応用課程 開発課題20周年史

203 1000mmと低くすることができ,安定した走行が可能となっ た. 図11 X リンク式昇降機構(平成29年度) 図12 はしご車昇降機構(平成30年度) 4.4 ケース位置の検出 Kinect の深度センサによって,ケース位置を検出する ことはできた.しかし,Kinect 本体が大きくまた動作範囲 が 500mm 以上離れた距離にあり,装置が大型化してしま うという欠点があった.昇降させることからできるだけ小 型・軽量化を図るため,図13のように押出されたケースを 触覚センサによって直接検出するように変更した.触覚 センサと取出し用ローラとの位置関係は装置によって固 定であるため,触覚センサでケース位置が検出できれば, ピッキング装置の停止位置のズレを吸収し,ケースを取 出すことができる. 図13 触覚センサ及びローラ 5.制御 制御の流れとしては,まず事務所 PC からピッキング装 置に搭載している管理 PC に当日に必要なケース情報を 送信する.管理 PC のデータベースから,ケース位置情 報を押出し装置のマイコンに送信し押出し動作を行なう. 走行部,昇降機構,取出し機構のマイコンへも順次管 理 PC から動作指令を出し,制御を行なう.このように,全 体制御は管理PCで行ない,個別のマイコンにより各部ご との制御を行っている. 6.訓練効果 装置の開発に当たり,専門課程2 年間と応用課程1 年 間で習得した内容を基礎として,4 年間の訓練のまとめと して開発課題実習がある.各科ともに,文献で調査した内 容やブレインストーミングで考えたアイディアを具現化す るために総合的な技術・技能を習得したものと考える.ま た,他科との調整や依頼企業との打合わせなどを介し, 各自の専門分野以外の知識や企業での開発の流れを体 験することができた. 本テーマは卒業生の就職先企業であることから,訓練 の一環としての取組みであることへの理解がある.そのた め,学生の勉強として Kinect の使用や,はしご車機構の 再現,市販に頼らず各種基板を自作することができた.こ のように装置の完成度を求めることによらず,学生の勉強 となるような内容を含めつつ,一定の完成度の装置を製 作することができた.また,卒業生と学生との交流も図れ, 地域企業に対し,即戦力の人材提供という意味において も価値のあるテーマであった. 7.おわりに 企業要望を概ね満たす装置を完成させることが出来 た.昨年度では成し得なかった 2,3段目のピッキングも 可能にし,ねじ機構ではなくワイヤー機構にすることで装 置自体の軽量化,走行の際の安定性を実現した. フィルム管理システムでは,フィルム情報を効率的に管 理できるようなシステムを築くことが出来た.また,事務所 PCだけでなく,タブレット端末による操作も可能としたた め,効率的な管理が可能となった.ヒューマンエラーの削 減に大きく貢献することが出来る装置となった. 謝辞 テーマおよび必要資材等の提供を頂き,また卒業生と して開発に対するアドバイスや指摘などもしていただい た依頼企業様および卒業生に感謝いたします.また,責 任をもった取組みにより,完成度の高い装置を製作してく れた 25名の学生全員の頑張りに感謝いたします. 203

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