応用課程 開発課題20周年史

240 ワーク記録用撮影には,USB 接続のカメラを使用す る.また,画像や検査データの保存のため,USB メモ リを接続する.さらに,オンラインストレージサービスに も短期間保存し,外部からデータの閲覧やダウンロー ドが可能である. 検査装置本体の制御に使用する PLC との通信は 専用のデータリンク機能を使用する.ワークの種類, 画像処理による合否データや検査用ナットによる合 否データの受け渡しを行う. 図7 画像検査部構成図 3.2 画像撮影 検査用カメラは,シングルボードコンピュータ用イン タフェースをもつ Arducam 8MP Sony IMX219 カメラモ ジュールを 4 台使用した.レンズは,焦点距離 25mm である.シングルボードコンピュータとの接続には,専 用のマルチカメラモジュールを使用した. ワーク全体の撮影用カメラは,シングルボードコン ピュータの USB ポートに接続可能な産業用カメラ DFK22BUC03(The Imaging Source 社製)を使用し た.ワークの対面に鏡を設置し,図 8 に示すように ワークのボルト周辺を 1 枚の画像に収めることができ るようにした. 図 8 ワーク画像 暗箱内の照明は,バー型 LED を四方に配置し, ワーク全体に光が当たるようにした.また,乱反射を 低減するために内面に黒色のラシャ紙を貼り付けた. 3.3 画像処理による合否判定方法 スパッタが発生した際に,スパッタ近傍でやけと呼 ばれる黒い変色が生じる(図 4).そこで,画像処理に よりボルト周辺の黒いやけを検出することでスパッタ の有無を判定する方法とした. ボルト周辺に黒いインクを付け,模擬的にやけを発 生させたワークの撮影画像を図 9 に示す.画像の中 からボルト周辺の黒色を検出することで,図 10 のよう にやけの部分を検出することができた.1 本のボルト での検査時間は約 3 秒となり,要求されるタクトタイム 以内で検査可能である.また,30 個の検査を行い, すべて正しく合否を判定できた. 本方法の他に,良品画像と検査品画像の差分をと ることでスパッタを検出する方法を検討した.この方 法では,ワークの位置ずれの補正,光の反射やス パッタ以外の傷の影響を取り除くための処理が必要 である.ボルト 1 本あたりの総処理時間が約 8 秒とな り,本装置の画像処理ボードの処理能力では要求さ れるタクトタイム内に画像処理を完了することができな い.また,機械学習による判定方法も検討したが,処 理時間が約 40 秒,検出精度が約 70%であった.その ため,これらの方法は本装置には不適切と判断した. 図 9 模擬的なやけ 図 10 やけの検出結果 3.4 操作画面 検査プログラム起動画面を図 11 に示す.図 3 に示 すように検査対象となるワークはワーク A,ワーク B の 2 種類である.ワーク A とワーク B は混在することがな く,検査開始時に設定する.ナット締め検査部と画像 処理検査部は,この設定に合わせて動作する. シングルボード コンピュータ Raspberry Pi 画像処理ボード PINQ マルチカメラモジュール カメラ ×2 カメラ ×2 モニター ボルト検査用カメラ USB カメラ ワーク 撮影用カメラ USB メモリ データ保存 PLC 機構全体制御 合否 検査画像 各種データ 検査画像 合否 オンライン ストレージ サービス 各画像・検査データ ブラウザ 各画像 検査データ 画像処理部 検査画像保存・閲覧 ナット締め 検査機構 ナット締め検査部 制御用データ 240

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