応用課程 開発課題20周年史

関東職業能力開発大学校 第 26 回 ポリテックビジョン in 栃木 160 提案型耐力壁の構造実験 グループ 6 建築施工システム技術科 〇金澤恭輔 阿久津拓実 小笠原輝人 銀山達也 佐藤智 髙橋良人 1.テーマ背景・目的 近年では,地球環境の保全や地域再生の観点からも 木材資源の活用が求められ,住宅はもちろん非住宅の 中大規模建築物の木造化が推進され,技術開発が盛ん に行われている.構造面での技術開発は耐力壁の性能 評価が重要となる.そこで,本課題では企業からの要求 性能を満たす耐力壁の開発のため,実用化に向けた許 容せん断力を求める壁せん断試験を実施し,要求性能 を満たす3種類の耐力壁の開発を行った. 2.試験体概要 本課題で取り組んだ試験体は 3 種類で,すべて企業 提案の耐力壁である.斜め格子材を筋違いに用いた A,B 試験体は中大規模建築物に用いるための高耐力の 耐力壁である.C 試験体は高気密,高断熱の低層住宅用 に用いることを想定した耐力壁である. ・ A 試験体(図 1 ) A 試験体は斜め格子材内にハンマーナットを設置 し ,M12 のボルトを用いて柱の外側から丸座金で固定 した仕様であり , 要求壁倍率は 7 倍以上である . 図 1 .A試験体斜め格子壁 ハンマーナット接合 ・ B 試験体(図 2 ) B 試験体は図 2 のように斜め格子材にホゾパイプを 挿入し , 柱と直行方向に M12 のボルトを用いて柱の外 側から丸座金で固定した仕様であり , 要求壁倍率は 5 倍以上である . 図 2 .B試験体斜め格子壁 ホゾパイプ接合 ・ C 試験体(図 3 ) C 試験体は床に 200mm の断熱層を設置できる設計 となっている . また , 貫と筋違いの併用型で粘り強い耐 力壁を目指した仕様である . 耐震等級 3 以上の設計に 有効活用できるように要求壁倍率は 5 倍以上である . 図 3 .C試験体通し貫・足固めとタスキ筋違い 3.試験方法及び評価方法 A 試験体は柱に大きな引き抜き力が生じるため , タ イロッド式 1) とした .B,C 試験体は柱脚固定式 1) とした . 試験体はばらつきを考慮して 3 体ずつ実施した . 評価方法は完全弾塑性モデル 1) を使用した . 4.本試験結果 ・ A 試験体 A~C 試験体の主な特徴点での荷重,変位等を表 1 に 示す A 試験体の最大荷重は平均して約 70 k N となっ た.1,2 体目は最大荷重に対して 8 割低下は生じ ず, 1/15rad まで加力し,試験終了となった.試験体の 損傷として,斜め格子材の大入れが完全に抜けてしま い(図 4),柱とボルトを固定している丸座金が柱にめ り込んだ(図5).3体目は 1/18rad で最大荷重に対して 荷重が8割まで低下した.この要因は,図6に示すよう に斜め格子材の相欠き部分が回転方向の力を受け,破 断したためである(図 7).破断の原因は使用した材料 が乾燥収縮によりき裂が生じていたことと,斜め格子 材の相欠き部分に節があったことなどが考えられる. 図 4 .大入れ抜け 図 5 .座金めり込み 居住・建築システム技術系 開発課題 160

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