応用課程 開発課題20周年史

関東職業能力開発大学校 第25回 ポリテックビジョン in 栃木 153 ために,長手方向に一次小梁を架構する設計とした.そ の結果,図 8 に示すような枠組み足場を用いた建方も 可能となった.今回は4つの独立した棚足場を設置し, 施工を行った.枠組み足場により,施工時の作業性,安 全性が大きく向上した. 図7 旧内部足場 図8 新内部足場 8.建方 8.1 揚重計画 今回の課題の最重量部材は0.2tとなり,実習場の天 井クレーンで十分揚重出来る.しかし,柱を吊る際は立 てた状態で吊る必要がある.柱の長さと天井クレーン の吊代を考慮すると,足場を乗り越えての柱搬入は出 来ない.そのため,西,南,北側の足場を先に設置し,東 側は柱の搬入口として柱の建方を行った.その際,北側 の足場が不安定となるため補強材で補強した(図9). また,その他の安全対策として,柱は西側2本から建 てることで,後から搬入する部材の妨げにないよう計 画した.さらに搬入した部材が転倒しないよう,柱と梁 がL字型になるよう架構して,部材を安定させた.建方 手順を図10に示す. 図9 建方手順 図10 柱 転倒防止 8.2 事前準備 建方では,高所で行う作業を極力減らすことが重要 である.そのため,ストックヤードにて事前に柱,梁に 必要な資材をあらかじめ取り付けて揚重した(図 11,12). 図11 柱 取付資材 図12 梁 取付資材 8.3 仮ボルト・高力ボルト接合について 建てた柱及び梁は仮ボルトにより固定した後,建入 れ直し,高力ボルト差し替え,1次締め,マーキング,本 締めの順序で施工を行った.仮ボルトは,一群に対し 1/3 程度かつ 2 本以上をウェブとフランジに均等に配 置し締付けた.また,高力ボルト接合を行う前に軸力導 入試験を行った.軸力導入試験の結果,十分な軸力が得 られていた.高力ボルトの本締めが完了後,ボルトの全 数検査(図 13,14)を行った.検査の結果,共回りと回転 不足が数カ所見られた.施工不良となる全てのボルト をシャーランナーで取り外し,再度高力ボルトの施工 を行った. 図13 大梁フランジ 図14 大梁ウェブ 9.まとめ 今回製作した課題により,当初目標としていた繰返 し使用による劣化部材の交換,基礎部の新規作成,ボル ト接合部のクリアランス不足といった,全ての問題が 解消され,施工性も大幅に改善された.仮設計画に関し てもさまざまな方法で学生が計画出来る課題(図 15) となったと考える.しかし,施工計画の多様性を優先し たため,梁部材が長くなり,荷重に対してあまり余裕の ない設計の梁断面となってしまった.また,部材の収納 性の改善も検討したが,以前の課題に比べ足場等を使 用せず,収納出来るものの,実習場を占有するスペース を小さくすることは出来なかった. 今回の課題に取り組んだことで,施工管理に関する 知識及び技術を身に着けることが出来た.製作した課 題が鉄骨造標準課題に取り組む学生の施工管理習得に 役立つことを期待したい. 図15 完成図 参考文献 1)社団法人建築業協会・社団法人日本建築構造技術者 協会,鉄骨工事現場施工計画書の作成マニュア ル,2006年 2)社団法人日本建築学会,鉄骨精度測定指針,2011年 3)社団法人日本建築学会,鉄骨工事技術指針・工事現場 施工編,2012年

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