応用課程 開発課題20周年史
231 ら追従する機能であり,ロボットと追従対象物が接近 した場合は衝突防止機能が働く.また,ロボット本体 には部品等を50kgfまで積載することが可能である. 追従機能を実現するために,測距センサ(LiDAR)を 採用した.ロボット前方の最も近くにある物体の横幅 を測定し,測定した物体が現在どの方向に存在するか を検知し,その結果から追従を行っている(図13).そ のため,追従対象の動きに応じて,直進,左折,右折,停 止することができ,追従対象が速く動いても 1~2m 間 隔で追従できる. また,直進時には,対象物との距離に応じて,高速モ ード,通常モード,低速モードの3モードを設けた. さらに,追従対象物や障害物との衝突を避けるため, 測距センサから 1m の範囲で物体を検出した際はロボ ットが停止する. 図13 追従方法 3.2.3.3 自走機能 工場内の床面に貼られた磁気テープ上を走行する機 能である(図14).走行経路の磁気テープは上面をN極 とし,磁気センサで検知しながら走行する.磁気テー プの検知には,図15に示すように5つの磁気センサを 用いている.安定した走行を実現するため,磁気テー プの中央を走行するよう制御している.また,停止位 置には,上面を S 極にした磁気テープを走行用磁気テ ープの左右に貼り,その点をアドレスマーカとし,停止 位置が判別できるようにしている.このことで,指定 した位置まで自走することが可能となる. 図14 磁気テープ上を走行するロボット 図15 磁気センサ 3.3 安全対策 自走機能及び追従機能は自動走行となるため,安全 対策として,安全センサ(測距センサ)を装置の前方 下部に取り付け,ロボットと検知対象物との距離が 1m未満の際にロボットが停止する.また,各機能を 使用時に,緊急停止等が行えるよう,ロボットのハン ドル付近に緊急停止スイッチを設置しており,緊急停 止時には電磁ブレーキにより駆動モータをロックさせ ロボットを停止させる.図16に各安全対策の設置個 所を示す. 図16 安全対策 4.性能評価及びまとめ 本開発では,「助力」,「追従」,「自走」機能の3つの 機能を搭載し,タブレット端末(無線)を使用して,作 業者がどの場所からでも操作できる多機能型アシスト ロボットの開発を目指した.企業要望を概ね満たす装 置を完成させることができ,依頼企業様の作業者への 負担軽減等に大きく貢献することができた.開発ロボ ットの性能及び評価を表3に示す. 表3 性能及び評価 5.謝辞 テーマ及び必要資材等の提供,開発に対するアドバ イス等を頂きました依頼企業様に感謝いたします.ま た,完成度の高い装置を製作してくれた15名の学生全 員の頑張りに感謝いたします. 231
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