応用課程 開発課題20周年史

関東職業能力開発大学校 第25回 ポリテックビジョン in 栃木 151 レッドシダーとヒノキを混合して用いた. 施工は,柱受や沓石上端のレベルを測定した後,必要 な長さに木材を加工し,はっ水効果や耐朽性を向上させ るため塗装した.枠組足場を設置した後,柱受に下屋を 支える柱を立て,ほぞおよび金物で桁と梁を架け渡し, 方杖をボルトによって固定した.設置した桁に垂木を 2 寸勾配で掛け,垂木にポリカ波板を取り付けるための受 材を取り付けた.ポリカ波板は施工説明書に則り5つ山 おきに波板取付けビスで固定した.また,軒先部に軒樋 を取り付けた.以上で高所作業は完了したため,枠組足 場を解体した. ウッドデッキ部は,内側となる束は屋外用として用い ることが出来るプラ束を用いた.プラ束は専用の接着剤 を用いて底盤コンクリートに接着し,アジャスター機能 を用いて必要な高さに整えた.根太をプラ束の天端にビ スで固定し,その上にデッキ床板を敷き,ウッドデッキ 2段目の両側にはフェンスを設けた.なお,これらはウッ ドデッキ用皿取錐で下穴を開け,デッキ用ビスやステン レスビスを用いて施工した. 3.3.内装施工 表1で示した仕様の断熱材を,外壁および界壁の枠組 間に隙間なく充填した後,壁下地として 12.5 ㎜厚の石 こうボードを小屋裏まで張った.この際,素線温度セン サーなどのケーブルがあるので,それらが取り付けられ ている部分は配線用の穴を開け施工した.その後,天井 を取り付けるため,両室ともに野縁を組み,野縁上に断 熱材を敷き詰めた.野縁下端には防湿シートと天井下地 となる 12.5 ㎜厚の石こうボードを張り継ぎ目やビス頭 にパテを充填し研磨した. 洋室としたA室は,天井および壁を無地クロスにより 仕上げ,床は 12 ㎜厚の複合フローリングボード仕上げ とした.最後に廻縁と巾木を納めた. 和室としたB室は,天井に化粧合板の目透かし天井材 を張った.床に畳寄せ,壁の四隅に付け柱を取り付け, 天井と壁の取り合いに廻縁を納めた.壁の仕上げは,珪 藻土を 3 ㎜程度の厚さにコテで塗った.また,床には, 専門業者に依頼した40㎜厚の畳を敷いた. 3.4.電気配線 各室において住宅気密測定器などの環境測定機器が 使用できるよう,両室それぞれに三個口15Aの家庭用コ ンセントを設けた.コンセントを取り付けるスイッチ ボックス内側には,防気カバーを付け,気密性を下げな いようにした.電源は仮設電柱から埋設したFEP管の中 に2線のVVFケーブルを屋外模擬家屋内に通して室内の 家庭用分電盤に接続し,そこから両室のコンセントへ配 線した.なお,これら作業の内,電気工事にあたる部分 は,資格が必要なため,電気エネルギー制御科の高木先 生にご協力いただいた. 4.施工管理 品質については,底盤に打設したコンクリートは圧縮 強度試験を行い4週強度呼び強度を上回ることを確認し た.木材に関しては数および寸法の確認の他,ヤング係 数の測定,含水率の測定を受入れ検査として行い,使用 に関して問題ないことを確認した上で用いた.また,下 屋スペースは表しの状態となるため,仕上がりの見た目 にも配慮し,施工を行った. 原価については,表3の材料費を要した.本開発課題 で用いたレッドシダーは,スギ材と比較して約5倍程度 の価格となるが,使用場所に応じて比較的安価なヒノキ 材を混合して用い,コストを下げた. 工程については,バーチャート工程表を作成した.施 工ミスにより遅れは生じたが,計画した期間内に,環境 測定スペースを完成させることができた(図1). 安全については,ラジオ体操,安全朝礼,KY活動,指 差呼称を行ってから実習に取り組み,事故やケガがなく 取り組むことができた. 表3 使用材料費内訳 施工場所 材料費(円) 下屋・ウッドデッキ(底盤含む) 341,937 内装下地および仕上げ 158,594 合 計 500,531 図1 環境測定スペース竣工写真(外観) 5.おわりに 並行して取り組んでいる応用課題において温湿度測定 や気密測定の予備実験を行い,環境測定スペースにおけ る環境測定結果の傾向を確認した.今後,本開発課題で 施工した環境測定スペースが幅広く活用されれば幸いで ある. 参考文献 (1)ボックス形木造模擬家屋の施工・施工管理 -環境測定スペースの基盤 として-,関東職業能力開発大学校 建築施工システム技術科 グルー プ8,(2019) (2)(一社)日本サスティナブル建築協会,資料 省エネルギー基準計 算支援プログラム ,http://www.jsbc.or.jp/index.html 151

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