応用課程 開発課題20周年史

関東職業能力開発大学校 第22回 ポリテックビジョン in 栃木 22 階段昇降機能付き車いすの開発 グループ5 生産機械システム技術科 ○増永 正紀 磯崎 成大 藤原 直也 山口 大智 ジョーンズジェシー航希 生産電気システム技術科 松村 和希 高橋 雄也 長澤 拓也 吉原 裕人 森 崇人 生産電子情報システム技術科 荒川 大地 秋山 直樹 岡崎 貴之 寺内 浩平 福島 隼人 1 .はじめに 現在広く普及している車いすは,大きな段差の通過 や階段昇降が困難である.そこで,平地走行に加え階 段昇降も可能にし,日常的に使用できる車いすを開発 することとした.なお,安全を考慮するために介助者 が同伴する前提で開発を進める. 2.開発目標 2.1 装置の開発目標 階段昇降には初段,中段,終段のプロセスがあり, 昇降するための機構がそれぞれ必要となるが,開発期 間の面から今年度は中段の昇降プロセスのみを開発範 囲とした.図1に階段の昇降プロセス,表1に開発目 標を示す.寸法は本校にある車いすを,座面の高さは 市販の階段昇降機能付き車いすを,登坂速度は高齢者 の階段昇降速度 (1) を,最大傾斜角度は一般的な公営住 宅の屋外階段をそれぞれ参考にした. 図1 階段の昇降プロセス 表1 開発目標 項目 目標値 車体 寸法 ( 全長×全幅×全高 ) 1030 × 540 × 875 mm 総重量 200 kgf 以下 座面の高さ 530 mm 以下 登坂速度 6 m/ 分 往復昇降回数 (5 階 ) 1 回 最大傾斜角度 41 度 遠隔監視 通信範囲 ( 通信規格値 ) 7 km 2.2 依頼企業からの要求事項 依頼企業からの要求事項は以下の4つである. ① 安全,安心して乗れること ② 省スペースで移動できること ③ 操作が容易であること ④ 故障しにくいこと 3.装置概要 3.1 全体構成 本開発は,角度が急で幅の狭い公営住宅の階段昇降 及び老々介護を想定しているため高い安全性と安心感 が求められる.そこでクロー ラを使用した登坂方法を採用 した.さらに遠隔地から車い すの現在地・状態を把握する ため LPWA 通信を用いた遠 隔監視機能を搭載した.また 階段昇降中,電源が停止した 場合に滑り落ちないための無 励磁作動形電磁ブレーキを搭 載した.図2に階段昇降時の 図2 階段昇降時の 装置外観を,図3にシステム 装置外観 構成図をそれぞれ示す. 図3 システム構成図 3.2 クローラ部 階段昇降機能付き車いすは,座面の低さが重心位置 の低下につながり,車体の安定感と搭乗者の安心感に 寄与する.そのため本装置は車いすとクローラを一体 化させ,座面の低位置化を実現した.ギア部分はスペ ースや効率,摩耗の点からウォームギアではなく平歯 車を選定した.クローラは市販品に適切なものが見つ からなかったため,省スペース化・低コストを優先し 自作した.ねじ穴付きのタイミングベルトに,穴を開 けた平ベルトを波形に留め,隙間にスポンジを入れて 生産システム技術系 開発課題 22

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