応用課程 開発課題20周年史

233 A 社では,鋼材をノコ盤で切断後にフライス盤で仕 上げ加工を行っているが、加工工程が多いために切断 のみでフライス加工と同程度に仕上げる装置を開発し たいと考えている. B 社では製品加工時間の計測を,作業者が加工しな がら人の手で測定を行っており負担となっていること と正確な時間計測が人手により難しくヒューマンエラ ーが発生しやすい状況で困っているため、加工機の稼 働時間や段取り時間,測定や手工具による加工などの 作業工程を分析して IoT によるセンシングでモニタリ ングを自動で計測を行う装置システムの開発を行いた い考えがある. これら 2 社の要望を叶えるために、本開発課題実習 では,開発課題テーマとして材料を切断のみでフライ ス仕上げ加工と同程度の切断装置に,加工時間計測シ ステムを搭載した装置を開発することを目的とする. 2 社の要望を一つの開発課題として取り組んだ初めて の事例である.本報告では,主に2年目の2020年度の 取り組み事例について報告する.学生の体制は生産機 械システム技術科6名,生産電気システム技術科4名, 生産電子情報システム技術科5名の計15名である. 3.開発装置の仕様 開発する装置について,企業との打ち合わせを重ね て,企業の要求仕様から開発する装置の仕様について, 表1に示すように決定した. 被削材は鋼材(SS,SC材)とし,切断する工具は,超 硬チップを64枚搭載した回転刃(工具直径300㎜)と した.評価としては現在の生産におけるフライス加工 と同等以上の寸法精度と仕上げ面粗さを得ることとし た.加工時間計測システムについては,材料切断装置 に搭載するが,汎用性を持たせて様々な加工機で使用 したい要望から,実際に生産している工場内のフライ ス盤における加工を計測対象の目標としている. 表1 開発装置の要求仕様と装置仕様 4.自動材料切断装置装置の概要 図3 作業工程の動作フロー 図3に作業工程について動作フローを示す. 始めに材料の現品票をバーコードリーダで読み込み データベースの情報から材料サイズを抽出してワーク フィーダにより指定寸法で材料を供給する.その後, 自動バイスにてクランプして材料を固定する.次に回 転刃により材料を切断加工し排出する. 図4に開発した自動材料切断装置の全体像を示す. 図4 自動材料切断装置の全体外観 図 5 にシステム構成について示す.自動化装置の動 作の制御には PLC を用いており,各動作部のアクチュ エータやセンサをプログラムにより制御する.材料デ ータベースとの通信や現品票のバーコード読み取り, 加工時間計測部については,コンピュータ(シングル ボード PC)による制御としており,PLC とコンピュー タ間でLANによる通信でデータの入出力をしている. 図5 自動化装置のシステム構成図 仕様項目 要求仕様 装置仕様 装置寸法[mm] 幅×奥行×高さ 指定なし 1800×1800×1900 対応材種 鋼材 鋼材 材料寸法[mm] 幅×厚み×⻑さ 200×30×4000 30~60×15×1000 製品⻑さ[mm] 30~1600 30~500 ⻑さ精度[mm] ±0.02 ±0.02 面粗さ[μm] Ra 6.3 Ra 0.5 加工データの 見える化 寸法精度,表面粗さ,加工時間,履歴 加工履歴,刃物変更履歴,加工後の寸法 加工時間,加工履歴,刃物変更履歴に加え, 刃物の送り速度、刃物の回転数,累計加工回数 装置寸法[mm] 幅×奥行×高さ 指定なし 450×100×80 計測項目 段取り時間 機械加工時間 チップ交換時間 段取り時間 機械加工時間 特殊作業時間 加工データの 出力形式 指定なし Excel 1作業に対する 計測誤差 1分以内 要求仕様と同様 対応する機械 フライス盤 汎用的 加工時間計測システム 自動材料切断装置 233

RkJQdWJsaXNoZXIy ODQ0MTk3