応用課程 開発課題20周年史

関東職業能力開発大学校 第26回 ポリテックビジョン in 栃木 71 4 . 3 ナット締め検査部 予備実験によりナットはボルトに対し自由度がな いと締結できないことが分かった.昨年度はウレタン 棒を使用し自由度を持たせていたが , 締結できない場 合があったため , 今年度はユニバーサルジョイントを 使用した.その結果 , 昨年度に比べ自由度が 2.5 倍とな り昨年度の問題を解決し , 同時に検査精度も向上した. また , 昨年度はナット回転用に 15W のブラシレス DC モータ (BLDC モータ ) を使用したが , 締めたナットを緩 める際にトルクが足りない場合があった.それ故 , 今年 度は 30W の BLDC モータに変更した. 0 . 5 ㎜を超え るスパッタは検出用ナットの底面に配置したボールプ ランジャスイッチで検出している.昨年度は 2 個のボ ールプランジャスイッチを配置し ,2 個とも ON の場合 に良品と判定した.今年度は昨年度の仕様よりも性能 を上げるため , スイッチを 3 個配置し ,3 個とも ON の 場合を良品とすることで , より厳密な判定を可能にし た.検査部概要を図 6 に示す.ナット上下移動用のモ ータは昨年度と同じ AC サーボモータを用いた. 図 6 検査部概要 4 . 4 エビデンス撮影部 エビデンス用の画像はワークの前後 2 枚 , ボルト部 を真上から 2 枚 ,1 つのワークに対して計 4 枚の撮影を する.カメラを前後に配置することで , 昨年度のカメラ 1 台と鏡を使用した画像よりもエビデンスの精度が大 幅に向上した.昨年度は画像保存をクラウドで行い , 容量不足とアップロード時間が長いことがネックとな っていた.そのため , 今年度は NAS サーバを構築する ことで容量が 3000 倍に増え , 画像を 1 ヵ月間自動保存 し , タクトタイムも約 8 . 2 秒間短縮した.モニタへの 表示は撮影とは別の RaspberryPi4 を用いることで , 処 理を細分化させタクトタイム短縮を図った . 画像撮影 部内部を図 7, エビデンス用画像を図 8 に示す. 図 7 画像撮影部 図 8 エビデンス用画像 4 . 5 排出部 昨年度は判定結果に応じて良品・不良品を電磁石で 吸着しベルトコンベアで搬送していた.今年度はイン デックステーブル下に排出部を設置し , 判定結果に応 じてそれぞれの排出部でカム機構を駆動させ , ワーク を排出するため , 昨年度に比べタクトタイムが短縮さ れた.また , 良品はベルトコンベアで排出 , 不良品は作 業者の手前に流され , スパッタ除去作業後 , 装置に再投 入できる仕様である.これにより不良品の再検査が容 易となっている.今年度製作した排出部を図 9 に示す. 図 9 排出部 ( 不良品排出 ) 5 .今後の取り組み 画像処理においてエビデンス用画像を用いた AI に よるスパッタ検出の学習に取り組んでいる . しかし , 学 習用のワークで撮影し , プログラムを作成したため , 現 状では実際のエビデンス用画像での学習作業が完了し ていない.今後は学習作業が完了し次第 , 性能評価を行 う予定である. 6 .評価 本装置における性能評価を表 2 に示す. 表 2 性能評価 7 .装置開発費用 本開発における製作費を表 3 に示す. 表 3 製作費 生産機械 生産電気 生産電子情報 合計 製作費 ¥1,001,000 ¥1,073,000 ¥308,000 ¥2,382,000 8 .おわりに 今回の開発課題を通し , 完成に向けて他科と連携を 取り合い , 協力して作業を行うことができた.本装置の 開発により , 人手不足の解消 , 生産性の向上に繋がると 幸いである.

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