応用課程 開発課題20周年史
関東職業能力開発大学校 第25回 ポリテックビジョン in 栃木 61 皮むき手順は,供給されたよしをコンベアで加工部に 送り ( 矢印② ) ,穂先から根元に移動しながら皮を剥く. 2 ユニットで 2[m] のよしを加工し,その後よしを移動させ 残り 2[m] を加工する.最後に,コンベアでよしを排出し ( 矢印③ ) , 4[m] のよし加工が完了する. 3.2 よし編み機 装置は制御ユニット,編みユニット,レーザユニット で構成されている.よし編み機を図 5 に示す. 新しい発想のよし編み機を A 商店様から依頼され , レ ーザで「よし」にデザインや文字を刻印することとした. 図 5 よし編み機 3.2.1 編みユニット 実際によしずを編む機構を持ったユニットである. 編み機構では,「よし ( 力竹 ) の挿入➞よしの押出し➞編む ➞よし送り➞よしの挿入」を繰り返し,よしず製造を行 う.よしの押出しやよし送りは,土台の前後動作が必要 であり,移動量が調整できるステッピングモータを使用 した.よし編み動作は,コマの回転動作と,よしずのサ イズごとに編む間隔を調整するコマ移動が必要である. そこで,両軸タイプのステッピングモータと電磁クラッ チを組み合わせて,コマの回転動作とコマ移動を 1 つの モータで実現させた ( 図 6) .電磁クラッチがオフの時,ベ ルトによりモータの動力がコマに伝達されコマの回転が 実現できる.電磁クラッチがオンの時,モータの軸とピ ニオンが連結し,ラックによりコマ移動が実現できる. 1 つの編みユニットで 3 尺までのよしず製造ができ, 3 台連結することで最大 12 尺のよしず製造が行える. 図 6 コマ 3.2.2 制御ユニット よし編み機全体の操作,制御を行うユニットである. よし編み機全体のブロック図を図 7 に示す. 制御は操作パネル ( タッチパネル ) と Raspberry Pi で行 う.よしずのサイズを指定する「よし編み設定」,レーザ で刻印する内容を決める「刻印設定」,レーザの位置を調 整する「レーザ調整」を行う.設定終了後,供給部に挿 入した力竹が,編みユニットに供給され,編みユニット で編み動作を行う. 次によしを挿入し,編み動作を繰返 すことで指定したサイズのよしずが完成する. 図 7 ブロック図 3.2.3 レーザユニット よしずの力竹にレーザで刻印するユニットである ( 図 8( 左 )) .制御ユニットの Raspberry Pi から送信されたデ ータをレーザユニットの RX マイコンが受信する.受信 したデータに応じ X ・ Y 軸テーブルが動作し,レーザか ら光が照射され刻印する.刻印が始まると同時に排煙の ため DC ファンが動作する.モータ固定具は X 軸テーブ ルに取り付けられた Y 軸テーブルの動作時の揺れを軽減 させるために設置した.このことで明瞭に文字等を刻印 することができる ( 図 8( 右 )) .また,安全対策として遮光 板の使用や非常停止スイッチの設置などを行った. 図 8 レーザユニット ( 左 ) と刻印結果 ( 右 ) 4.性能評価 性能評価を表 2 に示す. 表 2 性能評価 皮むき機 よし編み機 皮むき機 よし編み機 動作 貯蔵部まで 人の手で供給 その後は自動 挿入部まで 人の手で供給 その後は自動 完成後検証 完成後検証 装置サイズ 5 × 10 × 3 [ m ] 以下 1 × 2 × 1.3 [ m ] 以下 〇 〇 よしず長 4 [ m ] 1 , 2 , 3 [尺] 完成後検証 〇 サイクルタイム 90 分/束 6cm /分 完成後検証 完成後検証 メンテナンス性 その他 自動化 付加機能 完成後検証 〇 開発仕様 達成状況 簡単に部品交換可能 消耗品は市販パーツの仕様 〇 5.製作費用 製作費用を表 3 に示す. 表 3 製作費用 皮むき機 よし編み機 合計 ¥1,314,218 ¥613,456 6.おわりに よしは 1 本ずつ形状が異なるため,装置の製作・調整 が困難であった.しかし,全員で協力して開発を進める ことで皮むき等の動作が実現できた.今回製作した装置 が今後のよしず産業の発展に貢献できれば幸いである.
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