応用課程 開発課題20周年史
3.8 建方計画及び建方 PCa 壁の重量と安全性を考慮して,10tのラフターク レーン(図21)を使用して揚重する建方計画とした.建 方では,作業計画書を事前にクレーンオペレーターの方 に確認していただき,作業の流れや施工場所,運搬ルー ト,使用吊具などの決定を行った.底盤に設置した接合 用鉄筋を PCa 壁に埋設したモルタル充填式機械継手に 慎重に挿入し(図 22),設置した.建起こした PCa 壁は, 底盤上に置かれているだけのため,外力等による転倒防 止用に専用の支保工材(図23)を設置した.支保工材は, 建入れ直しが行えるよう圧縮,引張両方向に長さ調整が できるものを選定した.さらに安全対策として,PCa 壁 の上部にアングルやフラットバーを使用して緊結材を 製作し,頭つなぎとして設置した. 図21 建方作業風景 図22継手への鉄筋挿入 図23 支保工材 図24 頭つなぎアングル 3.9 機械式継手へのモルタル充填 モルタル充填式機械継手の標準施工仕様書 4) に基づ きモルタルを充填した.充填前に鉄筋の挿入長さが十分 かを確認し,下部にある注入口用パイプ穴から専用モル タルを注入器で挿入し,上部の排出口用パイプからモル タルが十分にあふれ出るまで(図 25)モルタルを注入 した.注入後は有害な振動や衝撃を与えないように規定 の養生時間を設けた.専用モルタルは注入前に図26に 示すモルタルフロー試験 4) を実施し, 適切な流動性で あることを確認した. 図25 モルタル注入 図26 モルタルフロー試験 図 27 に示すように注入 28 日後にテストピースの圧 縮試験を実施し, 規定値 4) 以上の圧縮強度があること を確認した.さらに図28に示すように3.4で製作した 試験体の接合部引張試験を実施し, 継手部分で破断し ていないことを確認した.また,意図的に施工不良を模 した試験体では,鉄筋の挿入長さ不足のものが,接合部 から鉄筋が引き抜ける形で破断した.この結果より,鉄 筋の挿入長さの管理が重要と言える. 図27 モルタル圧縮試験 図28鉄筋接合部引張試験 3.10 PCa壁の一体化 壁面を一体化させるためにコッター筋の現場溶接 5) を行った.溶接に先立ち,当て筋(図 29)を取付けた. 現場溶接には炭酸ガスを使用した半自動溶接機を用い て, 図30に示すように当て筋の上下の2面溶接とし十 分な溶接長さを確保した. 図31に示すようにすべてのPCa壁の下部に型枠を設 置してグラウト材を注入した.さらにコッター部のモル タルを打設するために型枠を内外壁に設置した(図32). 打設する際はモルタル注入が容易に行えるようロート 部材を製作し(図33),空隙等が生じないよう2回に分け て打設 5) した.型枠脱型後のコッター部を図 34 に示す. 図29 コッター部当て筋 図30 コッター部溶接 図31 壁下部型枠 図32 コッター部外部型枠 図33 モルタル挿入状況 図34 脱型後のコッター部 3.11 屋根下地材の製作及び設置 屋根部材は鉄骨部材を使用して製作した.小屋束には H 型鋼とフラットバーを溶接接合し,部材製作を行った. 支保工材 アングル 排出口 246
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