応用課程 開発課題20周年史
5.3 下屋スペース計画概要 2019 年度の開発課題である「ボックス形木造模擬家屋 の施工・施工管理」施工時に出入り口の部分に簡易的な ウッドデッキを配置した.しかし,屋根などは設置されて いないため,雨を防ぐことができない.また,住宅気密測 定器の送風機など大型の機器を仮置きするスペースがな いなどの問題があった.そこで,新たに出入り口前に独 立型の下屋スペースを設ける.ウッドデッキはスペースを 広く拡大し,更にフェンスなどを設け,利用する際の利便 性や安全性の向上を図った. 6.各種施工作業 6.1 底盤施工 底盤コンクリートを打設する場所の根切りなど整地作業 を行い,型枠を設置した.この際,膨張ひび割れを抑制 するため既存コンクリート面に目地板を取り付けて縁切り した.次にワイヤーメッシュを敷き,呼び強度 24N/mm 2 コ ンクリートを打設した.打設の際に受け入れ検査を実施し, スランプ試験,空気量それぞれが適正であることを確認し た.コンクリート打設後脱型し,柱設置部にステンレス製 柱受を,側面の束設置部に沓石を設置した.次にモルタ ル打設用の型枠を設置し,既存底盤コンクリートの面に付 着強化剤を塗布した.その後,増し打ちモルタルを打設 し,コテで均して仕上げた. 6.2 下屋スペース施工 使用する木材は屋外での耐候性や耐朽性に強いとさ れ,ウッドデッキ用部材として用いられているウエスタンレ ッドシダーとヒノキを混合して用いた. 施工は,柱受や沓石上端のレベルを測定した後,必要 な長さに木材を加工し,はっ水効果や耐朽性を向上させ るため塗装した.枠組足場を設置した後,柱受に下屋を 支える柱を立て,ほぞおよび金物で桁と梁を架け渡し, 方杖をボルトによって固定した.設置した桁に垂木を 2寸 勾配で掛け,垂木にポリカ波板を張るための受材を取り 付けた.ポリカ波板は施工説明書に則り,5 つ山おきに波 板取り付け専用ビスで固定した.また,軒先部に軒樋を施 工した. ウッドデッキ部は,下側の見え隠れとなる束は屋外用と して用いることができるプラ束を用いた.プラ束は専用の 接着剤を用いて底盤コンクリートに接着し,アジャスター 機能を用いて必要な高さに整えた.根太をプラ束の天端 にビスで固定し,その上にデッキ床板を敷き,ウッドデッ キ 2 段目の両側にはフェンスを設けた.なお,これらはウ ッドデッキ用皿取錐で下穴を開け,デッキ用ビスやステン レスビスを用いて施工した. 6.3 内装施工 表 2 で示した仕様の断熱材を,外壁および界壁の枠組 間に隙間なく充填した後,A 室と B 室ともに壁下地として 12.5 ㎜厚の石こうボードを小屋裏まで張った.この際,素 線温度センサーなどのケーブルがあるので,それらが取 り付けられている部分は配線用の穴を開け施工した.そ の後,天井を施工するため,両室ともに野縁を組み,野縁 上に断熱材を敷き詰めた.野縁下端には防湿シートと天 井下地となる 12.5 ㎜厚の石こうボードを張り,継ぎ目やビ ス頭にパテを充填し,研磨した. 洋室とした A 室は,天井および壁を無地クロスにより仕 上げ,床は 12 ㎜厚の複合フローリングボード仕上げとし た.最後に廻縁と巾木を納めた. 和室とした B 室は,天井に化粧合板の目透かし天井材 を張った.床に畳寄せ,壁の四隅に付け柱を取り付け, 天井と壁の取り合いに廻縁を納めた.壁の仕上げとして 珪藻土を 3 ㎜程度の厚さにコテで塗った.また,床には, 専門業者に依頼した 40㎜厚の畳を敷いた. 6.4 電気配線 各室において住宅気密測定器などの環境測定機器が 使用できるよう,両室それぞれに三個口 15A の家庭用コ ンセントを設けた.コンセントを取り付けるスイッチボックス 内側には,防気カバーを付け,気密性を下げないように した.電源は仮設電柱から埋設したFEP管の中に2線の VVF ケーブルを環境測定スペース内に通して室内の家 庭用分電盤に接続し,そこから両室のコンセントへ配線し た.なお,これら作業の内,電気工事にあたる部分は,資 格が必要なため,関東職業能力開発大学校,電気エネ ルギー制御科の高木先生にご協力いただいた. 6.5 竣工 施工後の確認において,打設したコンクリートのひび 割れは生じなかった.また,躯体,下屋スペース,外装仕 上げ,内装仕上げ,電気配線,センサーの取り付けのそ れぞれについても大きな施工ミスはなく,環境測定スペ ースを完成させることができた(図1). 図1 竣工写真 7.予備測定の方法と準備 7.1 温湿度測定方法と準備 250
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