応用課程 開発課題20周年史

232 加工時間計測システムを搭載した自動材料切断装置の開発 中村 正美 *1 水尾 準 *2 小野 泰二 *3 1. はじめに 職業能力開発大学校の応用課程 2 年生では,1 年の 期間をかけて「開発課題実習」として,主に自動化装 置の設計開発に取り組む.この開発課題実習は,生産 システム技術系 3 科(生産機械システム技術科,生産 電気システム技術科,生産電子情報システム技術科) の各科5~6 名の学生が,合計で約15 名のグループワ ークで取り組む. 開発する課題のテーマは,地元の地域企業との日頃 からの相談援助や共同研究などにより,候補を挙げて 選定している. 図 1 に相談援助による地域企業と大学校とのつなが りについて示す.大学校には,地域企業からの相談窓 口として地域協力室があり,共同研究や受託研究を積 極的に進めている 1) .産官学との間で連携を取りなが ら,つながりを作っており企業に支援や協力をしてい る. 企業で抱えている問題や試作したい案件について相 談や提案をいただいた内容から,企業との相談援助の 中で共同研究や受託研究,開発課題などへの展開を検 討しながら能力開発セミナーとして社員教育も検討し ていく.このように企業と連携を図ることで,企業と 学校側で一緒に検討して,その内容を学生の教育にお いて生きた教材として活用しており,双方によい相乗 効果を合わせ持っている.本報告は,その一例である. 図1 相談援助による地域企業と大学校のつながり 近年は,第4次産業革命(インダストリ4.0)の進展 企業からの相談援助における要望の中で,相談が増 えてきているのは,工場の生産における自動化ライン において稼働状況をセンシングしてデータ収集による IoT の活用や AI によるデータ分析が求められている. 世の中の動向として,近年は第 4 次産業革命 (Industry4.0)の進展が急速に進み,フィジカル(現 実)空間とサイバー(デジタル)空間との相互連携よ り融合した,新たな価値を持つ社会へと変革化(デジ タルトランスフォーメーション)してきている.IoTに より人とモノがつながることで情報共有し,人工知能 (AI)により膨大なデータから必要な情報を分析する. このようにフィジカル空間でのセンシングによりデー タ収集し,サイバー空間のクラウドサーバにデータが 蓄積されて,ビッグデータを人工知能が解析してフィ ジカル空間へとフィードバックするシステムが,生産 現場においても取り入れられてきている.これにより, デジタルツインを活用した製品設計や予知保全ができ, 生産情報の見える化と稼働状況の把握と予測,自立最 適化することができる 2) .第 4 次産業革命の概要につ いて図2に示す. 図2 第4次産業革命(インダストリ4.0)の概要 2.開発テーマの概要 今回の開発課題実習のテーマとして,取り組み先の 企業は,地元の小山市内にある従業員 100 人程度の中 小企業 2 社であり,精密機械部品を中心に各種金型用 標準部品やFA自動機用部品,治具工具等の金属機械部 品を製造している.小山市工業会の役員会などを通じ てお付き合いの中で,依頼を受けた企業テーマである. *1 (関東職業能力開発大学校) 生産機械システム技術科 *2 (関東職業能力開発大学校) 生産電気システム技術科 *3 (関東職業能力開発大学校) 生産電子情報システム技術科 現在 港湾職業能力開発短期大学校横浜校 232

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