応用課程 開発課題20周年史

仮設資材収納用 S 造構造物の設計施工・施工管理 山之内 隆志 *1 並木亮介 *2 佐々木尭弥 *2 瀧沢拓海 *2 田島優輝 *2 冨永陣太 *2 藤田祐基 *2 1. はじめに 建築施工システム技術科では標準課題及び開発課題 を主とした多くの施工実習(図1)でカリキュラムが構 成され,そのほとんどで足場などの仮設資材が必要不可 欠である.現在,仮設資材は収納スペースの問題から屋 外に平積みの状態で保管されているため,クランプ等の ねじが錆びる(図 2~4)など劣化が進んでいる.また,各 資材の置場が明確になっておらず,仮設資材が整理整頓 できず,奥まった資材を搬出したりする際は不安全な状 況も存在し,改善が必要である.そこで,本開発課題では 仮設資材収納用 S 造構造物(以下資材用構造物と称す) を設計施工し,仮設資材置場の改善に取り組んだ.構造 物は資材の取り出しやすさと強度面及び経済性を考慮 し,鉄骨造(以下S造と称す)とした. S造は商業施設な ど大規模な建築物に多く用いられる主要構造形式であ り,加工図の作成から施工・施工管理までの多くの作業 工程で構成されているため,施工管理技術職に就く学生 にとって施工管理を学習できる有意義な課題であると 考える. 図1 標準課題実習 図2 仮設資材の現状 図3 クランプの錆 図4 ジャッキベースの錆 2. 設計概要 資材用構造物の設計に関して以下の点を考慮した. • 構造形式を S 造とする • 雨天時に資材が濡れないような設計とする • 資材重量の十分な荷重に耐えられる棚等を設ける • 予算の問題から,主要構造材部分に既存の実習用教材 を再利用する. • 上段の資材の出し入れ以外に重機を用いずに資材を 運搬できるよう収納方法及び運搬方法を検討する. 上記設計概要を基にした資材用構造物の構想図を図5に 示す. 図5 構想図 3. 既存実習用教材 1) 筆者らは平成 28 年度に S 造における床や壁仕上げ用 教材(以下 S 造教材と称す)を製作している.S 造教材は主 に鉄骨のボルト接合実習と合成デッキスラブの施工方法さ らには内外壁の仕上げ作業を行うため(図 6)に製作したも のである.しかし,現在建方実習においては図7に示す建 方実習教材を中心に標準課題を展開しているため, S 造 教材使用頻度が比較的低いことと,開発課題のトータル的 な予算を考慮して,S 造教材を部分的に改修して,資材用 構造物を設計施工することとした. 図6 既存のS造教材 図7 既存の建方実習教材 4. 構造設計 構造設計は鉛直荷重算定に固定モーメント法,水平荷 重算定に D 値法を用いて検討した.計算結果から構造 物の規模が小規模であるため,部材断面に生じる応力は 非常に小さく,資材用構造物の部材および各接合部は安 全であると確認できた. *1 関東職業能力開発大学校 建築施工システム技術科 *2 関東職業能力開発大学校 建築施工システム技術科 応用課程 規模・・・3m×2.5m 高さ3.05m 構造形式・・・鉄骨造 214

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