっと活躍できる環境が必要ではQ4 今後先が見えない時代において、労働者側は何を考え働いていけば良いのか、経営者の視点でアドバイスいただければQ5 時代の変化に対応できる企業として生き残るために、企業が考えなければならないことは何か教えてください株式会社ササキ愛情をもって人を育てる。すなわち愛情をもって人を育てる。すなわちものづくり業界を牽引する企業スペシャル対談製造業において必要とするこれからの人材像と、企業における人材育成のビジョンについて愛がなければ愛がなければ人は育たない!人は育たない!

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