応用課程 開発課題20周年史

関東職業能力開発大学校第24回 ポリテックビジョン in 栃木 45 図 3 の収納エリアはセット部から流れてきた紙管を 押上げエリアへと流すために下板に角度を設けてある. この角度は,セット部の「収納部へ紙管投入時に紙管 の姿勢が乱れにくい」角度に合わせて 15 °とした. 押上げエリアでは収納エリアに収納されている紙 管をエアシリンダによって 1 ~ 3 本ずつに分けて積上 げながら搬送する.図 4 の抑制板は,押し上げ時の紙 管量を調整するとともに,エアシリンダの上昇時に余 分な紙管を逃がす空間を作る役割をもつ. 図 4 押上げエリア 図 4 の爪は,図の位置よりは下方向へは回転しない が,上方向へは回転ができ,自重で常に図の位置にく るように爪形状を考えた.エアシリンダで持ち上げら れた紙管により,爪が押し上がる.そして,エアシリ ンダ下降時は,爪が定常位置に戻るため,紙管のみが 爪の上に残されることで,下からの積上げをする. 収納部では紙管が詰まった時やメンテナンス時の ため,押上げエリア横に作業用扉を設けた.作業時に 誤って機械動作スイッチを押してしまう事故を防止す るため,マグネットスイッチによるインターロックを かけ,扉開の状態では自動運転はしないようにした. ③ 供給部 収納部によって所定の位置まで運ばれた紙管を真 空吸着パッドによって 5 本ずつ吸着し,ホッパー内に 投入する.受皿には透過型センサを配置し,受皿内の 紙管量を確認する.そして, 2 つのセンサが紙管を検 知したとき,ホッパーへの投入動作をする. 本装置とホッパーとの配置関係から,紙管を投入す るには 500mm のストロークが必要となる.当初は, このストロークのエアシリンダを使用したが,エアシ リンダの突き出しが大きく,非常に危険であった.そ のため,機構を再検討し調査し,シリンダとラックア ンドピニオンを組み合わせた 2 倍速機構を利用するこ ととした.これによりエアシリンダのストロークは半 分の 250mm になり,突き出し量を 310mm 減らすこ とができた. ホッパーの上部に測距センサを用いてホッパー内 の紙管量を確認する.紙管が多いときは,供給を停止 し,紙管が少なくなったとき再度供給を開始する. 2 . 2 制御盤および操作ペンダント 装置の主制御は全て PLC が担当しており, PIC マ イコンを PLC の入出力ユニットや AD 変換ユニット の役割を持つ回路の制御に用いている.多接点 PLC ・ PLC 専用の追加ユニットを購入するより,安価に制御 装置を構成することができる.また PLC と PIC マイ コン間は計算機リンク通信を行っており, PLC のレジ スタを PIC マイコンより読み書きすることができる. これにより PLC のレジスタと PIC マイコンのレジス タを同期させ,接点の拡張が可能となっている. 非常停止ボタンは,シリンダ制御用のソレノイドに 使われている電源を物理的に切断する.このため, PLC または PIC マイコンが暴走した際にも確実にシ リンダを停止させることができる. GOT の画面設計は,作業者が簡単に操作できるよ うにシンプルなボタン配置とした . 3.性能評価 性能評価を表 1 に示す. 表 1 性能評価 要求仕様 開発目標 性能評価 装置寸法 幅 1.2m ×奥行 2.1m ×高さ2m 要求仕様と同様 幅0.96m×奥行 1.85m ×高さ1.8m 使用部品 食品衛生法に 則る 食品衛生法に 則る × タクトタイム 8分/1箱 7分/1箱 6分39秒/1箱 紙管への ダメージ 目で見える破損 汚れは不可 要求仕様と同様 0.64%破損 使用部品は食品衛生法に基づいて選定する必要が あるが,装置予算・部品の加工形状から一部規定外の 部品を使用しているため,要求仕様・開発目標は未達 成とする. 紙管は図 4 にあるシリンダと押上げ範囲にある紙管 ガイドに挟まり傷がついてしまうことがある.原因は 運転が続くと抑制板内側にも紙管が溜り,押上げ時に 紙管が動けなくなるからだと考える. 4.装置費用 装置費用を表 2 に示す. 表 2 装置費用 機械 電気 合計 ¥549,000 ¥189,000 ¥738,000 5.おわりに 作業者の背の高さまで重量のある段ボールを持ち 上げる作業が,本装置を使用することで腰高さ程度ま での持ち上げ作業となる.この動作は現在の動作に比 べ非常に楽であり,装置コンセプトの「作業者の負担 軽減」が実現できたといえる.また,細かい点で安全 装置や安全な動作プログラムを考えて装置の開発を行 なうことができた. 最後に,装置の設計・製作に当たりご意見・ご指導, 必要な資材を提供して頂いた企業様に感謝致します. 抑制板 爪 押上げ範囲 4

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