応用課程 開発課題20周年史

266 工作機械の加工時間計測システムの開発 中村 正美 *1 NAKAMURA Masami 1.はじめに 職業能力開発大学校での応用課程では 2 年生の時に, 1年間の期間で開発課題実習に取り組む.この開発課題 は,生産システム技術系の3科(生産機械システム技術科, 生産電気システム技術科,生産電子情報システム技術科) が合同で各科から 5 名程度で合計 15 名程度のグループで 構成される. 開発する課題のテーマは,地域の企業との日頃からの 相談援助によるものや共同研究などの取り組みから決定 される.関東職業能力開発大学校には,地域企業からの相 談窓口として地域協力室があり,共同研究や受託研究を 積極的に進めている.企業で抱えている問題や試作した い案件について相談や提案をいただいた内容から,企業 との相談援助の中で共同研究や受託研究,開発課題など への展開を検討しながら能力開発セミナーとして社員教 育も検討していく.このように企業と連携を図ることで, 企業と学校側で一緒に検討して,その内容を学生の教育 において生きた教材として活用しており,双方によい相 乗効果を合わせ持っている. 今回の課題は,地元市内の金属部品の加工会社からの 依頼を受けた企業テーマである.相談のあった企業は,地 元の小山市内にある従業員 60 人程度の中小企業で,北関 東に多くあるプレス加工や部品加工をする会社に,鋼材 を指定寸法で加工することや、各種金型,金属精密機械部 品を製造している金属加工会社である.この企業では,製 品加工時間の計測を,作業者が加工しながら,人手で測定 を行っている.その時間計測により,部品単価の見積積算 に利用することや機械の稼働状況を集計している.加工 時間の計測は,作業者の負担となっていることと,正確な 時間計測が人手により難しく,ヒューマンエラーが発生 しやすい状況で困っている.そこで,加工機械の稼働時間 や段取り時間,測定や手工具による加工などの作業工程 を分析して IoT によるセンシングでモニタリングを自動 で計測を行うことができる計測装置のシステム開発を行 いたい考えがある. 本報では,この要望を叶えるために,工作機械の加工時 間を自動計測するシステムを開発課題実習として取り組 み,開発することを目的とする. *1 関東職業能力開発大学校 生産機械システム技術科 〒 323-0813 栃木県小山市横倉612-1 2.開発目標 開発する装置の仕様を表 1 に示す.装置仕様について は,企業と打ち合わせをして企業の要求仕様を伺い,現場 を見学して,作業者の要望に応えるように検討した. 表 1 開発装置の要求仕様と目標仕様 3.装置概要 計測システムは,工場内の半自動フライス盤における フライス加工に適用できるようにシステムを構築するこ ととし,汎用性を持たせ,他の色々な加工機にも活用で きる計測システムを目指すこととした. 計測項目として,鋼材加工における加工時間の中で, 段取り時間や待機時間,フライス加工時間などに分けて 計測する.更に作業状況をリアルタイムでモニタリング して自動計測することによりデータ収集と管理をする. 加工時間計測システムの開発は,要求仕様を満たす範 囲で汎用性を重視し,段階的に検討し, [ 手動での計測 ] から [ チップ交換時間の自動計測 ] までを目標にして開発 した.さらに次段階の開発として [ 半自動化 ] の製作, [ 完 全自動化 ] の提案も行った.図1に作業工程の内容と計測 するユニットの構成について示す.作業分析としてどの ような作業があり,どのようにセンシングして計測する かについて検討し,図に示す内容をセンサでセンシング することとした. 図1 作業工程におけるセンシング内容 会社の要求仕様 装置仕様 装置寸法[mm] 指定なし W450xD100xH80 計測項目 段取り時間 機械加工時間 チップ交換時間 段取り時間 機械加工時間 特殊作業時間 加工データの出力形式 指定なし Excel 1作業に対する計測誤差 1分以内 1分以内 対応する機械 フライス盤 汎用的 266

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