応用課程 開発課題20周年史

202 で押出されたケースの位置を測定する.最後に測定した ケース位置に合わせて,取出し用のローラをケースの前 まで移動させてケースを巻き取る. 3.4 ケースの収納 最大 30 枚を一時的に収納する役割を持つ.キャスタを つけて,排出部ごと作業者のもとへケースを運搬する.排 出部にケースを格納する際にもKinectの画像センサを使 用した.図 8 に画像処理で収納場所の穴位置を検出した 画像を示す.画像センサを用いてケースの有無を判断し, その結果を基に端から順番にケースを格納する. 図8 画像センサで判別した画像 4.平成30 年度の取組み 4.1概要 生産機械システム技術科5 名,生産電子情報技術科4 名の計9名のグループ構成であった. 前年度の取組みで一定の成果があったものの,下記 のように問題点が残った. ①ピッキング装置が直線走行のみで,通路内を曲が る・棚との正対動作をするなどができなかった. ②棚の下段のみで,中段および上段への対応ができ なかった. ③Kinect のサイズが大きく,また焦点が約 500mm と長 いため装置が大型化してしまう. これらの問題点を解決し,さらに完成度を高めるため 継続して 2 年目の取組みを行なった.ただし,前年度に 不具合の少なかった押出し部と取出し部は,そのまま利 用した.開発した装置外観を図9 に示す. 図9 装置外観(平成30年度) 4.2走行機構と軌道補正 図3 の実際の工場レイアウトですべての棚に対してピ ッキング動作を行なうためには,直線走行だけでなく旋回 と左右の走行を加える必要がある.また,前年度の取出し の際に問題となった棚との正対動作を行なうこともポイン トの 1つである.操舵部を設けて曲がることも検討した が,通路幅が狭くケースを搬送したまま回転半径をもって 曲がったり,狭い通路内で切り返しによって正対動作をし たりすることは難しい.そのため,オムニホイールを使用 して,その場で旋回できるようにした.また,自走方式とし て,通路上に磁気テープを設置しトレースする方式も検 討した.しかし,磁気テープを正確に設置する手間やレイ アウト変更への対応などを考えた場合には不適な方法で あると考えた.そこで,図10のように 2つの超音波セン サを用いて,壁からの距離を一定に保ちながら走行する ようにした.これにより,磁気テープを設置するという手間 が省ける.また,ピッキング装置と棚を正対させるために も使用することで,ピッキング不良を防止した.指定され た棚の取出し位置の停止場所や旋回場所の確認には磁 気テープを併用した. 図10 棚並走および正対用の超音波センサ 4.3昇降機構 ケースが保管されている棚は 3 段構成で,上段ケース の高さが2200mmである.ピッキング装置は旋回も含めた 走行をするため,この高さに合わせた装置では走行時に 横転する危険性がある.そのため,棚下段のケース取出 し位置を原点とし,棚の中段・上段のケースを取出す場合 は,最大約 1200mm を昇降させる.これにより,走行時の 安全性を保つことにした. 棚下段のケースと取出し部の高さを合わせるには,昇 降部高さは約 130mm 程度で製作する必要がある.その ため,平成29年度は,図11のXリンク式昇降機構を製作 した.昇降に必要となるモータのトルク計算は,簡易計算 を行なったのち機構シミュレーション(図 9)も活用して算 出した.しかし,リンクの初期位置や機械的な損失が想定 よりも大きく,最下段から最上段までの昇降動作はできな かった. 平成 30 年度は,はしご車のはしごを伸縮させる機構を 利用して昇降機構を製作した.図12にモデルを示す.前 年度と同様に簡易計算と機構シミュレーションを利用した. さらに,前年度の反省を生かし,小型モデルを製作して 検証した.その結果,下段から上段までの約 1200mm の 昇降動作が可能となった.また,走行時の装置高さも約 収納場所 図7 深度センサで判別した画像 ケースを認識している 202

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