応用課程 開発課題20周年史

243 ワークはカウントされており,良品は3個,不良品は6個 ベルトコンベヤ上に溜まった場合,装置の全動作は停止 する.ワークのベルトコンベヤ上からの逸脱やワークの交 差によるワークの傷等を防ぐためである. 6. 性能評価 製作した装置の開発仕様とその性能評価を表2に示す. 表中の評価に示すように,装置サイズや2種類ワークへ の対応など概ね仕様を満たした.特に,依頼企業より要 望の強かったボルトとワーク板面に付着した0.5㎜以上の スパッタの検出とタクトタイム15秒以内を14.3秒に収める ことで装置仕様を満たすことができた. 画像処理については,全ワークのエビデンス保存は可 能となった.しかし,学生自ら課題設定した 1 ㎜以上のス パッタ検出については,スパッタを黒色のやけとして画像 処理するため,やけのないスパッタ検出については不可 能であり今後の課題となった. 表2 性能評価 項目 開発仕様 評価 サイズ W1500×D900×H1200[㎜] 〇 検査項目 ナットとワークとの隙間が0.5[㎜]以上 〇 ワークの対応 対象形状(2種)検査可能 〇 締め付けトルク 0.1~0.3[N・m] (1~3[kgf・㎝]) 〇 画像処理 全ワークの画像保存(1ヶ月間) △ タクトタイム 4個/分(15秒) 14.3秒 成功率 100% 98% 成功率は 98%の達成となった.その検査方法は,企業 が 1 日に行っている検査数と同様にワーク A 1000 個, ワーク B 1000 個の計 2000 個の検査を行った.以下の3 条件が満たされた時に成功と判定した. ①ナット締め検査が正常に作動する ②画像処理により異物を検知し不良とする 表3 検査結果 検査数 ワークA成功率[%] ワークB成功率[%] 1~100 98 100 101~200 98 97 201~300 97 99 301~400 99 99 401~500 95 100 501~600 98 100 601~700 98 98 701~800 98 94 801~900 98 99 901~100 100 96 全体 97.9 98.2 ③判定結果通りにワークを良品用,不良品用のコンベ ヤへピッキングする. その判定により成功率を算出した.検査結果を表 3 に 示す.誤判定の原因としては,①ナット締め検査で良品 を不良品と判定したことである.逆に,不良品を良品と判 定したことは2000個の検査中1度もなく,最も重要な企業 の要求を満たした. 7. まとめ 開発した装置は企業の要求を概ね満たした.しかし, 実用化に至るにはまだ課題が残る.その主な課題とし以 下3点が挙げられる.①画像処理検査において,スパッタ の判断を「やけ」(図 10)として処理し,やけのないスパッ タは誤判定となった.②ナット締め機構のコラム部(図18) が片持構造であり,たわみによるナットとボルトの位置精 度の変動が問題となった. 図18 ナット締め機構 コラム部 ③ナット締め機構の位置調整に個々人の技量により必 要時間のばらつきが生じた.次年度は継続テーマとし以 上の3つの課題点を解決する装置を開発すると共に,依 頼企業において実用機として使用して頂くことを切望する. 日本企業は,生産性向上を目指し自動機器の開発が 必至となっている.この装置開発もその一端を担うことを 願う. コラム部 243

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