応用課程 開発課題20周年史

230 3.2.2 駆動部 運搬の際にアシストする場合,駆動モータの駆動力 がタイヤと床面に無駄なく伝わることが必要となる. そのため,図 9 に示すよう,駆動モータの駆動力をタ イヤに効率よく伝達できるようロッド棒とベアリング の構造とし,タイヤと床面が確実に接触するようサス ペンションを設置した.駆動モータは,高トルクであ り,モータ効率やメンテナンス性を考慮し,ブラシレ スDCモータ(左右駆動用として2台)を採用した. 図9 ロボットの足回り 3.2.3 制御部 制御部では「助力」,「追従」,「自走」の 3 つの機能 を実現した. 3.2.3.1 助力機能 重量物が積載された台車にロボットを接続し,作業 者がロボットのハンドルを押したり,引いたりするこ とで,その方向に駆動モータが動作し,作業者をアシ ストする. この助力機能を実現するために,ロボットのハンド ルの2カ所にロードセルを設置した(図10).このロー ドセルにより,作業者のハンドル操作(押し引き)や 力の強弱が検知でき,駆動モータの回転速度や回転方 向を制御しながらロボットの前進・後退時のアシスト を実現している.また,一方を押して,もう一方を引 く操作にも対応でき,左右への旋回時のアシストも実 現した. 図10 ハンドルに設置したロードセル 次に,アシストを実現するための制御方法を示す. 図 11 は作業者によってロードセルにかかる力と駆動 モータの回転数の関係である.作業者が台車を押した 場合,急激な始動を避けるよう,押す力に比例して駆 動モータの回転数を上げる制御とした.また,作業者 が押し始めたことを判断できるよう,ロードセルにか かる力に閾値(1.5kgf)を設定し,その値を超えた場合 に,アシストを開始させる.さらに,作業者の押す力 が最大値(3.0kgf)を超えた場合,駆動モータの回転数 を一定(約2km/h)とし,重量物を搭載した状態で台車 が加速し続けないよう制御している. ロボットを前進・後退させるには,ハンドルの左右 を均等な力で押し引きしなければならなく,また,駆 動モータの回転数を左右それぞれ調整が必要となる. しかし,ハンドルの左右に対して均等に力を加えるこ とは難しいため,ハンドルの左右が同じ方向に押し引 きされている場合は,左右の力の平均値を求め,駆動 モータの回転数を決定することにした.これにより, 前進及び後退時に,直線的に走行することが可能とな った. 最後に,図 12 に助力機能の評価試験の様子を示す. 台車に重量物(1000kgf)を積載し,助力機能を使用し た場合,助力機能無しの約30%の力で押すことができ た(表2). 図11 ロードセルにかかる力と駆動モータの回転数 図12 助力機能の評価試験 表2 助力機能の評価試験結果 測定項目 数値 市販の台車 490[N] アシストなし(開発した台車のみ) 286[N] アシストあり 88[N] 3.2.3.2 追従機能 ロボットと追従対象物との距離を 1~2m で保ちなが 230

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