応用課程 開発課題20周年史

関東職業能力開発大学校 第24回 ポリテックビジョン in 栃木 143 4.外装工事講習会および施工 本開発課題ではより適切な各外装材の施工方法を習 得するため,大東建託株式会社様より外装材の各メー カーによる講習会に協力依頼をしていただき,メーカ ー専門家による適切な指導に基づき施工を行った. 4.1.屋根仕上げ施工 屋根仕上げ施工は 2019 年 12 月 18 日に株式会社ル ーフタイルグループジャパン様に施工講習会を実施し ていただいた.屋根仕上げ材に用いたオベロンは同社 が販売しているガルバリウム鋼板にストーンチップを 積層しアクリル樹脂でコーティングした屋根材である. 施工は軒先スターターとケラバ用の水切りを付けた後, オベロンの施工要領に従い,専用のビスで取り付けた. 4.2.外壁および軒天仕上げ施工 外壁仕上げ施工は 2019 年 12 月 24 日に旭トステム 外装株式会社様に施工講習会を実施していただいた. 施工講習会前に透湿防水シートとブチルテープを用い て開口部の窓台部分を覆い,開口部サッシを取り付け た.その後施工講習会にて,基礎水切りを取り付け, 外壁下地面全体を透湿防水シートにて覆った.外壁仕 上げ材には窯業系サイディングを使用した.外壁下部 にスターターを取り付け,サイディングの継ぎ目にな る部分にハット形ジョイナーを取り付けた.外壁通気 工法となるように,通気金物を用いて,サイディング を張り付けた.継ぎ目には,シーリング材に充填した. 換気孔としては軒天通気ライナーを軒天下端に取 り付けた.軒天通気ライナーはプラスチックプレート を積層したハニカム構造の換気用建材である.吸排気 両用とした軒裏換気孔の必要面積は,仕様書によって 天井面積の1/250以上と示されているが、本開発課題 で用いた軒天通気ライナーを用いた場合,必要開口面 積が 446c㎡に対して,有効開口面積を 2,033c㎡設 けることができた.外装仕上げの最後として,破風お よび鼻隠し部を窯業系サイディングで覆った. 4.3.その他の施工 雨樋は,既存模擬家屋で使用されていた雨樋を洗浄 し,再利用して取り付けた.軒樋を取り付ける際の水 勾配は1/1000での施工を行った. ウッドデッキは,既存模擬家屋のウッドデッキのサ イズが小さい為,新しく作製することにした.サイズ は2段目を大きくし,サイズを941×3,076mmにした. 材料は既存模擬家屋のウッドデッキを解体し,その材 料を一部再利用した. 5.施工管理 品質管理については,受け入れ検査やビス打ちが仕 様書の通りであるかチェックを行った.また,ツーバ イ材は反りやねじれがあり,材料の選定に注意を払っ た.基礎に打設したコンクリートはサミットモールド に採取した試験体で圧縮強度試験を行った.その結果, 4週強度および13週強度試験で呼び強度を上回ること を確認した. 原価管理については,基礎53,990円,躯体(ウッド デッキ用木材含む)292,940 円,外装材 174,998 円, 建具78,000円,センサー18,810円,塗料等11,822円 の合計630,559円の費用がかかった.本開発課題では 環境測定を行う際の取り組みやすさを重視して,底盤 コンクリートに合わせてなるべく広くした.その結果, 外壁仕上げ材の歩留まり率が低くなってしまったこと は反省点の1つである. 工程管理については,施工前にバーチャート工程表 を作成した.施工ミス等による手戻りにより遅れが生 じたが,計画していた通り講習会を受講し,新模擬家 屋を完成させることができた(図1). 安全管理については実習に取り組む際にはラジオ体 操を行った.その後、安全朝礼を実施し,作業内容お よび作業内容内での危険個所および対策についての確 認するKY活動や,指差呼称を行い服装の不備や防護 具の着用を確認してから実習に取り組んだ.また,足 場や屋根の上に上がる高所作業時には,安全帯を着用 し施工作業に取り組んだ. 図1 竣工写真 6.おわりに 屋外での作業がほとんどだった為,気温や天候,風 に作業の進行を少なからず左右された.また,標準課 題とは異なり,限られたメンバー数で作業を行うため, 施工には多くの時間と労力を必要とした.本開発課題 に取り組みは完成までに様々な困難があったが,企画 から計画,設計,施工,施工管理までの一連の建築生 産の流れを,自分たちが主体となって取り組むことが でき,とても貴重な経験であった. 参考文献 (1)【フラット35】枠組壁工法住宅工事仕様書 2019年度版,(株) 井上書院,2019 (2)世界で一番やさしい2×4住宅,(株)エクスナレッジ,2012

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