応用課程 開発課題20周年史

関東職業能力開発大学校 第 26 回 ポリテックビジョン in 栃木 169 した.その後,3 層の足場を 4 面に設置した.壁につ いては,施工する通りに柱を差し込み,天井クレーン により梁や胴差を吊り上げ施工した.その後,建て入 れ直しを行い,引き寄せ金物等により緊結した.必要 箇所には,筋違を取り付け筋違プレートにより固定し た.全ての壁を立ち上げた後,2 階の床梁を施工し, 羽子板ボルトにより緊結した.2 階床は根太を取り付 け,その上に構造用合板を張り付けた.2 階部は軒桁 高さを腰高程度とした. 3.3. 内装施工 内装仕上げは,木造標準課題で取り組むことを前提 とし,工期を考え乾式工法とした.本開発課題におい ては,様々な内装仕上げ方法を経験する目的で,天井 仕上げ,床仕上げは現木造標準課題で取り組まれてい ない仕上げ材を用いることにした. 最初に,テラス窓と腰窓のアルミサッシを取り付け, 内側にそれぞれ窓枠を収めた.壁下地となる石膏ボー ドを張り付け,継ぎ目やビス頭等をパテで埋め,平滑 になるようサンディングペーパーで研磨した.壁下地 施工が完了した後,野縁と野縁受けを室内の内法高さ が,設計寸法(2100㎜)となるように施工した.壁仕 上げにクロス張りを行い,先付のC型廻り縁を野縁下 端に取り付けた.天井仕上げは9.5㎜の化粧石膏ボー ドとし,施工要領に基づき,ビスで張り付けた.床仕 上げはクッションフロア張りとした.フローリング調 の目地の柄合わせを行い,端部はコーナーカッターを 用いてカットした.クッションフロアの張り付けは, 解体を考慮し両面テープ張りとした. 施工完了後(図2)は,竣工検査を行うため,作成し た施工完了検査チェックシートを用い,チェック項目 に従って検査を行った. 図2 新在来模擬家屋東棟施工完了 4. 施工管理 品質管理について,木材はウッドショックの影響に よりKD材の入手が困難であったことからAD材を使 用した.含水率を確認したところ,一部JAS規格に適 合しない材も含まれていたが,今年度内に解体する模 擬家屋であることから本開発課題では使用した. 原価管理については,グループ 10 に割り当てられ た 320,000 円に対し,木材および構造用合板 180,301 円,金物30,591円,内装材77,571円の,合計288,463 円となり,予算以内で取り組むことができた. 工程管理については,作成したバーチャート工程表 を基に作業を行った.新たに製作した代替基礎におい て,計画の不備に伴う修正を行ったり,部材の加工ミ スによる手戻りが発生したりしたが,想定した期間内 に作業を完了することができた. 安全管理については,作業開始前に,ラジオ体操, 安全朝礼, KY 活動,指差呼称を実施するとともに, 高所作業時は,安全帯,ヘルメットの着用を徹底した 上で,上下作業とならないように声を掛け合うなどし て実習に取り組み,事故やケガなく完了できた. 5. まとめ 本開発課題で計画した新在来模擬家屋を西棟と東棟 の2棟とも施工した場合,今年度の見積額などから, 使用する木材の合計金額を積算したところ,326,711 円と確認できた.この額は,木造標準課題においてか かる木材の費用と同等程度であり,予算額以内で取り 組むことが可能である. 枠組壁工法の模擬家屋と大きく異なる点は,在来軸 組工法の場合,刻みと呼ぶノミやノコギリといった手 工具を使用する作業が必要となることである.部材の 接合部である仕口は精度が要求されるため,学生によ る加工ではどうしても時間を必要するところである. 一方で,同規模の枠組壁工法の模擬家屋と比較すると 部材数は少ないことから,仕上がった部材を仮組し, 予め仕口等の接合に問題が生じないように確認や調整 をしておけば,建方に要する時間は比較的短くするこ とはできる. 本開発課題で,2 階床までの施工を行ったが,スパ ン表を基に梁成を確認したり,通し柱と胴差の取り合 いや,使用する金物の選定をしたりすることにより, 在来軸組工法による2階建ての納まりへの理解を深め ることができた. 6.おわりに 在来軸組工法の木造建築物の施工は専門課程時に取 り組んでいたが,仕様書等を基に,自分達で計画から 施工・施工管理までを通して取り組んだことにより, 木質構造施工における,今までの総括的な課題となっ た.また,標準課題とは異なり,限られた人数で作業 を行うことで,グループメンバー各自が主体的に取り 組む事の大切さを改めて実感した. 参考文献 (1)フラット35対応 木造住宅工事仕様書 2021年版,株式会社井上 書院,2021

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