応用課程 開発課題20周年史

関東職業能力開発大学校 第22回 ポリテックビジョン in 栃木 15 3.2 駆動部 本装置は前後左右に直角移動させるため,オムニホ イールを採用した.誘導方法は RFID タグを工場内の 床面に貼り,そのタグにパレットの位置情報を記憶さ せることで装置をパレットまで誘導させる.また,タ グを格子状に貼り,一つ一つに座標を記憶させること で,パレットまでの搬送経路を自由に変更することも 可能である. 工場内の床面の凹凸などがあり,搬送経路から外れ る恐れがある.そのため,磁気センサを用いた姿勢制 御を取り入れた.さらに安全を考慮して,本装置の 10 か所に超音波センサを設置し,走行中に人や障害物を 検知した場合,直ちに走行を停止する仕組みとなって いる.図5に駆動部を示す. 図5 駆動部 3.3 電源部 走行範囲が広いため,装置のコードレス化を目指し, 装置の電源には鉛バッテリを採用した.また,長時間 の稼働に伴い定期的な充電が必要となるため,充電の 自動化を実現した.さらに,バッテリの電圧・電流・ 温度を常に監視し,バッテリ異常時には装置の運転を 停止させ,タブレットに異常を知らせる機能も備えて いる. 3.4 制御部 本装置は,無線 LAN を使用してタブレット,デー タベースと通信を行う.制御部はタブレットからの指 令をもとに「走行制御」,「昇降制御」,「ピッキング制 御」を行う.また,データベースには各指令履歴を残 すことができる. 3.5 管理・充電部 本装置は持ち運びのしやすいタブレットで操作を行 い,メルシート材の各種情報をデータベースで管理す る.タブレットでは, QR コードによるメルシート材 保管場所の登録,在庫確認,バッテリ情報の確認,及 び手動運転によるコントロールが可能である.また, 管理画面上で必要なメルシート材を選び,装置にピッ キング指令を出すことができる.図6にタブレットの 管理画面を示す. 充電スポットは装置の待機位置に設置し,装置待機 時には常に充電を行う.バッテリ残量が 20 %以下の場 合は,ピッキング指令を受けても,装置は待機位置を 離れず充電を続ける.図7に充電スポットを示す. 図6 タブレットの管理画面 図7 充電スポット 4.性能評価 表2に性能評価を示す. 表2 性能評価 項目 開発目標 結果 寸法 W×D×H 3000×3000×2000 mm 以内 達成 ピッキング可能重量 40㎏f 調整後確認 稼働時間 8時間 調整後確認 昇降機能 折り畳み可能 達成 誘導方法 搬送経路を変更可能 達成(デモ機) 成功率 100% 調整後確認 タクトタイム 120秒 調整後確認 5.開発費用 表3に開発費用を示す. ( ただし, A 社の備品を除く ) 表3 開発費用 機械 電気 電子情報 合計 ¥639,133 ¥614,693 ¥94,784 ¥1,348,610 6.おわりに 本装置の開発では,工場内での自動ピッキングを目 指し,走行方法や誘導方法に汎用性を持たせるととも に作業者が容易に管理しやすいシステムを開発するこ とができた.また,目標を達成するため,毎朝各科で 進捗状況と作業内容の確認を行い,情報共有に力を注 いだ. 本装置の開発は, A 社の生産工場で使用されること を目標にしていたため,本開発で培った技術が A 社に 貢献出来たら幸いである. メルシート材保管場所(パレット) 制御盤 駆動部 制御盤 充電器 充電シリンダ データベース用 PC ピッキング指令 登録データ削除 保管場所登録 バッテリ残量 ℃ バッテリ温度 ℃ 15

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