応用課程 開発課題20周年史

躯体は傾斜しているため,柱・梁のどちらとみなしても 満足する様に,両方のルートで計算し断面を決定した.施 工性を考慮し,RC 造部分は 3 つの部材で構成されるよう にした.RC造柱脚部の断面を(表2)に示す. 表1 基礎の断面 表2 主要構造体の断面 RC造柱脚部 S造柱脚部 コンクリート:Fc24 Web:FB-9(SM490) 主筋:9-D19(SD345) Flange:FB-12(SM490) 帯筋:D10@100(SD295A) Band:FB-9(SS400) 4.6 構造体の設計(上部S造部分) 応力解析は,有限要素法による.曲げ応力と座屈につ いて,許容応力度以下となるように断面を決定した(表 2). 部材同士は高力ボルト接合とし,スプライスプレートと M16(S10T)を使用する. 4.7 S造柱脚部のアンカーボルト RC造とS造の接合部分では,断面の一辺の寸法が 400mmに絞られており,かつ,柱鉄筋の納まりを考えるとフ ック付きのアンカーボルトでは納まらないことが判った.そ こで,東京鐵鋼株式会社のネジテツコンとプレートナットを アンカーボルトとして使用することを考案し,検討した.ネ ジテツコン 3-D19(SD390)と一般品 3-M16(SD295A)を併 用することとした.使用に際し,引張試験を行い,所定の性 能を有することを確認した.また,ベースプレートは,SM490, 厚さ 19mm とする. 5. 実施設計・施工図・加工図 構造設計と並行して部分詳細図を作成しながら納まり を検討し,施工図・加工図を作成していった. RC造とS造の複合構造となるため,統一感が得られる ように,電気亜鉛メッキ鋼板を使用して仕上げをおこなうこ ととした. RC造部はLGS(Mバー)をコンクリートに埋設し, ナベ頭タッピングビスによる鋼板を直貼りとした.S 部は T 形鋼のウェブとフランジの頂点を結ぶように,□-50×18 ×1.6 を鉄骨に溶接し,この部材に鋼板を留めつける納ま りとした. 鉄筋加工図,型枠加工図,鉄骨加工図および,各種納ま り詳細図を作成した. 6.施工計画 山止計画図,掘削計画図,水替計画図,外部足場計画図 の他,策定した主要な施工計画を次に示す. 6.1 鉄筋の配筋計画 独立基礎のせいが 600mmあり,GL での位置のずれが 予想されたため,主筋を保持するための鉄骨フレームを 作成した.また,GLから上の部分は,ガス圧接することとし, 基礎部での鉄筋の振れが少なくなるように工夫した. 6.2 コンクリート打設計画 躯体の断面が小さく,鉄筋やセパレータがあることで,コ ンクリートが充填されないことが予想された.そこで,骨材 は豆砂利を用いることとして配合は 30-18-10(N)とし,さら に流動化剤を現場で添加して,スランプ値を 18 ㎝から 21 ㎝に増加させ,コンクリートの流動性を高めた. また,2m以上の高さからの自由落下による材料の分離 を低減するため,中間投入口を設け,コンクリートを打設す ることとした. 6.3 鉄骨の揚重計画 鉄骨部材は 7 ピースに分割して加工したが,頂部での 精度が期待できなかったため,一部の部材を予め地組し て揚重することとした.柱脚部の部材は重量が200kg以上 あり,人力で揚重することができないため,ホイストクレーン 2 台を使用する揚重計画を策定した.躯体が所定の位置・ 角度に納まるよう,重心などを考慮し,事前に実習棟内で 揚重試験を行い検証し,吊り位置を決定した. 6.4 建方計画 躯体の建方は, RC造の頂部から中央に向かって対称 に行う計画とした.1部材を取り付ける毎に,仮ボルトで仮 固定する.所定の位置に部材を納めるため,支保工として 足場からレバーブロックとチェーンを使用して部材をア ーチの外側に引張り緊張する.内側(ウェブ側)には単管 パイプを通し,クランプを用いて振れ止めとする(図7). Mmax=1.15kN・m 図6 長期荷重時M図 220

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