応用課程 開発課題20周年史
関東職業能力開発大学校 第25回 ポリテックビジョン in 栃木 59 (3) 吸着部 吸着部は,台紙からシールを剥がし,ラップに貼ると いう一連の動作を自動化した機構である.シールを真空 パットで吸着して台紙から剥がし,円筒面のラップに シールを貼り付ける.また,ラック & ピニオンを利用し た倍速機構によりエアシリンダの移動距離を 2 倍にでき た.その結果,低コスト化と省スペース化を実現した. (4) 検査部 A .ラップ端検知部 ラップ端検知部を図 4 に示す.本装置ではシールを上 面からラップに貼り付けるため,ラップ端を上面に向け る必要がある.そこで,ラップを回転させながら上部に 設置したカメラでラップ端のシワをエッジ検出処理して 検知する.カメラは 2 台設置し, 180 度ごと 2 工程に分 けることでタクトタイム短縮を図った. ラップ回転時にラップを直接把持すると衛生面やラッ プ表面のキズなどの問題が生じる.そこで,両側から円 すい状の軸(コーン)をラップ芯の穴に挿入して挟み込 み,コーンを回転させラップを回転させる.コーン中心 は台座上のラップ中心に対して高い位置に設置した.こ のことで,ラップをコーンで挟むとラップは台座から持 ち上がり,ラップ回転時にラップが台座にこすれてキズ がつかないように工夫した. 図 4 ラップ端検知部 B .シール検査部 シールの合否判定は,画像処理によって行なっている (図 5 ).処理方法はシールの赤色部分を抽出することで, シールの輪郭を認識する.次に,輪郭からシール位置お よび角度を読み取り,中心からの位置ずれや斜め貼りの 合否を判定する.暗室内でライトを真横から当てること で赤外線による赤色の誤検出を防ぎ,ライトによるラッ プ表面の白飛びを防いでいる.検査はカメラと Raspberry Pi で行った. 図 5 シール検査の様子(合否判定) (5) 仕分け部 エアシリンダ 1 個で仕分けができる機構にし,板を互 い違いにつけることで別々の場所に排出できる.検査の 終わったラップが流れてきて良品だった場合,エアシリ ンダが下がり良品 BOX に入る.不良品の場合はエアシ リンダが上がり不良品 BOX へ運ばれる. (6) 制御部 制御部のブロック図を図 6 に示す.制御部では, PLC と PIC マイコンを併用することで I/O の増設をしつつ, 制御盤の省コスト化を図っている. 操作は操作盤にある GOT で行う. GOT では JOG 運 転 ( 手動運転 ) と自動運転の両方に対応し,本装置の様々 な情報を GOT からモニタリングが可能である. 図 6 制御部のブロック図 4 .性能評価 表 1 に示した性能評価では,成功率・シール使用率お よびタクトタイムが目標達成できなかった.シール使用 率が低下した原因は,画像処理によるラップ端検知で誤 検知が生じることである.ラップ搬送や装置の振動に よってラップも振動する.検査に使用したカメラの シャッター速度が遅く,わずかなラップの振動によって 画像のブレが発生し,ラップ端検知の精度が低くなって しまった.そのため,ラップ端にシールを貼り付けるこ とができず,シールの無駄が出てしまった.また,台紙 の巻きぐせが原因で,台紙下面からの吸着が安定しな かったり,台紙がたわんでしまったりする.そのため, センサによるシール送り部の位置決めが安定せず, 1 回 でシール吸着ができず,リトライを繰返しタクトタイム にロスが生じてしまうことがある.さらに大きくシール の位置決めがずれてしまった場合には,吸着自体ができ ず,全体的な成功率に影響を与えてしまった. 5 .おわりに 本装置は従来の装置にあった,一時停止の問題やシー ルのロスをなくす装置の開発を行なってきた.ロール供 給から検査,さらには良否の仕分けまでを自動化したこ とにより,作業者の負担を大きく軽減できる装置開発が できたと考える. 最後に,資材提供およびご意見・ご指導を頂いた茨城 の依頼企業様に深く感謝致します. 合格範囲 認識した シールの輪郭 カメラ 台座 コーン
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