応用課程 開発課題20周年史

環境測定スペースの施工および予備測定結果について 長井 崇 *1 飯塚 和寛 *2 佐藤 日和 *2 島田 尚哉 *2 宮城 拓海 *2 東江 健成 *3 齋 大翔 *3 本村 優人 *3 松本 颯 *3 丸山 純平 *3 御子貝 蓮 *3 1.はじめに 建築施工システム技術科の総合施工・施工管理課題実 習(以下開発課題)では,2019 年度に「ボックス形木造模 擬家屋の施工・施工管理 -環境測定スペースの基盤と して-」で環境測定スペースとする,枠組壁工法(以下 2 ×4 工法)による屋外模擬家屋の躯体施工および外装施 工に取り組んだ.翌2020年度には「屋外模擬家屋におけ る環境測定スペースの施工・施工管理」で,屋外模擬家 屋の内装施工,電気設備工事および下屋スペースの施 工に取り組み,屋外模擬家屋を環境測定スペースとして 整備した.また,同年度の応用課題実習では,熱電対温 度センサーによる屋根表面や,各壁面表面の温度測定, サーモレコーダーによる室内および床下の温湿度測定, さらに気密測定器による気密測定を行い,環境測定スペ ースにおける環境測定結果の傾向を確認した. これら開発課題および応用課題実習における取り組み によって,木造住宅建築の施工および施工管理につい て,より実践的な技術やノウハウを習得することが出来た と共に,住宅に求められる断熱性能や気密性能について 理解を深められた.よって,本報では,一連の取り組みに ついてまとめ,報告する. 2.環境測定スペースの計画・設計 2.1 計画概要 環境測定スペースは 2×4 工法を用い,仕様書 (1) を参 考にして躯体の設計と施工計画を行い,各種図面,およ び施工手順書を作成した. 環境測定を実施する際に,比較測定が行えるように, 界壁で床から小屋裏まで仕切り,独立した出入口(勝手 口ドア)と開口部(腰窓)をもつ部屋を 2 部屋設けた.また, 木質構造施工・施工管理課題実習において施工した実 習用模擬家屋は,日本の木造住宅ではポピュラーな切妻 屋根であった事から,異なる納まりや施工を学ぶため,近 年の木造住宅でも多くみられる,軒の出が少ないボックス 形に近い形状とすることにした.なお,主な計画概要につ いては,表1 の通りである. *1(関東職業能力開発大学校)建築施工システム技術科 *2(関東職業能力開発大学校)建築施工システム技術科 18期生 *3(関東職業能力開発大学校)建築施工システム技術科 19期生 表1 環境測定スペース設計概要 構造躯体 木造(2×4工法) 平面サイズ 3,450㎜×3,225㎜ 1FL 534㎜(床下地合板高) 最高高さ 3,801㎜(屋根下地合板高) 屋根形式 片流れ屋根 軒の出寸法210㎜ 屋根勾配 2.5寸勾配 開口部建具 勝手口 W740×H1,800㎜ 2か所 腰 窓 W690×H700㎜ 2か所 センサー 取付位置 床下:温湿度センサー 屋根・壁仕上裏:表面温度センサー 通気層:温度センサー 2.2 構造の安定について 環境測定スペースは建築基準法第 6 条第1 項第 4 号 に規定される建築物に相当するため,仕様書による躯体 構造に対する規定の確認と,壁量計算によって構造の安 定を確認した.仕様に基づく耐力壁線上における開口部 の幅寸法は北面,南面とも規定以内である.また,壁倍率 を釘で面材を張った場合と同様の3.0倍として算出した場 合,必要壁量より存在壁量を上回ることが確認できた. 3.躯体施工 躯体,および外装仕上げの計画,設計,施工,施工管 理は2019年度の開発課題で取り組んだ. 3.1 基礎施工 既存の底盤コンクリートに基礎の立ち上がり部を鉄筋コ ンクリート造にて施工をした.立ち上がり高さは GL+400 ㎜とし,打設した生コンクリートは呼び強度 24N/㎜ 2 の普 通コンクリートである.既に打設されている底盤コンクリー トと,基礎の立ち上がり部分を固定するため,底盤コンクリ ートにセットアンカーを打ち込み,全ネジボルトを埋め込 んだ状態で打設を行った.また,基礎天端を平滑に仕上 げるため,打設後にセルフレベリング材を施工した. 3.2 躯体施工 仕様書 (1) ではツーバイ材や面材との接合に際して,専 用の釘を用いることと,接合場所に応じて使用する釘の 248

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