応用課程 開発課題20周年史

262 自動材料切断装置による材料の精密切断加工 中村 正美 *1 猪野 照高 *2 NAKAMURA Masami INO Terutaka 1.はじめに 職業能力開発大学校の応用課程 2 年生では,1年間を かけて開発課題実習に取り組む.この開発課題は,生産シ ステム系3科(生産機械システム技術科,生産電気システ ム技術科,生産電子情報システム技術科)が合同で 15 名 程度のグループで構成される.開発する課題のテーマは, 地元の地域企業との日頃からの相談援助や共同研究など により決定される. 今回の課題は,地元の金属部品の製造会社からの依頼 である.依頼を受けた企業テーマである.一緒に取り組む 企業は,地元にある従業員 100 人程度の中小企業で,各 種金型や FA 自動機,治具工具等の金属精密機械部品を製 造している.この企業では,材料を六面体加工するには, 図1に示すように,のこ盤で切断しフライス加工で仕上 げて面取りをする.加工工程が多いために時間短縮や省 力化が求められる.また,人手作業を減らしてヒューマン エラー防止も求められている.そこで図2に示すように 精密切断によりフラットバーから一度の切断のみで六面 体を仕上げることができる自動材料切断装置を開発する こととした.このことにより,加工工程の見直しによる省 力化や行程削減,ヒューマンエラーの防止を図ることが できると思われる. 図1 現在の材料加工の流れ 図2 精密切断加工 *1 関東職業能力開発大学校 生産機械システム技術科 〒 323-0813 栃木県小山市横倉612-1 *2 佐賀職業能力開発促進センター 〒849-0911 佐賀市兵庫町若宮1042-2 2.開発目標 装置の開発目標を表 1 に示す.目標については,企業と 打ち合わせをして現場の要望に応えるように検討した. 表 1 開発装置の目標仕様 3.装置概要 開発する自動化装置の加工工程について図3に示す. 材料投入から排出までの一連の加工工程を自動化する. 図4に装置全体について示す.まず,加工の注文によ る現品票をバーコードにて読み込ませて材料情報を取得 し,指定寸法をワークフィーダにより供給する.そして 自動バイスにてクランプして材料を固定し,材料の精密 切断を行う.また,切削時はクーラントを使用する.加 工を支える土台部は,角管を溶接により接合し構造物を 製作して,強度剛性のあるフレーム構造とした. 図3 加工工程のフローチャート 図4 装置全体 切断ユニット クーラント ユニット 自動バイス ワークフィーダ 土台 ユニット 262

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