応用課程 開発課題20周年史

溶接時は入熱により,部材が変形しないよう治具を製作 し,固定しながら接合(図35)した.母屋はH形鋼を用い て小屋束にボルト接合した(図 36).下地材はすべてあ らかじめ塗装を施し,高所作業を軽減した. 母屋の上にリップ溝形鋼を使用して垂木材を施工(図 37)した.垂木材はM12のボルトを使用して母屋材に取 付けた.さらに,垂木にはタイトフレームをボルト接合 により設置した.設置完了後の様子を図38に示す.ま た,仕上げ材取付け前にボルト類は錆止め塗装を行った. 図35 小屋束溶接 図36 小屋束及び母屋設置後 図37 垂木設置 図38 垂木設置 3.12 屋根仕上げ材及び雨どいの設置 不必要な部分をあらかじめ切断し,図 39 に示すよう なキックルーフを取付けた.キックルーフは屋根面に上 り,足で荷重をかけてタイトフレームに固定するため, 親綱など安全対策を十分に施し,作業を行った.キック ルーフの上部と下部は防水加工が施されたドリルねじ を使用して垂木材に固定した. キックルーフ外周のケラバ等の部分は専用の見切り 材を一部板金加工して取付けた.取付完了後の様子を図 40 に示す.母屋の先端にも漏水防止のために見切り材 を取付けドリルねじにより固定した. 屋根面の水下側には図41に示すような軒どいを取付 けた.専用のボルトを使用して,水勾配を調整し,設置後 には試験的に散水して,雨どいの水の流れを確認した. また,雨どいの水下側下部に集水器を設置し,エルボを 経由してたてどいと連結し, PCa 壁につかみ金具を使 用して固定した.屋根工事が完了した時点で使用してい た作業用足場を解体した. 図39 キックルーフ設置 図40 端部見切り材設置 図41 軒どい設置 図42 たてどい設置 3.13 竣工 資材を収納する際の安全対策用に施錠可能なゲート を設置し(図43),竣工とした.竣工後は,予定していた 実習場内で使用頻度の少ない資材を運搬し,収納した (図 44).当初の設計通り,実習場の作業スペースも広 がり,収納倉庫も十分な収納スペースを確保できた. 図43 ゲート設置 図44 収納資材搬入 4. まとめ 本課題に学生が取組んだことで PCa 工法の施工・施 工管理について理解することができた.実際に建物を施 工することで揚重計画や安全対策の重要性についても 学習でき,有意義な課題であった.また,施工中は天候不 良や数々のトラブルも生じたが,その都度対策を考え, あきらめずに取り組み乗り越えることができた. 5. 謝辞 本課題で使用した,モルタル充填式機械継手「トップ スジョイント」の無償提供ならびに施工時の技術指導を いただきました東京鉄鋼株式会社様に深く感謝申し上 げます.また, 屋根材の一部を無償でご提供いただき ました稲垣商事株式会社様に深く感謝申し上げます. 参考文献 1) 日本建築学会,壁式構造関係設計基準集・同解説(壁式鉄筋コンク リート造編)(1997),32,日本建築学会 2) 一般社団法人公共建築協会,公共建築工事標準仕様書(建設工事 編),平成28年版,450, 一般社団法人公共建築協会 3) 一般社団法人公共建築協会,建築工事監理指針(上巻),平成28年版 4) 東京鉄鋼株式会社,トップスジョイントDSタイプ<プレキャスト用 継手>設計指針標準施工仕様書,2-17, 東京鉄鋼株式会社 5) 日本建築学会,建築工事標準仕様書・同解説 JASS10 プレキャスト 鉄筋コンクリート工事(2013),27,日本建築学会 247

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