応用課程 開発課題20周年史

長さや本数,打ち方などが詳細に規定されている.環境 測定スペースの施工においては,原則,仕様書 (1) の規定 に則って実施したが,木材を釘で所定の本数で固定する と,人力による解体が困難になる為,2019 年度の開発課 題では同長さ以上のコーススレッドで代用した.床組は施 工時の簡便性から根太レス工法とし,床下には厚さ 80 ㎜ のグラスウール断熱材を敷きこんだ. 4.外装仕上げ施工 4.1 屋根仕上げ施工 屋根仕上げ施工は株式会社ルーフタイルグループジ ャパンの専門家(2 名)の指導を受けながら進めた.屋根 仕上げ材に用いたオベロン TM は同社が販売しているガ ルバリウム鋼板にストーンチップを積層しアクリル樹脂で コーティングした屋根材である.施工は軒先スターターと ケラバ用の水切りを付けた後,オベロン TM の施工要領に 従い,専用のビスで取り付けた. 4.2 外壁および軒天仕上げ施工 外壁仕上げ施工の前に透湿防水シートとブチルテー プを用いて開口部の窓台部分を覆い,開口部サッシを取 り付けた.その後,旭トステム外装株式会社の専門家(3 名)の指導を受けながら外壁仕上げ施工に取り組んだ. まず,基礎水切りを取り付け,外壁下地面全体を透湿防 水シートで覆った.外壁仕上げ材には窯業系サイディン グを使用した.外壁下部にスターターを,サイディングの 継ぎ目になる部分にハット形ジョイナーを取り付けた.外 壁通気工法となるように,通気金物を用いて,窯業系サイ ディングを施工した.また,継ぎ目や開口部外周部には, シーリング材を充填した. 軒天の換気孔としては軒天通気ライナーを用いた.軒 天通気ライナーはプラスチックプレートを積層したハニカ ム構造の換気用建材である.吸排気両用とした軒裏換気 孔の必要開口面積は,仕様書 (1) によって天井面積の 1/250以上と示されているが,軒天通気ライナーを用いた 場合,必要開口面積が446cm 2 に対して,有効開口面積を 2,033cm 2 設けることができた.破風,および鼻隠し部は 窯業系サイディングで覆った.雨樋は,片流れ屋根であ るため,水下となる北面のみ施工した.軒樋を取り付ける 際の水勾配は1/1000 での施工を行った. 5.内装および施工計画概要 内装仕上げ,および下屋スペースの計画,設計,施工, 施工管理は2020年度の開発課題で取り組んだ. 5.1 内装計画概要 環境測定スペースは,東西で 2 室(東側を A 室,西側 をB室と呼称する)に分かれている.A室とB室をそれぞ れ異なる仕上げ材や断熱材を用い,意図的に断熱性能 に差をつけて施工した. A 室および B 室の内装仕上げについては,日本の住 宅において一般的にみられ,温湿度環境の違いについ て興味を持ちやすい洋室(A 室)と和室(B 室)の仕上げ にした.それぞれの部屋は,外壁側と天井に異なる性能 と厚みの断熱材を充填した.界壁は床から小屋裏まで両 側面に断熱材を充填し,更に石こうボードで張り上げて仕 切り,互いの部屋の熱の影響を受けにくいようにした. 5.2 断熱性能の確認 環境測定スペースは,前述の通り,東西で 2 室に分か れている.A室と B室の外皮の断熱性能を示す熱貫流率 (U 値)を一般社団法人日本サスティナブル建築協会で 公開されていた評価プログラム (2) 「部位の熱貫流率(U 値) 計算シート」を用いて算出した結果,表2の値となった. 表2 部位別熱貫流率一覧 部位 工法の 種類 断熱材の仕様 熱貫流率 W/(m 2 ・K) A室天井 断熱材 敷き込み HG16-38 89㎜厚 0.388 B室天井 HG10-43 65㎜厚 0.566 A室外壁 枠材間 に断熱 HG16-38 89㎜厚 0.469 B室外壁 HG10-43 65㎜厚 0.635 床(共通) 剛床工法 HG24-36 80㎜厚 0.452 出入口アルミ製ドア - 4.650 腰窓アルミ製サッシ - 6.510 これらの結果をもとに,評価プログラム (2) 「【木造戸建住 宅版】外皮性能計算シート」を用いて,環境測定スペース 全体の断熱性能を算出した結果,表 3 の値となった.外 皮平均熱貫流率(U A )は 0.79[W/(m 2 ・K)],冷房期の平均 日射熱取得率(η AC )は 1.6 と「建築物のエネルギー消費 性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」により定め られた栃木県小山市(5 地域)の基準値以下となり,断熱 性能基準を満たしていることを確認した. なお,A 室と B 室の正確な断熱性能を算定することは できないが,両室の断熱性能の違いの目安とするため, 界壁部を外壁と仮定してU A とη AC の値を A 室と B 室ごと に算出したところ,表 3 の結果となった.B 室は断熱材の 性能を低くし,厚さを A 室より薄くしたことにより,U A 値が 0.1,η AC 値が 0.2高い値となった. 表3 断熱性能一覧 断熱領域 外皮平均 熱貫流率 U A [W/(m 2 ・K)] 冷房期 平均日射取得率 η AC [-] 5地域基準値 0.87 3.0 環境測定スペース全体 0.79 1.6 A室(洋室) 0.66 ※ 1.3 ※ B室(和室) 0.76 ※ 1.5 ※ ※ 値は界壁部を外壁と仮定し算定した参考値 249

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