応用課程 開発課題20周年史
関東職業能力開発大学校 第25回 ポリテックビジョン in 栃木 150 屋外模擬家屋における環境測定スペースの施工・施工管理 グループ6 建築施工システム技術科 ○齋 大翔 東江 健成 本村 優人 松本 颯 丸山 純平 御子貝 蓮 1.はじめに 本開発課題では,2019年度建築施工システム技術科の 開発課題「ボックス形木造模擬家屋の施工・施工管理」 (1) で施工した屋外模擬家屋を,環境測定スペースとして完 成させる.屋外模擬家屋は比較して環境測定を行うこと ができるように2室に分かれて施工されていることから, 各々異なった内装施工を行う.また,雨天時の配慮や, 出入りの利便性向上のため,出入り口部に下屋スペース を新たに施工する. 2.施工計画概要 2.1.内装計画概要 屋外模擬家屋は,東西で 2 室(東側を A 室,西側を B 室と呼称する.)に分かれている.今回のテーマは,模擬 家屋の室内環境測定であるため,A 室と B 室をそれぞれ 異なる仕上げ材や断熱材を用い,意図的に断熱性能に差 をつけて施工した. A 室および B 室の内装仕上げについては,日本の住宅 において一般的にみられ,温湿度環境の違いについて興 味を持ちやすい洋室(A室)と和室(B室)の仕上げにす ることにした.それぞれの部屋は,外壁側と天井に異な る性能と厚みの断熱材を充填した.界壁は床から屋根裏 まで両側面に断熱材を充填し,更に石こうボードで張り 上げて仕切り,互いの部屋の熱の影響を受けにくいよう にした.なお,A室,B室で使用した断熱材は表1の通り である. 表1 A・B室断熱材 使用箇所 グラスウール仕様 厚さ 東側A室 (洋室) 天井・壁 HG16-38 89㎜ 床 ⅰ HG24-36 80㎜ 界壁(両面) HG10-43 50㎜ 西側B室 (和室) 天井・壁 HG10-43 65㎜ 床 ⅰ HG24-36 80㎜ ⅰ 2019年開発課題で施工済 2.2.断熱性能の確認 屋外模擬家屋全体の断熱性能を,一般社団法人日本サ スティナブル建築協会のウェブサイトで公開されている 評価プログラム「部位の熱貫流率(U値)計算シート」 と「【木造戸建住宅版】外皮性能計算シート」 (2) を用いて 算出した.外皮平均熱貫流率(U A )は0.79[W /(m 2 ・K) ], 冷房期の平均日射熱取得率(η AC )は 1.6 と「建築物の エネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ 法)」により定められた栃木県小山市(5地域)の基準値 以下となり,断熱性能基準を満たしていることを確認し た. なお,A 室と B 室の正確な断熱性能を算定することは できないが,界壁部を外壁と仮定してU A とη AC の値をA 室とB室ごとに算出したところ,表2の結果となった.B 室は断熱材の性能を低くし,厚さをA室より薄くしたこ とにより,U A 値が0.1,η AC 値が0.2 高い値となった. 表2 断熱性能一覧 断熱領域 外皮平均熱貫流率 U A [W/(m 2 ・K)] 冷房期平均日射取得率 η AC [-] 5地域基準値 0.87 3.0 模擬家屋全体 0.79 1.6 A室(洋室) 0.66 ⅱ 1.3 ⅱ B室(和室) 0.76 ⅱ 1.5 ⅱ ⅱ 値は界壁部を外壁と仮定し算定した参考値 2.3.下屋スペース計画概要 既存木造模擬家屋は出入り口の部分に簡易的なウッド デッキが配置されている.しかし,屋根などは設置され ていないため,雨を防ぐことができない.また,住宅気 密測定器の送風機など大型の機器を仮置きするスペース がないなどの問題があった.そこで,新たに出入り口前 に独立型の下屋スペースを設ける.ウッドデッキはス ペースを広く拡大し,更にフェンスなどを設け,利用す る際の利便性や安全性の向上を図った. 3.施工作業 3.1.底盤施工 底盤コンクリートを打設する場所の根切りなど整地作 業を行い,型枠を設置した.この際,膨張ひび割れを抑制 するため既存コンクリート面に目地板を取り付けて縁切 りした.次にワイヤーメッシュを敷き,呼び強度24N/mm 2 コンクリートを打設した.打設の際に受け入れ検査を実 施し,スランプ試験,空気量のともに適正であることを 確認した. コンクリート打設後脱型し,柱設置部にステンレス製 柱受を,側面の束設置部に沓石を設置した.次にモルタ ル打設用の型枠を設置し,既存底盤コンクリートの面に 付着強化剤を塗布した.その後,増し打ちモルタルを打 設し,コテで均して仕上げた. 3.2.下屋スペース施工 使用する木材は屋外での耐候性や耐朽性に強いとされ, ウッドデッキ用部材として用いられているウエスタン 居住・建築システム技術系 開発課題 150
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