応用課程 開発課題20周年史
関東職業能力開発大学校 第 26 回 ポリテックビジョン in 栃木 162 木質構造建築物の施工・施工管理及び性能評価の実践 ~その 1 施工・施工管理について~ グループ 7 建築施工システム技術科 ○上野瑛滋 ○谷口綾 岩永拓海 小川将暉 杉本耀 1 .はじめに 日本は,地震大国と呼ばれるほど地震が頻繁に起き ており,平成28年の熊本地震では約21万棟に及ぶ家 屋に被害が及んでいる.実際の住宅の着工数は平屋建 てよりも2階建ての住宅が多いが,建物重量が重くな る分2階建ての1階部分は地震による被害が大きくな る.これまでの開発課題では耐力壁の位置や種類の違 いに注目した耐震性能試験を行っているため,平屋建 ての建物を対象に試験を行ってきた. 今回,私たちは実験の対象物として2階建ての建物 を計画・施工し,2 階建ての建物が出来上がっていく 中でどのように建物の強さが変化していくか振動試験 を行い評価していくこととした. 本開発課題では,木造住宅の施工・施工管理を通じ た施工技術と施工管理に関する知識の向上,さらに振 動試験を通じて耐震性能についての理解を深めること とで耐震性能についての知識を持った現場管理者を目 指すことを目的とする. また建物の規模,予算を考慮し G7,G8 の 2 班合同 で開発課題を行っていくこととした. 2 .建物概要 今回私たちは,以前標準課題で使用していた視聴覚 教室近くの土間コンクリート部分に在来軸組工法,木 造二階建ての建物を施工した(写真 1 , 2 ). 大きさは桁行方向 4.55 m,梁間方向 2.73 m,最高高 さ 5.33 mである. 1 階階高を 2.5 m, 2 階階高を 1.49 mとすることで通し柱に 4 mの木材を有効活用した. 水平剛性を負担する耐力壁について,桁行方向には 30 mm× 90 mmの片筋かいを隅角部に各 2 箇所の計 4 本,梁間方向には同形状の筋かいをたすき掛けで隅角 部に各 2 箇所の計 8 本設置した.また,耐震要素を耐 力壁や間柱に限定して偏心させるため,階段を施工し ないものとした. 建物の各下地,仕上げを表 1 に示す.新型コロナウ イルスの影響で授業時間が少なくなったことを考慮し 1 階の内装仕上げを,予算を考慮し実験の結果に影響 を及ぼさない 2 階の内装(下地・仕上げ)施工を省略 することとした. 3 .施工管理について 3.1. 施工管理のポイント 施工管理をするうえで, 4 大管理である「 QCDS 」 が特に重要なってくる.それぞれ以下のポイントに重 点を置き施工管理を行った. Q (品質管理)・・・応用課題で作成した施工管理 シートを元に,管理ポイント,撮影ポイント,材 料検査をチェックシート形式で管理することで, 木造住宅の品質管理について理解を深めること. C (原価管理)・・・建物全体のコストを把握した 後,本開発課題の目的から不要と判断した部分に ついて削除する等調整をしながら決められた予 算に収めること.また,本校にある不要となった 木材も使用し有効活用すること. D (工程管理)・・・事前に工程表を作成し,実際 の工期と比較し相違点をまとめることで,工程表 作成の技術向上を図ること. S (安全管理)・・・今まで標準課題で行ってきた 安全管理をよりしっかり行い,安全管理に関する 知識を定着させること. 3.2. 施工管理 各工程で実際に注意した主な施工管理ポイントを表 2 に示す.応用課題で作成した施工管理シートを用い, 図面通りに工事が進んでいるか確認し,施工写真を撮 影しながら木造住宅の品質管理を行った. 部位 下地・仕上げ 基礎 べた基礎 内壁 石こうボード下地( 1 階のみ) ビニールクロス仕上げ(施工なし) 床 構造用合板 24 mm下地 クッションフロア仕上げ(施工なし) 天井 石こうボード下地( 1 階のみ) ビニールクロス仕上げ(施工なし) 外壁 焼杉板仕上げ 屋根 ガルバリウム鋼板仕上げ 表 1 下地・仕上げ表 居住・建築システム技術系 開発課題 写真 1 建物の外観 写真 2 建物の内観
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