応用課程 開発課題20周年史
関東職業能力開発大学校 第24回 ポリテックビジョン in 栃木 51 3 . 2 駆動制御回路 旋回やカーブ走行では左右のタイヤの回転方向や 回転速度を独立に制御する必要がある . それ故 , 2つの モータが必要となる . モータはブラシ付き DC モータ とし ,H ブリッジ回路によりモータの正転・逆転を行っ ている . また , エンコーダの信号をフィードバックし , 速 度制御を行っている . 停止時や坂路勾配が 10° を超える 場合は , 無励磁作動形電磁ブレーキがかかるように制 御している . これらの制御には ,RX マイコンを使用し た . 3 . 3 コントローラ部 依頼企業から既存のジョイスティック型のコント ローラに代わる新型のコントローラの開発を依頼され た . 条件として , 小さな力で直観的な操作ができるこ と・車いす本来の機能を損なわないことを前提とした . 機構として , いすなどに取り付けてあるキャスターの 機構を利用した . 前後方向と左右方向の2軸で動作を 制御する機構となっている . また , 前方向に倒した傾き によって速度制御を行っている . 2軸のため , 既存のコ ントローラでは採用例の少ないカーブ走行が可能とな っている ( 図 4 a). 既存のジョイスティック ( 図 4 b) と取り付けが可能である . 図 4 にコントローラ外観を 示す . (a) キャスター機構 (b) ジョイスティック 図 4 コントローラ外観 3 . 4 Web サーバ 車いす利用者の家族や介助者の利用を想定した . 携 帯端末から受信した位置情報データ・日時データを基 にし , ブラウザ上へ利用情報を表示する . 主な機能を以 下に示す . ①電動化ユニットを使用した時の経路をリアルタイム で記録・表示する . ②過去の経路を ,WEB ページ上のタ ブにある ( 年 / 月 / 日 ) それぞれを指定することで閲覧可 能 . ③携帯端末から送信された緊急連絡を受信 し ,WEB ページ上に表示する . 利用することのできる デバイスとしては ,PC とスマートフォンである . 3 . 5 携帯端末 利用者が一人で外出をする際 , 携帯端末を利用し自 身で安全を確保 , 緊急時に周囲へ救助を求めるシステ ムを開発した . アプリケーションを利用する際に , 携帯 端末と本体ユニットは Bluetooth 通信で接続する . ア プリケーションの主な機能を以下に示す . ①経路表示機能:現在地から目的地までの経路を地図 上へ表示する . ②警告機能:本体ユニットが坂などを走 行中に危険な傾斜角に陥った際にアラームで通知する . ③緊急連絡機能:利用者の緊急時や本体ユニットが走 行不能になった時 , 登録済みのメールアドレスと WEB ページへ緊急連絡を送信する . 現在対応できる OS は Android のみとなっている . 緊急 連絡メール画面を図 5 に示す . 図 5 受信した緊急メール画面 4 . 性能評価 表 2 に性能評価を示す . 最高速度 , 連続走行距離 , 登 坂角度については完成後検証する . 表 2 性能評価 項目 開発仕様 評価 全長 [mm] 車いすの座面下に収 まるサイズ 353 全幅 [mm] 415 全高 [mm] 350 重量 [kgf] 20 13.5 最高速度 [km/h] 3.5 完成後検証 連続走行距離 [km] 10 完成後検証 登坂角度 [°] 10 完成後検証 装着可能車いす T 型ティッピングバー付 きのモデル T 型ティッピングバー 付きのモデル 脱着方法 2 ~ 3 ステップ 4 ステップ ユニット構成 本体 + 接続用ジョイント 本体 + 接続用ジョイン ト 手動 / 電動切替え あり 完成後検証 通信機能 WEB+ アプリケーション WEB+ アプリケーション 5 . 製作費用 試作費を含めた製作費用を表 3 に示す. 表 3 製作費用 ( 単位:千円 ) 機械系 電気系 情報系 合計 458 470 169 1,097 6 . 今後の課題 手動・電動切替えは本体ユニットを路面から浮かせ ることにより , 車いすの手動操作を可能にする機能で あるが , トラクション機構と本体ユニットを路面から 浮かせることの両立が困難であるため , 電磁ブレーキ の解除により本体ユニットのタイヤが接地した状態で の手動操作が可能であるか検証していく . 7 . おわりに 今回製作した電動化ユニットが , 高齢者・障がい者の 自立支援また , 福祉業界へ貢献できれば幸いである . 5
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