応用課程 開発課題20周年史
228 多機能型アシストロボットの開発 永野 善己 *1 永松 将貴 *2 浅野 博 *3 1. はじめに 依頼企業では,自動車の製造に必要な部品を作業者 が図 1 に示すように台車を使用して,作業場へ運搬し ている.部品には,重量物があり,台車への積載量が 最大1,000kgfになることがある.また,部品の数量が 多いため,以下のような問題点がある. ・重量部品を搭載することで,重すぎて運搬できない ・部品数量が多く1回で運びきれない ・作業が忙しく,運搬に手が回せない これらの問題点を解決するためには,台車に,重量 物を載せた台車を一人で簡単に押せるように支援する 助力機能,作業者や前の台車に追尾する追従機能,磁 気テープ上を自動で走行する自走機能を有している必 要がある.現状,台車に取り付ける市販のアシスト機 は存在するが,高価であり依頼企業では導入が困難な 状況であった.また,追従及び自走機能を有した装置 は市販されているが 1,000kgf の運搬には対応してお らず,さらに,「助力」,「追従」,「自走」の3つの機能 を有した装置は市販されていない. そこで,「助力」,「追従」,「自走」の3つの機能を有 した多機能型アシストロボットの開発テーマを頂いた. なお,本開発は2019年度の取り組みである. 図1 重量部品を搭載した台車 2. 開発概要及び仕様 表 1 に開発する多機能型アシストロボット(以下, ロボット)の仕様及び依頼企業の要求仕様,並びに開 発目標を示す.また,図2(a)に開発したロボットの外 観を示す.本開発では,作業者への負担軽減を目指し, 重量物を搭載する重量用台車(以下,台車)について も製作することとした(図2(b)). 表1 仕様及び開発目標 (a) 多機能型アシストロボット (b) 台車 図2 装置の外観 3. 装置概要と搭載機能 開発した装置は台車及びロボットで構成される.重 量物を運搬する場合は,重量物を台車に積載し,ロボッ トを接続し作業者をアシストする. 3.1 台車 依頼企業で使用している部品積載用パレットのサイ ズが1200×1200mmであり,このパレットを安心して搭 載できるよう台車のサイズは,最終的には依頼企業と *1 (関東職業能力開発大学校)生産機械システム技術科 *2 (関東職業能力開発大学校)生産電気システム技術科 *3 (関東職業能力開発大学校)生産電子情報システム技術科 228
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