応用課程 開発課題20周年史

関東職業能力開発大学校 第23回 ポリテックビジョン in 栃木 37 3.2 昇降部 クローラを用いて階段の昇降を行う.「逆への字」の 形状にすることで,特別な機構を用いずに,階段の昇 り始めと降り終わりの昇降が可能になる. 3.3 アーム部 本昇降機は,図1に示すように,後方に左右一対の タイヤ付きアームを実装している.タイヤ付きアーム はモータにより駆動し,昇降機本体を持ち上げる動作 をする.このアームを階段の昇り終わりと,降り始め に動作させることで昇降機の急な角度変化を抑制する. また,アームを最大まで下ろした際には,前輪として キャスタを使用することでクローラ部分を接地させず, 踊り場での旋回を可能にしている. 3.4 着座部 電動シリンダを用いて座面の角度を調整する.昇降 動作に合わせて制御を行うことで動作中も座面を一定 の角度に保つことができる.これにより,昇降機に乗 っている被介助者の姿勢が安定する. 3.5 制御部 図3に昇降機に実装した制御基板を示す.制御部は ドライバ基板,メイン基板,シリンダ制御基板から構 成されている. 図3 制御基板 3.6 センサ 本昇降機は,センシングにより,平地-階段間の移 行を自動化している.昇り動作時は角度センサと距離 センサ,リミットスイッチを利用する.一方,降り動 作時は角度センサと2つのリミットスイッチを利用す ることでセンシングを行っている.このようにセンシ ングした結果に応じてアームを駆動させることで,平 地-階段間移行の自動化を実現している. 3.7 IoT 部 ①本体側 図2に示すように IoT 機能用のマイコン,情報表示 を行うためのタブレットを本体に取り付けた.マイコ ンには GPS モジュールと LPWA 通信モジュールが接 続されており,位置情報をサーバへと送信することが できる.一定時間ごとの定期送信に加え,タブレット に表示しているボタンを押した際の緊急時送信,昇降 機本体が転倒した際の転倒時送信を実装している. ②サーバ側 サーバに接続された LPWA 通信モジュ-ルを介し てマイコンとの通信を行う.受信した位置などの情報 はデータベースに保存され,図4に示す Web サイト で確認ができる.緊急時,転倒時の信号を受信した際 には,設定したメールアドレスに対し位置情報をメー ルで送信する. 図4 Web サイト画面 4.性能評価 車体の寸法に関しては,目標仕様以下に収め,装置 の小型化に成功している.その他使用環境等の項目に ついては完成後検証を行っていく.表 2 に性能評価を 示す . 表 2 性能評価 5.製作費用 表 3 に製作費用を示す . 表 3 製作費用 ( 単位:千円 ) 機構部 ※ 制御部 IoT 部 合計 846 127 25 998 ※昇降部,アーム部,着座部をまとめて機構部として算出 6.おわりに 今年度の製作課題は昨年度と比較すると、座面調整 やアーム, IoT 機能の搭載によって利便性を向上する ことが出来た.今後,本開発で製作した IoT 機能を備 えた低床型自走式階段昇降機がさらに発展し,社会に 貢献することが出来れば幸いである. 37

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