応用課程 開発課題20周年史

239 2. 全体概要および仕様 2.1 全体概要 本装置の検査工程を図 5 に示す.また,製作した装置 の全体構成を図6 に示す. 目標とする装置仕様は,検査台への部品のセット(図 5, 図6の①)及び検査後の部品の取り出しは人手で行う.投 入された部品は,まず画像処理部(図 5,図 6 の②)で大 きなスパッタの有無を判定する.スパッタが検出された場 合には次工程を省略することも可能な装置とした.次工程 は検査用ナット着脱部(図 5,図 6 の③及び④)で,自動 で検査用ナットを回転させながらM8 ボルトへ挿入および 取出しを行い,ボルトへの強固なスパッタの付着状態お よびボルト底部から 0.5mm 以上の大きさのスパッタの有 無を検査する.最終工程は仕分部(図 5,図 6 の⑤排出 部)となり,良品と不良品をピッキング装置により選別し良 品用と不良品用のどちらかのコンベヤへ搬送する.1個 の部品については検査時間を15秒以内とした.以上, ① 投入部から ⑤ 排出部までのワーク搬送は主コンベヤ(ス テッピングモータ駆動)で行う. 図5 検査工程 図6 装置の全体構成 2.2 装置仕様 開発装置の主な仕様を表1に示す.タクトタイムは, ワーク 2000 個を8時間で処理する設定とした.理由として, 依頼企業では現在人手により昼夜含めて 2000 個のワー クを検査している.しかし,夜間に人が集まらず,昼(8時 間)のみで同数を処理する装置との要望から設定した. 装置サイズは設置する場所の周辺装置との兼ね合いより 企業の要望により設定した.また,作業高さも作業者の疲 労を軽減することを考慮した.検査用ナットのボルトへの 締め付けトルクの設定は,当初依頼企業より 0.49~1.47 [N・m]であったが,この値は製品として M8 ボルトにナット を締結する場合の値であり,検査のため一時的にナット を締結する場合とは異なる.予備実験を行った結果より 0.1~0.3[N・m]で十分であることが検証されその値で依頼 企業より承認を頂いた. 全ワークのエビデンス保存が必要なことから撮影した ワークの画像は1カ月間全て保存処理する仕様とした.ま た,画像処理により 1㎜を超えるスパッタ検出は企業要求 ではなく学生が主体的に自らの目標として設定した.ス パッタ検出の企業要求は,ボルトへ強固に付着したス パッタの検出とボルト底部へ付着した 0.5 ㎜以上のスパッ タ検出である. ワークの投入及び排出は人手で行い装置内でのワー クは自動搬送し,ワークは2種類(図 3)に対応した検査装 置の仕様とした. 表1 開発仕様 項目 開発仕様 タクトタイム 15秒/個 装置サイズ 1500(W)×900(D)×1200(H) 突出部・配電盤を除く 作業高さ 腰高(最大1000 mm) 締め付けトルク 0.1~0.3 N・m 画像処理 1mmを超えるスパッタの検出 全ワークの画像(エビデンス)保存 ワークの移動 自動(投入・排出は手動) 検査項目 0.5㎜以上のスパッタを判別 ワークの対応 2種類ワーク対応 3. 画像処理機能 3.1 概要 画像処理部は,画像処理によるスパッタ有無の検 査機能および検査対象である全てのワークの撮影・ 保存機能で構成される.検査対象となるワークは,図 3 に示すようにボルト 2 本が対称的に配置された 2 種 ある.そこで,画像処理を使った検査のため,ワーク の種類ごとに 2 台 1 組,合計 4 台のカメラをボルトの 真上に配置し,ボルトの画像を撮影する. 画像処理部の構成を図 7 に示す.シングルボード コンピュータ(Raspberry Pi 3 B+)をメインコントローラ とし,画像処理用FPGAボード(PINQ Z2)および周辺 装置で構成する.シングルボードコンピュータの専用 カメラ接続用ポートが 1 個のみであるため,専用の拡 張ボードを使用し,4 台のカメラを切替えて接続する. 239

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