応用課程 開発課題20周年史

関東職業能力開発大学校 第24回 ポリテックビジョン in 栃木 144 振動実験モデルの開発 グループ9 建築施工システム技術科 ○永澤 寛睦 門井 瑛二 兼本 直和 竹田 眞由 1.はじめに 本開発課題では,当校既存の振動システムを用いた 振動実験により木造建築物の地震などによる振動特性 を「見える化」する振動実験モデルの開発を目指した. さらに,開発した振動実験モデルで木造建築物の耐 震性能および制震性能の評価が可能と判明した場合, 応用課題実習で進める制震部材の開発につながる振動 実験による性能評価をしたいと考えた. 2.振動実験モデルの概要 1)振動実験モデルの構成 振動実験モデルを開発する上で,既存の振動台の上 に乗る大きさの木造であること.また,木造建築物の変 形性状を再現するため仕口の接合部はピン構造になる 工夫することを念頭に開発を進めた.本開発課題では, 振動実験モデルの試作モデル 1) を製作,施工方法の工 夫や改善を行った.また,性能評価ができる試験方法の 模索のための予備試験などを繰り返した.その結果,最 終的な振動実験モデルは以下のような構成とした. ①振動実験モデルの形状 振動台の加振方向に対して平面的に対称とする ため3×3スパンの構成とした.振動台の台座の固 定寸法が400mmピッチだったため,1スパンを400mm とし,土台から梁および桁芯までの高さをその 3 倍 の1200mmとした. ②構成材料 ・柱,梁,桁,土台:ベイマツ,90×90, E110以上,SD20,ドライビーム ・屋根(陸屋根):構造用合板24mm ③仕口の接合 89×56×1.7ステンレス丁番,ボルト締め 土台・梁・桁と柱の接合部を丁番により接合して, 木造建物の変形性状の特徴であるピン構造を再現 した. 2)検証用の再現モデル概要 振動性能の検証用再現モデルは,耐震抵抗部材(耐力 壁)の違うもの,屋根の重量が違うもの,偏心するもの, 制震部材を取り付けたもの,以上4種類とした. 1)耐震抵抗部材(耐力壁)の影響 ①片筋違い:片面2スパンに片筋違い(構造用合板を 24×90を加工),両面に配置,接合具BP金物 ②合板2枚:片面2スパンに 9mm の構造用合板,両面 に配置,接合具51mmのコースレット@150 ③合板3枚:片面3スパンに9mmの構造用合 板,両面に配置,接合具51mmのコースレット@150 2)屋根重量の影響 ①軽い屋根:約66kg/m 2 (総重量約95kgの鉄板) ②重い屋根:約96kg/m 2 (総重量約140kgの鉄板) 3)偏心の影響 ①偏心;状態を再現するために片面のみ合板を配置,片 側3スパンに9mmの構造用合板 4)制震部材の影響 ①制震ダンパー:1スパンの対角の位置に取付け,片面 2ヶ所,両面に配置 ②断熱材(硬質ウレタンフォーム) 2) :45mm 厚の断熱 材を真壁として片面2スパン,両面に配置 3.振動実験概要 本開発課題では3つの実験を行い,耐震性能および 制震性能の性能評価を行った. 1)試験方法 ①スイープ(掃引)試験:加速度一定(50gal)で周波 数範囲(20Hz~2Hz)を一定間隔で変化させ,得られ た応答加速度より共振周波数を探索する.共振周波 数の変化は構造物の剛性の変化を意味する. ②強制振動試験:得られた共振周波数,低周波(2Hz), 中周波数(7Hz)および高周波数(12Hz)による各周 波数において一定の加速度で振動させ,測定をする. これにより,各周波数での応答加速度や応答変位の 変化を検証する. ③減衰振動試験:強制振動の測定後に起震を停止して 振動実験モデルの加速度と変位の減衰性状を測定 する.これにより偏心や制震部材の効果を検証する. 2)測定方法 測定項目は,振動台の台座および屋根の位置にお ける加速度(ピエゾ抵抗式加速度ピックアップ4ヶ 所)と変位(巻込型変位計3ヶ所)を測定した. 居住・建築システム技術系 開発課題 図 1 振動実験モデルの全景 144

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