応用課程 開発課題20周年史

258 製品化に向けた自動面取り装置の開発 中村 正美 *1 中澤 直樹 *2 岩崎 浩文 *3 NAKAMURA Masami NAKAZAWA Naoki IWASAKI Hirofumi 1.はじめに 職業能力開発大学校では,応用課程の 2 年生で1年間 をかけて開発課題実習に取り組む.この開発課題は,生産 システム系3科(生産機械システム技術科,生産電気シス テム技術科,生産電子情報システム技術科)が合同で 15 名程度のグループで実習に取り組む.開発する課題テー マは,地元の地域企業との日頃からの相談援助や共同研 究などにより候補を挙げていただき選定している. 関東職業能力開発大学校には,地域企業からの相談窓 口として地域協力室があり,図 1 に示すように共同研究 や受託研究を積極的に進めており,産官学の連携を取り ながら,つながりを作っている.企業で抱えている問題や 試作したい案件について相談や提案をいただいた内容か ら,学校側で検討し,その内容を学生の教育の題材として 生きた教材として活用しており,双方によい相乗効果を 合わせ持っている. 図1 相談援助による企業と学校とのつながり 今回の自動面取り装置の開発は,昨年度に引き続き2 年目の取り組みとなる.開発課題は,一つの課題で2年を 限度としている.このテーマは,小山市工業会の役員会な どを通じてお付き合いのある中で,依頼を受けた企業テ ーマである.一緒に取り組む企業は,地元にある従業員 100 人程度の中小企業で,各種金型や FA 自動機,治具工 具等の金属精密機械部品を製造している. *1 関東職業能力開発大学校 生産機械システム技術科 〒 323-0813 栃木県小山市横倉 612-1 *2 関東職業能力開発大学校 生産電気システム技術科 *3 関東職業能力開発大学校 生産電子情報システム技術科 小山市工業会の役員会などを通じてお付き合いのある 中で,依頼を受けた企業テーマである.製造している部品 の金属プレートの仕上げ加工として面取り加工があり, 現在は図 2 に示すように人手による手作業で行っており, 依頼元の企業では,材料をフライス盤で六面体加工後に エッジの面取りを作業員が手作業にて行っている.一つ の材料でエッジが 12 か所あり,作業量が多く大きな負担 であることと,ヒューマンエラーが発生しやすいことが 問題となっていた.そこで,この面取り加工の工程を自動 化してほしいとの相談から,要望をかなえるために,材料 の面取り加工自動化装置の設計開発に,開発課題として 取り組むこととした. 2.開発目標 装置開発への取り組み体制は,開発課題として応用課 程 2 年生の生産機械システム技術科 6 名,生産電気シス テム技術科 6 名,生産電子情報システム技術科 6 名の計 18 名の学生による構成である.装置の開発目標を表 1 に 示す.目標については,企業と打ち合わせをして現場の要 望に応えるように検討した. 表 1 開発装置の目標仕様 3.装置概要 開発する自動化装置の作業工程を図 2 に示す.昨年 の装置は加工前の検査部と加工部を別の装置としていた が,本装置では,製品化を目指して一体化させて一連の工 程で自動化させることとした. 仕様項目 目標仕様 装置寸法 WxDxH [mm] 1000x1000x1500 対応材質 鋼材 (SS,SC) 対応寸法 XxYxZ[mm] X:40〜100 Y:20〜70 Z:10〜30 面取り寸法 [mm] C 0.1〜1.0 寸法検査性能 [mm] Z:±0.05 X,Y:±0.5〜1.0 タクトタイム [min] 5 成功率 [%] 97 258

RkJQdWJsaXNoZXIy ODQ0MTk3