応用課程 開発課題20周年史

関東職業能力開発大学校 第25回 ポリテックビジョン in 栃木 154 動的耐震診断評価モデルの開発 - 振動解析の評価と動的耐震診断の再現 - グループ 8 建築施工システム技術科 大野 尚樹 鈴木 和 住谷 祥大 遠山 幸 ○富田 貴大 野口 幹太 橋本 清 1 . 研究目的 耐震診断とは,既存の建築物が旧耐震基準で設計さ れ,耐震性能を保有していない建築物を,現行の構造 基準(新耐震基準)で耐震性の有無を確認することで ある.また,新耐震基準で建てられた建築物において も,劣化等が懸念される場合は耐震診断をすることも 必要である.木質構造物を対象とした一般的な耐震診 断は,予備調査により,建築物の概要や使用履歴,増 改築歴,経年劣化および設計図書の有無等の内容を確 認し,保有する耐力から耐震診断のレベルを判断する ものである.(以下,静的耐震診断と称す)それとは別 に,木造住宅の重心位置に起振機を設置し,微細な振 動を与えることによって総合的な耐震性能を評価する 耐震診断法がある.(以下,動的耐震診断と称す) 本開発課題では評価モデルの開発を目的とし,また 以下の二つを目標に定め,開発課題に取り組む. ①動的耐震診断の診断法及び評価方法を習得する . ②開発に伴い施工及び施工管理技術の確認する . 2.動的耐震診断について 2.1 動的耐震診断の手法 動的耐震診断では,起振機を建築物の二階の重心位 置に設置して微細な振動(約 50gal 程度)を発生させ 揺らす.この建築物の揺れの大きさ(応答加速度)を 計測して,建築物が地震に対してどの程度の安全性を 有しているかを判定し,どの程度の揺れ(加速度)に 耐えられる建築物かを推定する診断法である. 2.2 動的耐震診断の評価 ①応答加速度から求まる共振周波数の大きさから,ま た強制振動後の揺れの治まりを計測することにより, 減衰定数を算出する.どちらも耐震剛性を評価する. ②建築物の共振周波数における応答加速度から建築物 の層間変形量の計算を行う.最大層間変形角とそれか ら推定される建物の損傷度の関係から地震動に対する 安全性を評価する. ③常時微動測定などによる地盤調査によって地盤の共 振周波数(卓越周期の逆数)を測定する.これにより 地盤の種類や硬さを判定するだけでなく,建築物との 共振現象のしにくさを判定することができる. 以上の諸要素の評価を行うことで,その建築物が地 震にどの程度耐え得るかを判断することができる. 3.研究内容 3.1 試験方法 評価モデルに動的耐震診断に準じた試験を行い,試 験データの解析によりこの評価モデルの性能評価を行 う.なお,本稿では評価モデルの骨組みの状態と合板 を取り付けた状態(以下それぞれ,骨組モデルと合板 モデルと称す)の施工状態の違う二つについて行う. 3.1.1 耐震剛性評価 ①共振周波数による剛性評価 掃引試験(スイープ試験)から PSD 解析を行い評 価モデルの共振周波数を求める.共振周波数から耐震 剛性の評価を行う. また,評価モデルに変位計を取り付け,変形量を直 接測定する.応答加速度から算出した計算値と実測値 を比較することで計算値の整合性を図った. 3.1.2 耐震安全性評価 ①損傷度評価 応答加速度から応答変位を計算し,損傷限界 ( 1/120rad )を達する為の必要加速度を推定する. 損傷限界( 1/120rad )を達する必要加速度に応じて その建築物の倒壊の危険性の判断を行い,地震動に対 する安全性を評価する. ②減衰評価 減衰グラフを作成し減衰の現象を確認する. 居住・建築システム技術系 開発課題 図1 骨組モデル 図4 試験 風景 図2 合板モデル 図3 機器等の設置状況

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