応用課程 開発課題20周年史
関東職業能力開発大学校 第 26 回 ポリテックビジョン in 栃木 168 在来軸組工法による実習用模擬家屋の計画・施工・施工管理 グループ 10 建築施工システム技術科 〇加藤大虎 石下幹奈 奥澤蓮 宮本恵里花 1. はじめに 関東職業能力開発大学校の建築施工システム技術科 1年時では,木質構造施工・施工管理課題実習(以下, 木造標準課題)において,枠組壁工法によって実習用 模擬家屋の躯体施工を行っている. 本開発課題では,在来軸組工法による新たな実習用 模擬家屋(以下,新在来模擬家屋)を計画,設計し, それらの施工・施工管理まで取り組むことによって, 実習用模擬家屋を在来軸組工法によって取り組んだ場 合の効果や問題点について確認する. 2. 新在来模擬家屋の計画 2.1. 現実習用模擬家屋および他能開大との比較 現木造標準課題は 6 単位で施工実習を行っている. 現実習用模擬家屋は枠組壁工法の建物寸法 8.19m× 2.73m の長屋形式平屋建てとなっており,1 室の床面 積が7.45m 2 の3室構成である. また,他能開大の取り組みも参考にするため,木造 標準課題を取り組んでいる他能開大(北海道,東北, 近畿,九州)における実習用模擬家屋の確認を行った. 表1に示す通り,他能開大においては,実習用模擬家 屋はいずれも在来軸組工法で,総2階建てもしくは平 屋建て 2 棟であった.これらの点を踏まえ,新在来模 擬家屋の規模等を検討した. 表1 各能開大の実習用模擬家屋概要 能開大 単位 工法 階 数 棟 数 建築物寸法 (m) 施工面積 (m 2 ) 関 東 6 枠組壁 1 1 2.73×8.19 22.36 北海道 14 在来軸組 2 1 3.64×4.55 33.12 東 北 14 在来軸組 1 2 3.64×3.64 26.50 近 畿 14 在来軸組 2 1 3.64×4.55 33.12 九 州 14 在来軸組 1 2 2.73×3.64 19.87 2.2. 新在来模擬家屋の検討 他能開大では,2 階建てに取り組んでいる例もみら れるが,単位数の少ない本校で実施するには,工期上 また,安全上において問題が少なからず生じる.一方で, 平屋建てとした場合は,木造戸建て住宅で一般的な 2 階建ての納まりを習得することが難しい.そこで,2階 建て部分の 1 階部分と,2 階部分に分けて 2 棟とする 計画とした.この計画の場合,実際に施工したものが2 階建てとはならないが,最高高さを低く抑えることが できるメリットがある.なお,施工規模は現実習用模擬 家屋と同等程度を目安に検討を行った. 構造の安定に関しては,新在来模擬家屋が建築基準 法第6条第1項第4号に規定される建築物に相当する ことから,1 棟の 2 階建てと想定して,壁量計算によ り確認した.その結果,X軸方向,Y軸方向ともに, 必要壁量よりも存在壁量が多いことが確認できた. 2.3. 施工計画について 2階建て建築物を2棟分割とした新在来模擬家屋は, GLから 2 階床までを想定した東棟と,2 階床から小 屋組みまでを想定した西棟とした.このうち,グルー プ10(4名)の開発課題として取り組むにあたって, 人員および,工期,費用の面から開発課題として施工 する範囲を検討し,2 棟のうち 1 棟を実際に施工する こととした.施工する棟は,独自性が高く,小屋組は ないものの2階建ての納まりについて取り組むことが できる東棟(図1)とした. 図1 新在来模擬家屋東棟 平面図・立面図 3. 新在来模擬家屋東棟の施工 3.1. 施工場所および代替基礎について 躯体施工は【フラット35】対応木造住宅工事仕様書 2021年版 (1) (以下,仕様書)に準拠し行った.また施 工場所は,現木造標準課題と同様に13号棟内とした. 現実習用模擬家屋で使用されている代替基礎は,床 面と部材緊結の際に部材の穴ずれが生じ易く,施工性 の問題につながっていた.そこで,本開発課題では, 実習場床面と固定する全ネジボルトと,実習用模擬家 屋と代替基礎を固定するアンカーボルトに見立てた全 ネジボルトの2つに分けた2層構造の代替基礎を新た に製作し,穴ずれを防ぐことにした. 3.2. 躯体施工 軸組に使用する木材は,受入検査および品質検査を 行った後,仕口の刻み作業を行った.各部材を加工し た後,加工した仕口に問題ないか確認するため,仮組 を行い,建方時に手戻りが生じないように努めた. 建方は土台を施工した後,根太レス工法で床を施工 居住・建築システム技術系 開発課題
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