応用課程 開発課題20周年史
201 け,棚正面からつまんで引き抜くことで行なっている.し かし,棚に保管されているケースは図2のように密に収納 されており,ケース間の距離は約2mmである.人と同じよ うな動作での取出し方法を検討し,簡易実験も行なった. その結果,正面からケースを取出すことは非常に困難で あることがわかった.そのため,学生が依頼企業と交渉し, ケースを押出す装置を棚に設置する案で開発を進めるこ とにし以下の 3つの装置構成とした. ①棚背面に設置するケース押出し部 ②通路を移動するピッキング装置 ③フィルム管理システム 製作した装置を図4 に示す. 図3 工場内棚レイアウト 図4 装置外観(平成29年度) 3.2 ケース押出し部 棚背面に設置してケースを棚から押出し,ピッキング装 置でケースを取出す動作の補助をする.また,ピッキング 装置を使用せず,押出し部と人との協調作業を行なうこと も想定した.人がピッキング作業を行なう際でも,押出し 部単体の動作によって必要なケースを押出すことができ るように開発した.ケースが押出されていることで,ケース を探す手間を省略し,またケースの取り間違いといったヒ ューマンエラーをなくすことができる. 開発した押出し部を図5に示す.棚背面に取り付け,ケ ースを30mm押し出すことでケースの取出しを容易にした. 棚背面へ設置するため,奥行が短くなるような設計や各 種部品選定をした.また,ケース保管用のレール間隔は 個体差が大きく,単純なパルスでの位置決めでは不具合 が発生した.そのため,一定間隔でドグを設置し補正制 御をすることで,レール間隔の個体差が吸収できるように 工夫をした. (a)押出し機構(背面) (b)押出したケース(前面) 図5 押出し部概要 3.3 ピッキング装置 棚からケースを取出し,排出部へ収納する装置である. ケースの取出し機構を図 6 に示す.押出されたケースの 取出しは,2 つのローラで巻き込んで行なう機構を採用し た.ハンドで挟んだり,真空吸着したりするなどの案も出 たが,簡易実験の結果,安定性が最も高かったためであ る. 同時開発している管理システムによりすべてのケー ス位置はデータベース化しているため,ケースの取出 し位置座標の取得は可能である.しかし,取出し実験 を行なった結果,ケースに対して左右方向で±1mm,上 下方向で±5mm 程度の位置決めが必要であることがわ かった.機械的に位置決め精度を向上させたとしても, タイヤと床面とのすべりは不安定であることから停止 位置のばらつきをなくすことは困難である.したがっ て,データベースによる位置決めだけでは精度不足と 判断し,取出し動作時に補正をかける必要があると考 えた. そこで,Kinect の超音波深度センサを使用し,押出 されたケース位置を判別し補正制御を行なう.図7にケー スを判別している画像を示す.押出されたケースとそうで ないケースとの深度の差を計測することでケース位置を 認識し,ピッキング装置との位置関係を算出する. ピッキング装置はデータベースの情報に基づき取出す ケースの前まで移動する.この際の位置決めは簡易的な ものでよいため,機械精度やすべりの発生などは考慮せ ず,パルスモータによる位置決めをする.その後,Kinect 棚① 棚④ 棚⑧ 棚⑫ 棚⑮ 棚② 棚⑤ 棚⑨ 棚⑬ 棚⑯ 棚③ 棚⑥ 棚⑩ 棚⑭ 棚⑰ 空き 棚⑦ 棚⑪ 通路 排出部 ホルダ 取出し部 押出し部 図6 取出し機構 Kinect ローラ カメラ 201
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