応用課程 開発課題20周年史

関東職業能力開発大学校 第25回 ポリテックビジョン in 栃木 155 ③地盤との共振評価 常時微動試験によって地盤の共振周波数を求める. 常時微動試験によって得られた共振周波数により建築 物と地盤とに共振の現象が発生するか判断する. 3.2 研究結果 評価モデルの性能評価は 2.2 で示した諸要素につい て行う.また,再現性のある評価モデルの判断として, データ解析によるグラフと評価モデルの性能評価の結 果を用いる.以上の二つが,動的耐震診断の性能評価 において有効であると評価した場合,この評価モデル は再現性のある評価モデルであると判断した. ① 耐震剛性評価 応答加速度から応答変位を算出し,変位 - 周波数グラ フを作成した.(図 5 参照)変位の大きい箇所がその モデルの共振周波数である.また,グラフの高い箇所 と PSD 解析による共振周波数が一致したため,整合 性があると判断した.以上のことから共振周波数によ る耐震剛性評価の再現性があると判断した. ② 耐震安全性評価 応答加速度から応答変位を計算し,損傷限界 ( 1/120rad )を達するための必要加速度を推定した. また,その必要加速度の推定値の程度を客観的に判断 するため,震度 7 相当の地震加速度と比較した.(図 6 参照)以上から損傷限界を達する必要加速度から地震 動に対する耐震安全性能の再現性があると判断した. ③ 減衰評価 強制振動後のグラフはどちらとも下降の傾向が見ら れ,また,減衰定数はどちらも1以下である.(図 7 参照)このことからこの評価モデルでは減衰の現象が 発生しており,減衰試験における減衰評価の再現性が あると判断した. ④地盤との共振評価 常時微動測定により計測した地盤の共振周波数と評 価モデルの共振周波数は大きく違っていたため,地盤 と評価モデルでは共振の現象は発生しないと判断した. 以上の諸要素による判断状況から,我々が開発した 評価モデルは,動的耐震診断による評価の再現が可能 であることを確認した. 4.評価モデルを利用した研究成果 評価モデルの製作や開発した評価モデルを利用し, 次の応用課題に発展させ動的耐震診断の理解を深めた. 4.1 評価モデルを利用した施工管理の実践 評価モデルの設計,施工計画,施工(加工および組 み立て),評価試験及びその評価を通じて,施工及び施 工管理の実践を行った.また,仕様や参考書などへの 理解を深めることにより我々の施工管理技術の向上を 目指すとともに,評価モデルの品質の確保を図れた. 4.2 動的耐震診断を利用した諸因子の解析 静的耐震診断を行う上で耐震性の評価にかかわる 諸因子が,実際の建築物において規定通りの効力を発 揮しているか,そしてどのような影響を及ぼすかを評 価モデルに反映させる.動的耐震診断によりその評価 を行い,諸因子によるモデルへの影響が確認できた. 5.まとめ 本開発課題において,振動試験による各種の性能評 価の結果から我々が開発した評価モデルは,実務にお ける動的耐震診断と同様な耐震評価が十分可能な評価 モデルであることを確認した. 今後は,評価モデルのスパン長さや階数など,今回 再現できなかった条件によって耐震性能にどのような 影響を与えるかを確認する必要があると考える. 参考文献 永澤他 3 名, 2020.2 ,振動実験モデルの開発,関東能開 大,開発課題予稿集 図5 応答変位及び共振周波数の測定結果 図6 損傷限界時の想定加速度の比較 図 7減衰性状の測定結果 h= 0.55 h= 0.85 骨組モデル 合板モデル

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