応用課程 開発課題20周年史

205 3.2 開発装置概要 開発した装置の作業工程について,その動作フロ ーを図3に示す.また,その外観を図4に示す. 図3 作業工程の動作フロー 図4 開発した装置の外観 装置は,検査部と加工部の2つに分かれた構造とし た.検査部では,材料の現品票をバーコードリーダで 読み込み,データベースから材料の加工情報を取得す る.この時、カメラによる画像処理により取得した情 報と加工材料の寸法の整合性を確認して,材料と現品 票を照合してヒューマンエラーを防止する.計測した 寸法や面取り量について加工部へデータを転送する. 加工部では,面取りの情報からカッタの切込み量を設 定する.一工程で3辺の面取りを行い,その後に次の 面の加工を行う.この動作を4回繰り返すことにより 自動加工を行う. 3.3 装置各部詳細 3.3.1 検査部 加工材料の寸法を測定するため,上部と側部からカ メラにて測定する.加工材料の画像を取得する際はフ ォーカスを設定して画像を補正し,取得した画像を HSV カラーモデル中の明度に変換して,しきい値を設 けて二値化する.(図5参照) 図5 二値化による画像処理 3.3.2 加工部 面取り加工は,1 工程で 3 辺のエッジを順番に連続 して行う.一工程で3辺の面取りを行う機構について 図6に示す.回転と送りと切込みの3軸を用いた機構 による切削工具を,上面と下面,縦面のエッジの面取 り加工するために3つ用いている.図7に材料のクラ ンプ機構について示す.加工材料は,ターンテーブル上 に配置し,押し板とクロスリンク機構により基準面に 押し当ててチャッキングして加工する.3辺加工後に, 材料をアンクランプしてテーブルを回転させて次の面 を加工する. 図6 切削部の機構 図7 加工材料のクランプ機構 3.3.3 システム構成 制御システムは,PC による検査部と PLC による加工 部から成り,お互いをソケット通信で連携しRS232Cに よるシリアル通信でデータ送受信を行う.加工行程部 の3軸3セットと材料固定部の5軸の計14軸を制御す る構成である. 3.3.4 性能評価と問題点 製作した自動面取り装置は,材料の全エッジの面取 り加工を一連の動作で自動的に行う装置を開発できた. 装置の性能について,成功率は100%としたものの,1 つの材料を加工する時間のタクトタイムは 1170 秒で あり,目標の35%しか達成できなかった.また材料を 上方からの固定がなくチャッキングが不十分で加工部 表面にびびりの発生が見られることや,材料を固定す る基準面が,加工時に刃物と干渉するため基準面を逃 がす必要があり加工精度について問題を残した. 205

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